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転生はヒロインでって言ったよね!?
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生まれ変わったら何になりたいか。
こういった質問は人生で一回はあるもので、それは私にも尋ねられた。
言ったところでどうなるわけでもないのにと思いつつも、友達に合わせて答えたのは「転生してアニメの世界のヒロインになりたい」だ。
今私がハマってるアニメの世界に転生できたら絶対楽しい。
そんな確証もないことを言っていた自分を今では恨めしく思う。
お決まりのパターンというか、事故にあった私は文字通り転生をした。
好きなアニメの世界に。
そこまでは良かったんだけど、人生そんなに甘くない。
私が転生したのはヒロインではなく何故か男主人公。
性別から違うし、危険な目にはあいまくる。
ヒロインは何かしらトラブルを起こして私が助けに行くことになったり、誰がこんな転生望んだってよ。
私はヒロインになって男主人公に守られ恋愛をするはずだ。
それが、キラキラと好意的な視線を向けてくるヒロインにどうしろと。
前世の記憶がある時点で私は女。
いくら見た目が男だろうと女の子を好きになるはずもない。
歩くトラブルメーカーヒロインを好きになる方が無理な話。
ヒロインになりたいとか言ってたけど、男主人公大変だわ。
軽い気持ちでヒロインになりたいとか言ってた前世の私、反省しろ。
「あ、村だよ。今日はこの村の宿に泊めてもらおう」
「おい、先に行くな。お前が行くところはいつもトラブルが——」
とか言ってるうちにあっという間になんか絡まれてる。
このままヒロインを置いて逃げるか。
「そこのお前、金めの物を置いていけ」
「嫌ですが」
「この女がどうなってもいいのか」
刃物を首元に近づけられ涙を滲ませるヒロイン。
相手は男二人だけ。
今の私なら簡単に捻り潰せる相手だけど、無視して背を向け歩き出す。
「この女がどうなってもいいのか」
「うー、助けてー」
ここで忘れてはいけないのが、私は転生者でありこの世界のアニメが好きだった人間。
つまり、このあと何が起こるか知ってるわけ。
そろそろかなと思っていると、背後から男の声が聞こえる。
振り返れば思った通り新キャラ登場。
ヒロインを捕まえていた男二人をあっさりと倒し「お嬢さん、お怪我はありませんか」なんてキザったらしく聞いてるけど残念。
ヒロインは既に私への好意爆上がり状態なので、助けてくれた新キャラにお礼もなく、置いていこうとした私の方へと駆け寄ってくる。
「ありがとう。あのキザ男が私を助けると思って、敢えて冷たくしたんだね」
私が何をしようとヒロインはそれを良い方向に捉える。
ヒロインが新キャラをキザ男扱いするのはどうかと思うけど。
「おい、貴様」
怒りを顔に滲ませてキザ男来ちゃったよ。
確かこのあとの展開は、ヒロインを巡っての決闘。
私は興味ないから、そうなる前に去ることにする。
「こいつを助けてくれて助かった。そんじゃ、その女は頼んだ」
お荷物を押し付けて撤退。
男主人公になった今、これ以上面倒事に巻き込まれないためにヒロインも置いていけばもう安全だ。
ここからは第二の人生としてこのアニメの内容に囚われず、自分が男主人公なのも忘れて自由に生きる。
「待て」
キザ男に呼び止められまだ何かあるのかと思っていたら、いきなり両手を握られたんだが状況が理解できない。
「お前は俺がこのお嬢さんに一目惚れをしたのを知り身を引こうとした」
「いや、まあそうもなるか」
「争いを避け女を譲るその思いに俺は負けた」
嫌な予感をひしひしと感じていたが、案の定余計な仲間が加わった。
トラブルヒロインにキザ男。
アニメでは決闘の末キザ男に勝った男主人公だったが、ヒロインを諦めきれないキザ男が仲間にしてほしいと言ってきたので仲間に加えていた。
なのに、二人からキラキラと好意の眼差しを向けられているのは何故だ。
ヒロインは今まで通りだとして、キザ男は何がどうしてそうなってるんだ。
「どこの宿に泊まろっか。やっぱり私と一緒の部屋でキザ男は別部屋だよね」
「お嬢さんが一人の部屋がいいでしょう。俺は男同士ですから」
何でこの二人は張り合ってるんだ。
この世界はどうしても私を巻き込みたいらしい。
何でもいいから私に自由を与えてくれ。
《完》
こういった質問は人生で一回はあるもので、それは私にも尋ねられた。
言ったところでどうなるわけでもないのにと思いつつも、友達に合わせて答えたのは「転生してアニメの世界のヒロインになりたい」だ。
今私がハマってるアニメの世界に転生できたら絶対楽しい。
そんな確証もないことを言っていた自分を今では恨めしく思う。
お決まりのパターンというか、事故にあった私は文字通り転生をした。
好きなアニメの世界に。
そこまでは良かったんだけど、人生そんなに甘くない。
私が転生したのはヒロインではなく何故か男主人公。
性別から違うし、危険な目にはあいまくる。
ヒロインは何かしらトラブルを起こして私が助けに行くことになったり、誰がこんな転生望んだってよ。
私はヒロインになって男主人公に守られ恋愛をするはずだ。
それが、キラキラと好意的な視線を向けてくるヒロインにどうしろと。
前世の記憶がある時点で私は女。
いくら見た目が男だろうと女の子を好きになるはずもない。
歩くトラブルメーカーヒロインを好きになる方が無理な話。
ヒロインになりたいとか言ってたけど、男主人公大変だわ。
軽い気持ちでヒロインになりたいとか言ってた前世の私、反省しろ。
「あ、村だよ。今日はこの村の宿に泊めてもらおう」
「おい、先に行くな。お前が行くところはいつもトラブルが——」
とか言ってるうちにあっという間になんか絡まれてる。
このままヒロインを置いて逃げるか。
「そこのお前、金めの物を置いていけ」
「嫌ですが」
「この女がどうなってもいいのか」
刃物を首元に近づけられ涙を滲ませるヒロイン。
相手は男二人だけ。
今の私なら簡単に捻り潰せる相手だけど、無視して背を向け歩き出す。
「この女がどうなってもいいのか」
「うー、助けてー」
ここで忘れてはいけないのが、私は転生者でありこの世界のアニメが好きだった人間。
つまり、このあと何が起こるか知ってるわけ。
そろそろかなと思っていると、背後から男の声が聞こえる。
振り返れば思った通り新キャラ登場。
ヒロインを捕まえていた男二人をあっさりと倒し「お嬢さん、お怪我はありませんか」なんてキザったらしく聞いてるけど残念。
ヒロインは既に私への好意爆上がり状態なので、助けてくれた新キャラにお礼もなく、置いていこうとした私の方へと駆け寄ってくる。
「ありがとう。あのキザ男が私を助けると思って、敢えて冷たくしたんだね」
私が何をしようとヒロインはそれを良い方向に捉える。
ヒロインが新キャラをキザ男扱いするのはどうかと思うけど。
「おい、貴様」
怒りを顔に滲ませてキザ男来ちゃったよ。
確かこのあとの展開は、ヒロインを巡っての決闘。
私は興味ないから、そうなる前に去ることにする。
「こいつを助けてくれて助かった。そんじゃ、その女は頼んだ」
お荷物を押し付けて撤退。
男主人公になった今、これ以上面倒事に巻き込まれないためにヒロインも置いていけばもう安全だ。
ここからは第二の人生としてこのアニメの内容に囚われず、自分が男主人公なのも忘れて自由に生きる。
「待て」
キザ男に呼び止められまだ何かあるのかと思っていたら、いきなり両手を握られたんだが状況が理解できない。
「お前は俺がこのお嬢さんに一目惚れをしたのを知り身を引こうとした」
「いや、まあそうもなるか」
「争いを避け女を譲るその思いに俺は負けた」
嫌な予感をひしひしと感じていたが、案の定余計な仲間が加わった。
トラブルヒロインにキザ男。
アニメでは決闘の末キザ男に勝った男主人公だったが、ヒロインを諦めきれないキザ男が仲間にしてほしいと言ってきたので仲間に加えていた。
なのに、二人からキラキラと好意の眼差しを向けられているのは何故だ。
ヒロインは今まで通りだとして、キザ男は何がどうしてそうなってるんだ。
「どこの宿に泊まろっか。やっぱり私と一緒の部屋でキザ男は別部屋だよね」
「お嬢さんが一人の部屋がいいでしょう。俺は男同士ですから」
何でこの二人は張り合ってるんだ。
この世界はどうしても私を巻き込みたいらしい。
何でもいいから私に自由を与えてくれ。
《完》
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