呪われた悪女は獣の執愛に囚われる

藤川巴/智江千佳子

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 身動きの取れないルイスの瞳は、檻に入れられてもなお反抗し続ける獰猛な野獣のようだ。

 今にも食らいつかんとしている瞳に見下ろされたソフィアは、ぞくりと腹の奥に熱が疼くのを感じて唾を飲み込む。

 たっぷりと濡れた唇に恐る恐るルイスの怒張の先端を含んだソフィアは、ルイスの目が見開かれるのを見て、倒錯した快感に目を細めた。

「フィア、……っ、く、やめ」

 ちゅう、と力を込めて吸い上げれば、ルイスは頬を上気させて欲情に耐え忍ぼうとする。

 迫り来る欲望に奥歯を噛み締め、気丈に振る舞う騎士の姿は、普段、全くソフィアの思い通りになってくれない彼の姿によく似て見えた。

 手を縛められてもなお屈しない彼の強い意志を見たソフィアは、気高き騎士の、真の姿を暴こうと躍起になった。

「気持ちが良くないのかしら」

 ルイスの怒張はすでにたっぷりと汁を滴らせている。ソフィアが優しくその汁を手にまとわりつけて触れれば、彼は耐えがたい誘惑から気を反らそうときつく瞼を瞑った。

 少女のように悪戯を仕掛けてはルイスの反応を見て嬉々とするソフィアの姿が、たまらなくルイスの雄を刺激する。ルイスはその光景を見ているだけで快感に身を任せてしまいそうだった。

「どのようにしたら、気持ちが良いのかしら……?」
「フィア、っ、これを解け」
「壊れたくはないわ」
「……っ、ぐ、ぅ」

 壊すと言ったのはルイスのほうだ。正しい言葉を吐かれた彼は反論できず、ソフィアの手に鈴口を撫でられた瞬間、あからさまな反応を示して目を見開いてしまった。

「あら?」

 くすくすと微笑んだソフィアと目が合う。

 今のソフィアには、普段の怯えの滲んだ表情はない。ルイスを見上げるソフィアは、欲望にぐずぐずと目を燻らせて、すでに正気を失っていた。

「ここが好いんですの?」
「フィ、ア」

 蜂蜜のような甘い匂いに誘われたソフィアは、うっとりと瞳をとろけさせて、熱を滾らせる怒張に舌を這わせる。

 匂い立つ淫靡な香りに酔ったソフィアは、ルイスがたまらず掠れた声をあげるのを聞いて、熱心に鈴口を舐めしゃぶった。唾液を舌先に纏わせてすりすりとルイスの熱に擦りつければ、彼の身体にますます力がこもるのが分かった。

 はやく、あれがほしい。

 ルイスからこぼれ出てくる先走りをたっぷりと味わったソフィアは、その精を体内に取り込むこと以外を考えられなくなっていた。

 ソフィアはただ熱心に、この身体に燻る熱を沈められる力のある体液を欲して、己の唾液で濡れた陰茎にそっと手を這わせる。ちゅく、と音を立てて擦ってみれば、ルイスはあからさまに欲望を耐えるような吐息を吐き出した。

 淫乱な痴女だと噂されていながら、ソフィア・フローレンスには、閨事の知識がまだ備わっていなかった。

 兄たちが葡萄酒を含みながら話していた内容から推察した歪んだ知識を頼りにたどたどしい手つきで、しかし熱心にルイスの怒張を慰める姿に、彼がそう長く耐え忍ぶことができるはずもない。

「フィア、や、めろ」
「ん、……っ、ふ、ん、……ん」

 吐精を促すようにきつく吸い上げると、ルイスの怒張がぱんぱんに膨らんで、ますます熱を持っていくのが分かる。

 兄たちは、淑女の口にこれを含ませ、さらにはその者の頭を掴み寄せ、無遠慮に腰を振るのが好いのだと言っていた。不意に思い出したソフィアは、固くそそり立つ怒張を見上げて、ふるりと身体を震わせる。

 とても、口に含むことのできるような大きさではない。

 ソフィアは、それを遠慮なく口の中に穿つものなら、本当に壊れてしまうのではないかと想像上にも恐ろしく感じてしまった。

 しかし、それと同時に、激しい欲情に怒る瞳でソフィアを見下ろしながら乱暴を働くルイスを想像した彼女は、えも言われぬ感覚に襲われた。

 呪いの熱に頭を犯されたソフィアは、いつもの冷静な思考を持ち合わせない。

「フィア、いい子に、してくれ……っ」

 懇願のような声をあげたルイスは、熱心に己の陰茎の先を舐め、ちゅくちゅくと音を立てながら小さな手で怒張をしごき続けていたソフィアが、大きく口を開くのを見た。

 暴力的な光景が広がる。

「っ、く、……ぅ、フィアっ、……クソっ!」

 小さな口が、はち切れんばかりに膨張した陰茎を口に含む。

 暴力的な視界に我を忘れたルイスは、激しく両腕を揺らして頑丈な椅子を軋ませた。

 ソフィアは不吉な音に気づくことなく熱心に顔を動かし、唇でルイスのものを咥えている。

 口内で熱い舌が先端から裏筋を舐める。

 ソフィアは快楽に屈服しかけた騎士が滴らせる体液に嬉々として吸い付いて、淫靡な音を立てながら熱心に口淫を繰り返していた。

 頭上から、男の乱れた呼吸が降り落ちてくる。一定間隔で刻まれていた呼吸は、すでに不規則な呻き声に邪魔されて、興奮の色を隠すことのできない艶やかな色を孕んでいた。

 しきりに名前を呼ばれるソフィアは、いよいよルイスの精液欲しさに耐えかねて、無意識に口に含みきれない陰茎を指先でしごいていた。

「っ、く、フィア、……っ、フィア、っ……、っ、口を、離せ、っ」

 拙い口淫に刺激されたルイスが半ば叫ぶようにソフィアを呼びあげた瞬間、不意打ちのようにソフィアがルイスの陰茎を強く吸い上げた。

「っ……!」

 声をあげることなくルイスが呻くのと同時に、勢いよくソフィアの口内で怒張が弾ける。激しい熱が喉に叩きつけられた瞬間、ソフィアは吃驚に思わず口を離してしまった。

「ひゃ」

 だらり、とソフィアの口から多量の精液がこぼれ落ちる。それ以上の勢いでルイスの怒張から、白濁液が飛び散った。ソフィアの顔にべっとりとまとわりついた精液は、ソフィアがずっと欲していたものだ。それが床へしたたり落ちてしまいそうになっているのを見た彼女は、無意識に顔に付着した精液を手で掬い上げて口元へ引き寄せる。

 可憐な乙女がルイスの欲望に穢され、呆然としながらも熱心に欲望を拾い集め、赤い舌で美味しそうに食している。

 ドレスを着たままの淑女に好き勝手をされた不名誉を負ったはずの男は、息を弾ませながら、目のまえで繰り広げられる淫靡な光景に目を奪われた。

 顔中にまとわりついた欲望を舐めとったソフィアは、ますます目をとろけさせ、不満そうに顔を顰める。頬をぷくりと膨らませる稚児のように表情豊かに機嫌を損ねた番は、ゆっくりと視線をルイスに向けた。

「たりない、んですの」

 勢いよく放出された欲望は、そのほとんどがソフィアの身体に張り付いてしまった。体内に取り込みたかったソフィアは、まだ身体が疼き続けていることが不満なのだ。

 大量に出したはずが、ソフィアの淫靡な姿を見ているだけで、ルイスの怒張はすでに硬度を取り戻している。

「もう一度、」
「フィア」

 男はすでに、番を諫めることを諦めてしまった。

 これほどまでに可愛らしく誘惑してくる番を咎める必要があるだろうか。あるはずもない。掠れた声で名を呼べば、ソフィアはぴくりと肩を揺らして、男の顔を見上げた。

「ルイ、ス?」
「口でやるからこぼすのだろう」
「ん、でも……」
「いつものように、中に取り込めばいい。そうだろう」

 甘やかな誘いをかけられたソフィアは、ぐずぐずにとろけた頭に僅かな危険信号が灯っていることに気づかない。

「でも、どうやって」
「貴女が上に乗って、好きにすればいい。そうしてくれるんだろう。フィア」
「でも、」
「自分でやるなら、怖くないはずだ。俺は何もしない」

 陶酔してしまいそうなほどに甘い声に囁かれたソフィアは、断るすべを持たずにゆっくりと頷いた。中途半端に熱を持ったソフィアの身体が、我慢を覚えているはずもない。

「ドレスの裾をあげろ」
「わか、ったわ」

 深い緑のドレスの裾を両手でそっと持ち上げたソフィアは、目の前の獣が食い入るようにソフィアの足を見下ろしていることに気づいた。

 僅かに頬を染めたソフィアに満足したルイスは薄らと笑みを浮かべる。

「下穿きは不要だな。脱いでくれ」

 声に逆らう気が起きない。ぼんやりと頷いたソフィアは、たくし上げたドレスから手を放して、下穿きに触れようとした。

「フィア」
「ん、何です、の」
「ドレスの裾を持てと言っただろう」
「で、も」
「手が足りないなら、口で裾を持ち上げればいい」
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