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第二話 大公家に嫁ぐ
05-5.
「クリスには接触しなかったのか?」
「してないな。苦手だったし。そもそも、話す機会がなかった」
「なるほど。それはよかった」
シリルは安心したようだ。
ギフトは時に反発をしあうことがある。その場合、体調不良などの影響を受けやすい。
正反対のギフトを持つ二人が出会えば、アレンはクリスに対し嫌悪感を抱くことだろう。なにより、クリスがなにを考えているのか、アレンは知らなかった。
「アレンが体調を崩しては心配だからな」
シリルの言葉にアレンは嬉しそうに笑った。
心配されることは少なかった。アレンは生まれつきギフトを持っていたこともあり、体が丈夫だった。流行性の風邪も数回しか引いたことがない。
「アレンが魅了を持っていたら大変なことになっていたな」
「そうか? 今とそんなに変わりはないと思うが」
アレンは社交界の人気者だ。
人形のような見た目から所有したがる貴族は多かった。物のように扱われることを嫌ったアレンの考えを理解している両親だったからこそ、変なところに嫁がされずに済んだのだ。シリルを婚約者に選んだのは両親なりの配慮だろう。
「アレンに魅了されるのは俺だけでいいだろ?」
シリルはアレンの唇に軽く口付けをした。
部屋の外で待機をしているダリアは反射的に顔を逸らしていた。見てはいけない者を見てしまった気分だったのだろう。
「シリルもな! 俺以外を魅了させたらぶん殴ってやる」
「それは痛そうだ」
「気絶するまで殴るからな! 嫌なら浮気はしないことだな!」
アレンは胸を張って宣言した。
……浮気は許さない。
愛人を作るのは貴族の習慣だ。両親にもそれぞれ愛人がいる。しかし、アレンはそれを許すつもりはなかった。
「浮気はしない」
シリルはアレンの髪を撫ぜる。
興奮しているアレンを宥める為だった。
「愛人もいらない」
シリルはアレンだけ愛していた。
初めて出会った時から恋に落ちていた。最初は人形のような見た目が好きだった。しかし、その性格を知って恋から愛へと変化をした。
愛する人が傍にいる幸せをシリルは噛みしめる。
「してないな。苦手だったし。そもそも、話す機会がなかった」
「なるほど。それはよかった」
シリルは安心したようだ。
ギフトは時に反発をしあうことがある。その場合、体調不良などの影響を受けやすい。
正反対のギフトを持つ二人が出会えば、アレンはクリスに対し嫌悪感を抱くことだろう。なにより、クリスがなにを考えているのか、アレンは知らなかった。
「アレンが体調を崩しては心配だからな」
シリルの言葉にアレンは嬉しそうに笑った。
心配されることは少なかった。アレンは生まれつきギフトを持っていたこともあり、体が丈夫だった。流行性の風邪も数回しか引いたことがない。
「アレンが魅了を持っていたら大変なことになっていたな」
「そうか? 今とそんなに変わりはないと思うが」
アレンは社交界の人気者だ。
人形のような見た目から所有したがる貴族は多かった。物のように扱われることを嫌ったアレンの考えを理解している両親だったからこそ、変なところに嫁がされずに済んだのだ。シリルを婚約者に選んだのは両親なりの配慮だろう。
「アレンに魅了されるのは俺だけでいいだろ?」
シリルはアレンの唇に軽く口付けをした。
部屋の外で待機をしているダリアは反射的に顔を逸らしていた。見てはいけない者を見てしまった気分だったのだろう。
「シリルもな! 俺以外を魅了させたらぶん殴ってやる」
「それは痛そうだ」
「気絶するまで殴るからな! 嫌なら浮気はしないことだな!」
アレンは胸を張って宣言した。
……浮気は許さない。
愛人を作るのは貴族の習慣だ。両親にもそれぞれ愛人がいる。しかし、アレンはそれを許すつもりはなかった。
「浮気はしない」
シリルはアレンの髪を撫ぜる。
興奮しているアレンを宥める為だった。
「愛人もいらない」
シリルはアレンだけ愛していた。
初めて出会った時から恋に落ちていた。最初は人形のような見た目が好きだった。しかし、その性格を知って恋から愛へと変化をした。
愛する人が傍にいる幸せをシリルは噛みしめる。
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