1話完結のSS集Ⅱ

月夜

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あたし達の登校

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 あたしの周りには、個性豊かな人達がおんねん。

 一人は、ボケてボケてボケたおし。
 一人は、シュールにボケる。
 そして最後の一人は、中二病。

 そんな三人とあたしは昔からの付き合いで、幼馴染言うんやろか。
 そりゃ家が皆並んで隣同士なんやから、イヤでも一緒になるんは仕方あらへん。



「行ってきます」



 そう言い扉を開け出ると、他三人も同時に出てくるんやもん、ツッコんで当然やろ。
 あたしは勢い良く「なんで皆同時やねん」ってツッコんで、今日も四人で学校へ向かう。

 いや、向かってんねんで。
 歩いてるんや。
 でもな、1つ言いたい。



「なんで縦一列で歩いてるん!?」

「当然やろ」

「ああ、横に広がったら危ないからな」



 もっともらしいことを言っているんやけど、だんだん横に並び始めていることにあたしは気づいとる。

 朝から何回ツッコます気やねんと言いたいところやねんけど、何より気になるのはもう一人の存在やねん。

 なんか知らへんけど、二人と違ってまだあたしの後ろを歩いとる。
 それも何かブツブツ言っとるし。



「何故神はオレにこんな過酷な試練を与えるのか……」

「朝が嫌いやからってあたしの後ろにくっついて歩かんといてよ」

「黙れ。貴様はこの天の光からオレを守るだけの存在なんだからな」



 アンタは日傘にでも守られてろとツッコみ、あたしは業と早足で中二病との距離を離す。
 アイツは朝が超弱いから、動きも鈍いねん。

 あたしという日除けがいなくなったことで、今にでも溶けてなくなりそうな声を上げてるんやけど、ここで振り返ったらあかん。



「やっぱお前って、中二病のこと好きやねんな」

「は!? なんでそうなるん?」

「やっぱな。俺もそう思っていた」



 俺もって言ったわりには、コイツめっちゃ目見開いて驚いてるんやけど。

 取り敢えずコイツらはただボケたいだけなんはわかってんねん。
 わかってんねんけど、こんなんツッコまずにいられるわけないやん。

 そんなあたし達から離れた後ろでは、中二病が電柱に寄りかかり息絶えていた。
 まあ、死んでへんから放っておいてもええやろ。


《完》
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