呪われた悪女は獣の執愛に囚われる

藤川巴/智江千佳子

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 淡々と提案され、ソフィアはじゅくりと腹の中心が疼くのを感じた。

 ルイスの声に命じられるだけで身体がおかしくなる。僅かに躊躇ったソフィアは、もう一度名を呼ばれて、静かに頷いた。

 一度持ち上げたドレスの裾を口に含んで、ゆっくりと両手を下穿きに触れさせる。ルイスはやはり感情の浮かばない表情で、ソフィアの痴態を見つめていた。

「あま、り、見ない、で」

 熱に正常な判断力を壊されていてもなお囁いたソフィアは、よほどの羞恥心を覚えているのだろう。ぐずぐずにとろけきったソフィアの恥じらう姿を堪能したルイスは、欲望を耐えるように唾を飲み下した。

「み、ないで」
「早く脱ぎ終えられれば、そう長くみられることもない」
「ん、そう、だけ、ど」

 言うことを聞いてくれないルイスを見遣ったソフィアは、ついに欲望に耐え切れずにゆっくりと下穿きを下した。

 月の光が差し込む部屋は、微かな光だけを残して二人の姿をかき消している。そのはずが、ソフィアの股下を見るルイスは、愉快そうに頬を歪めて喉を鳴らした。

「たっぷりと糸を引いている」

 それが何への嘲笑であったのかを理解したソフィアは、眩暈を起こしそうになりながらこぼれ出そうになった涙を堪えた。

 呪いに侵された身体でも矜持を保とうと必死になる番の姿は美しい。ルイスはその強情さえも胸に心地よい陶酔を与えている事実に気づいて、ゆったりと笑んだ。

「フィア」
「や」
「フィア、来い」

 二度呼ばれたソフィアは、やはり欲望に抗いきれずにルイスの表情を窺った。

「フィア、口づけがしたい。来てくれ」

 椅子に拘束されているはずのルイスのほうが余裕を保っている。ソフィアはその声に誘惑される通りにふらふらとルイスのそばに寄って、彼の片足に腰を下ろしながらその唇に吸い付いた。

「あ、んん、……っ、んん、ふ、ぁ」

 熱心にルイスの唾液を追うソフィアは、ますます身体の奥に熱を燻らせて、熱い吐息を落とす。ルイスは欲情しきった番を見下ろし、静かに囁いた。

「フィア、股を広げて、俺の上に乗れ」
「ん、っ、耳、や」

 ソフィアの耳元に吹き込んではべろりと耳殻を舐め誘ったルイスが、彼女の反応に小さく笑っている。

「早くしなければ、ますます辛くなるだけだ」
「あ、ん、……っ、でも、」

 ちらりとルイスの怒張を見下ろしたソフィアは、思わず身体を震わせてしまった。

 とても、自分の腹に入るものとは思えない。

 熱くて、固くて、太くて長い。壊れてしまうと察したソフィアは、駄々を捏ねる子どものようにルイスの首に抱き着く。

「むり、だわ」
「いつも貴女の中に入っているだろう」
「今日は……、とっても、大きいかもしれないですもの」
「……貴女は可愛いな」

 突如吹き込まれた睦言に吃驚したソフィアは、反射的にルイスの顔を覗き込んでしまった。

 至近距離に見える瞳は、月のように神々しく輝いている。

 魅了されたソフィアは、ルイスが軽く顔を寄せて口づけてきても、うまく躱すことができず、されるがままになった。

 ソフィアの瞳に浮かぶ怜悧な色を見たルイスは、それを壊すためにたっぷりと唾液を流しこんでくる。

 ソフィアがルイスの淫らな企みに気づくはずもない。たっぷりと唾液を摂取した彼女は、やはり呆然とルイスの瞳を見つめて、熱い息を吐いた。

「フィア、苦しいだろう?」
「ん、……くる、し」
「ゆっくり咥えれば、恐ろしくはない」
「ゆっく、り……?」
「ああ、そうだ。フィア、できるだろう。ほしくてたまらないんじゃないか」

 散々煽りつけてきたのはソフィアだ。ルイスはすでに紳士然として番を甘やかすことを放棄し、このいじらしい花を散らすことだけに集中していた。

 熱に壊れたソフィアは、とくに恥じらうこともなく唇を開く。

「ん、ほし、……っ、ほしいん、です、ほしくてたまらな、いんですの!」

 すでにすっかり誘惑されきっている男を誘おうと無駄な努力を続けるソフィアは、ちゅうちゅうと獣人の肌に吸い付いて、拙い執着の証を残した。

 ルイスがつけるものとは比べ物にもならない。

 一日程度で消えてしまいそうな痕が胸に残されるのを見たルイスは、たまらず両腕に力を込めた。

 椅子の背凭れは、すでに半壊状態だ。ほんの少しルイスが力を込めれば壊れる。

 彼はそれを知りながら、のそのそと動く番の姿を見下ろしていた。

 おそるおそる腰を上げたソフィアが、泣きそうに顔を歪めている。その顔に触れたい欲求で、ルイスはついにもう一度腕に力を込めてしまった。

 何かが千切れる音が鳴った。

 ルイスはそれが己のベルトが裂ける音であることを察して、瞬時にソフィアが魔法を維持する力を失ったらしいことに気づく。

 ソフィアは、すでに目の前の獣がいつでも襲い掛かることのできる体勢になっていることに気づかず、甘ったるい声を出した。

「はい、らな」
「いや。入る。……フィア、貴女の口はぐずぐずにとろけて準備を整えているようだ。わかるだろう?」

 片手をルイスの怒張に添えたソフィアは及び腰になりながらも静かに頷く。言われなくともドレスの裾を片手で持ち上げたソフィアの恥部は、じっとりとルイスに視姦されていた。

 ただ、ルイスのものを舐めしゃぶっていただけで、これほどまでにも濡らしてしまったらしい。

「淫らでどうしようもないな」
「っ、ん、ぁ」

 蔑む言葉さえ、ソフィアの耳には入らない。ただゆっくりと切っ先を口に当てたソフィアは、遊ぶように腰を揺らして、太く長い凶悪な怒張を突き入れる期待と恐怖に震えている。

「腰を落とせ」
「あ、っ、ぅ、お、っき……っ」
「フィア、俺は手が使えない。自分でできないのか?」
「ん、っでき、……できま、……っア!?」

 くぷ、と切っ先を中に押し込んだソフィアは、蜜口を擦る熱の感触に身体の力が抜けた。

「っひああああ!? ふ、ぁ、っあ……っ!」

 ルイスの腹についていた手から力が抜けた瞬間、ソフィアの意図とは反対に、ルイスの怒張が一気に奥に入り込んできた。

 ぺたり、とルイスの上に座り込んだソフィアは、目を回しながらはくはくと呼吸を続けている。

 己の痙攣でさえも新たな快楽を生み出すらしく、ソフィアは微かに中が擦れる感触で、さらに身体をひくつかせた。

 ルイスの怒張を使って、淫らな一人遊びをしているかのようだ。

 淫靡な光景にくぎ付けになったルイスは、たまらずわずかに動く下半身に力を込めて、下からソフィアの身体を揺さぶった。

「あっ、ああ、あんっ、ま、……っや、うごかな、っで、ひぅっ……!」
「フィア、貴女の遊びのような動きでは中に出してやれない」
「ん、ふ、……っがん、ばる、からっ、あっ」

 今にも出てしまいそうだと思いながら、ルイスは奥歯を噛み締めてソフィアを誑かす。

 ルイスの腰に揺さぶられる好さに狂いかけていたソフィアは、ようやくその動きが止まったことに安堵して微かに息を整えた。

 ルイスがしてくれているように、激しく動くのは無理だ。僅かに額に汗を浮かべたルイスと視線を合わせたソフィアは、考えもなくその唇に吸い付く。

 ソフィアの腰は、ゆるゆると無意識に動いている。

 それが好いところにあたるたびに彼女は微かに身体を震わせて、快感を溜めてしまうのだ。ゆっくりと口吸いをしながら舌を擦り合わせて、ようやく顔を離した。

「手伝うか?」
「できます、わ」

 僅かな刺激では、ルイスは満足してくれない。ソフィアはそのことを良く学んで、ゆっくりと両手をルイスの腹の上に置いた。

「フィア、ドレスの裾を噛め」
「ん、わか、った」

 まるで操り人形だ。

 ソフィアはもう、ルイスに抵抗する理由さえ思い出せず、素直にドレスの裾を噛んだ。
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