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アーシャ
2 失恋
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学院を卒業する頃には、アーシャはフェルナンと全く話さないようになっていた。
きっとフェルナンと一緒にいてもうまくいかなくなるだろう。
どれだけ上手く親友の仮面をつけていても、いつかはボロが出る。
私の気持ちに彼が気づいた時、それが私と彼の関係を壊すことになってしまう。
そう考えたアーシャは少しずつ、でも確実にフェルナンと距離をとっていった。
淡々と日々を過ごしていく。
そんな中、アーシャは友人のメアリーに、フェルナンが婚約者を作ったという話を聞いた。
アーシャが固まっているのを見て「まあ、単なる噂だけれど」とメアリーは付け加えた。
アーシャがフェルナンに密かに恋愛感情を抱いていたのを感じ取っていたのかもしれない。
嘘……だよね。
自分から距離をとってフェルナンへの気持ちを洗い流そうとした。
けれど、アーシャの恋心は少し距離をとったくらいで治るものではなかった。
お願いだから、婚約者なんて作らないで。
しかし、そんなアーシャの願望は打ち砕かれることとなる。
先生方と話していて遅くなり、急いで帰ろうとした日のことだった。
中庭でフェルナンの話声が聞こえた。
「…で……だから……」
何を話しているかは全くわからない。
唯一分かったことはフェルナンと話しているのが同い年のマリーということだ。
マリーは整った顔立ちでニコッと笑い、フェルナンに抱きついた。
マリーの綺麗な若葉色の髪が揺れる。
フェルナンはマリーを抱きしめ返した。
パキン。
自分の中の何かが壊れた気がした。
貴族学院を一八歳で無事卒業し、両親が喜んでくれる中アーシャは一人違うことを考えていた。
これで、これでやっとフェルナンを見なくて済む。
アーシャの中でフェルナンへの恋心は呪いへと変わっていた。
卒業後の生活はアーシャにとって快適なものだった。
悩みの種のフェルナンがいないのもあるし、社交界は新鮮なことばかり。
しかし、頭の片隅ではいつもフェルナンがこちらに手を振っていた。
そんな生活の中でアーシャには婚約者ができた。
伯爵令息のルイスとは社交パーティーの時に出会った。
アーシャ自身は全く気づいていなかったが、美しいストロベリーブロンドの彼女は社交界で人気だった。
彼女が見た目の美しさから高嶺の花の扱い(アーシャが思うには孤立)を受けている時にルイスから話しかけてくれたのだ。
ルイスは真面目で優しく、一緒にいて楽しかった。
この人となら恋ができるかもしれない。
そう思ったアーシャはルイスのプロポーズを承諾し、見事婚約したのだ。
ルイスは観察眼に長けており、フェルナンのことを忘れられないアーシャの様子を見てこう言った。
「アーシャに好きな人がいても僕は君のことが好きだよ」と。
その言葉を聞いたアーシャは本気でルイスのことが好きだなあ、そう思った。
綻んだセーターの裾を繕うように、ルイスはフェルナンのことを忘れさせてくれた。
きっとフェルナンと一緒にいてもうまくいかなくなるだろう。
どれだけ上手く親友の仮面をつけていても、いつかはボロが出る。
私の気持ちに彼が気づいた時、それが私と彼の関係を壊すことになってしまう。
そう考えたアーシャは少しずつ、でも確実にフェルナンと距離をとっていった。
淡々と日々を過ごしていく。
そんな中、アーシャは友人のメアリーに、フェルナンが婚約者を作ったという話を聞いた。
アーシャが固まっているのを見て「まあ、単なる噂だけれど」とメアリーは付け加えた。
アーシャがフェルナンに密かに恋愛感情を抱いていたのを感じ取っていたのかもしれない。
嘘……だよね。
自分から距離をとってフェルナンへの気持ちを洗い流そうとした。
けれど、アーシャの恋心は少し距離をとったくらいで治るものではなかった。
お願いだから、婚約者なんて作らないで。
しかし、そんなアーシャの願望は打ち砕かれることとなる。
先生方と話していて遅くなり、急いで帰ろうとした日のことだった。
中庭でフェルナンの話声が聞こえた。
「…で……だから……」
何を話しているかは全くわからない。
唯一分かったことはフェルナンと話しているのが同い年のマリーということだ。
マリーは整った顔立ちでニコッと笑い、フェルナンに抱きついた。
マリーの綺麗な若葉色の髪が揺れる。
フェルナンはマリーを抱きしめ返した。
パキン。
自分の中の何かが壊れた気がした。
貴族学院を一八歳で無事卒業し、両親が喜んでくれる中アーシャは一人違うことを考えていた。
これで、これでやっとフェルナンを見なくて済む。
アーシャの中でフェルナンへの恋心は呪いへと変わっていた。
卒業後の生活はアーシャにとって快適なものだった。
悩みの種のフェルナンがいないのもあるし、社交界は新鮮なことばかり。
しかし、頭の片隅ではいつもフェルナンがこちらに手を振っていた。
そんな生活の中でアーシャには婚約者ができた。
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アーシャ自身は全く気づいていなかったが、美しいストロベリーブロンドの彼女は社交界で人気だった。
彼女が見た目の美しさから高嶺の花の扱い(アーシャが思うには孤立)を受けている時にルイスから話しかけてくれたのだ。
ルイスは真面目で優しく、一緒にいて楽しかった。
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そう思ったアーシャはルイスのプロポーズを承諾し、見事婚約したのだ。
ルイスは観察眼に長けており、フェルナンのことを忘れられないアーシャの様子を見てこう言った。
「アーシャに好きな人がいても僕は君のことが好きだよ」と。
その言葉を聞いたアーシャは本気でルイスのことが好きだなあ、そう思った。
綻んだセーターの裾を繕うように、ルイスはフェルナンのことを忘れさせてくれた。
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