337 / 1,955
子爵家騎士団長との接触
しおりを挟む「それでは、まず俺が行こう」
「エフライム様、念のため私も」
「頼む」
エフライムが一歩前に出て、こちらに近付いてる騎士団長さんに接触するつもりだ。
もしもの事を考え、マルクスさんがそのすぐ後ろで対応できるようについてる。
まぁ、すぐ近くだから、ユノや俺がいつでも対応できるんだけどね。
「団長~、まだですかぁ?」
「うるさいな。まだこれで半分程度だぞ? そんな事で、エフライム様達が助けられると思っているのか!」
「そう言われましても~……」
「ナトール、その必要はないぞ?」
「!? 何奴!」
「……その、お声は……」
エフライムや俺達が、身を隠していた角から姿を出し、騎士団長さんの前に出る。
そのついでに、エフライムが声をかけた。
騎士団長さんは、すぐにエフライムの声だとわかったようで、驚きの表情。
もう一人の……リロって呼ばれてたっけ? その人は、持っていた抜き身の剣を構え、こちらを警戒する。
聞こえて来た声では、リロさんの方は大分情けない声を出してたのに、すぐに切り替わったね。
見た目は、細見で声や顔も頼りない印象を受けるけど、結構できる人なのかもしれない。
「久々だな、ナトール。それにリロか。さっきの情けない声は、いつものお前らしいな?」
微笑を浮かべながら話しかけるエフライム。
「エ、エ、エ……エフライム様!? 何故このような所に!?」
「このような所とは、また随分だな。これでも由緒正しい逃亡用の通路だぞ?」
騎士団長さんが驚きの声を上げるのに対し、エフライムは落ち着いて冗談を言っている。
こちらは、魔法探査で色々探ったりしてたから落ち着いていられるけど、向こうはいきなり目の前にエフライムが現れたんだ、驚いて当然だろう。
余裕なエフライムに対し、少し騎士団長さんがかわいそうに思える。
「……ほ、本当に、エフライム様……なのですか?」
「そうだぞリロ。俺の顔を見ても、信じられないか?」
「い、いえ、そのような事は……。しかし、捕まっていたはずでは?」
リロさんの方は、声の正体がエフライムとわかって、警戒を解いて剣を降ろしてる。
でも、本当に目の前にいるのがエフライムと信じきれず、半信半疑のようだ。
顔を見ても信じきれないのは、ここにいるなんて欠片も予想していなかったんだろうし、仕方ないか。
ちなみに、地下通路に入った時から明かりとして活躍してくれた、エルサの魔法は今、使っていない。
光が強く、暗いはずの地下通路だと、相手に察知されるだろうからね。
それに、騎士団長さんとは今、向き合ってる格好だから、エフライムの後ろにいる俺の頭から、エルサが光を出すと、逆光になって顔が見えないだろうし。
……後光の差すエフライム……どこかの神様かな? という状況にもなりかねない……変に警戒心を煽りそうだね。
今は、代わりにマルクスさんがまた松明に火を付けて、それを明かりにしてるけど……やっぱり暑いね。
「ははは、驚いているな?」
「そ、それはもちろん。どうして、エフライム様がここに?」
「昨日までは、変わらず捕まったままだったんだがな。ここにいる者達に偶然、助けられたのだ」
「……そちらの方々は?」
「俺を助けてくれた、冒険者の方達と、王都の軍の者だな」
エフライムが俺達の方へ視線を向けて、軽く紹介。
それに合わせて、俺達は会釈をしておく。
「おぉ……貴方達がエフライム様を。このナトール、感謝の言葉もございません」
「レナーテ様も……良かった」
「はい。私もお兄様と一緒に、助けられました。凄かったんです、この方達が颯爽と私達を助けてくれて……」
「いや、レナは助け出された時、寝てたがな?」
騎士団長さんが、俺達に頭を下げ感謝を伝えて来る。
リロさんの方は、エフライムの後ろにレナがいる事に気付いて、安心した様子だ。
レナは、自慢するように俺達が助けた事を伝えようとしてるけど、誇張し過ぎだと思う。
それに、エフライムが突っ込んだように、あの時レナは寝てたからな……俺とマルクスさんが助けた状況をよく知らないはずだ、一応説明はしたけど。
「ともあれ、ご無事で何よりです」
騎士団長さんは、レナのボケとエフライムのツッコミをスルーする事にしたようだ。
もしかすると、以前の子爵邸では日常だったのかもしれない。
「リロ、至急子爵邸へ戻り、クレメン様に報告しろ!」
「はいはい、行ってきますよー」
「エフライム様、レナーテ様がご無事な事、しっかりと伝えるのだぞ!」
「わかりましたー」
騎士団長さんが、リロさんに命令し、この場から駆け去って行く。
まずは報告を第一に、と考えたんだろう。
リロさんは、不真面目に聞こえる返事をしながら、地下通路の奥へと消えて行った。
「全くあいつは……もっと真面目にできんのか……」
「はは、ナトール。リロはあれで真面目だぞ? いつも気を張っているばかりでは、疲れるからってね。あれは、不真面目を装って周囲を油断させる意味もあるらしいな」
「はぁ、まぁ……奴の隊が担う役割を考えれば、そうなるのもわかるのですが……」
騎士団長さんは、生真面目な人らしい。
リロさんのように、力を抜いて適当にやっていると見える人は、あまり得意じゃないのかもしれないね。
相性は、いいとは言えないか。
リロさん……最初にエフライムが近付いた時の警戒とか、すぐに信じず疑っていた事とか、見た目と雰囲気の頼りなさに騙されちゃいけない人だと思う。
「それでは、エフライム様、レナーテ様。共に子爵様の元へ参りましょう」
「わかりました」
「あぁ。っと、ここまで一緒に来た皆も、連れて行くが、いいか?」
「……関係無い者をお連れするのは、今の子爵家では歓迎できませんが……。その方達は、エフライム様達を助けて下さった方々。共に行く事は許されるかと」
「そうだな。それに、この人達は、女王陛下の命で動いてるからな。無碍にしたら子爵家の方が危ない」
「……は?」
騎士団長さんが、エフライム達を連れて子爵家に向かおうとする。
そこにエフライムが、俺達の方を示して、一緒に連れて行く事を聞いた。
一瞬訝しげな顔をした騎士団長さんだけど、俺達がエフライムやレナを助けたという事で、一緒に行く事を許可してくれた。
そこへさらにエフライムが、俺達が姉さんに頼まれてここまで来た事を伝え、騎士団長さんが呆然とした顔になる。
俺達を疑うのは、バルテルが暗躍した事からわからなくもないけど、こんな所で置いてきぼりは止めて欲しい。
絶対に出れなくなる、とまでは言わないけど、道案内がいなければ迷う事は間違いないからね。
ともあれ、姉さんからの……という事なら、騎士団長さんも無碍に扱う事はないと思う。
「女王陛下……陛下の!? それは本当なのですか、エフライム様!」
「あぁ。本当だ。さらに言うなら……こっちの男。名前をリクと言う」
「リク……? 王都、国から勲章授与をされる者が、確か……リクという名だったと……」
「そう、そのリクだ。今目の前にいるのは、陛下が認め、国中の貴族が認めた英雄様だぞ?」
「な! 英雄……もっと煌びやかな物を纏っているものとばかり……」
「あははは……エフライム、ちょっと大げさじゃないかな?」
確かに姉さんや貴族達が認めたけどね。
英雄様、なんて呼ばれるのは微妙な気分だ。
騎士団長さんは、俺の身に着けている物を確認してるけど……確かに、そんな大袈裟な呼び方をされるなら、パレードの時みたいに全身鎧を着てた方が、信じられたのかな?
でもあれ、動きづらいんだよなぁ……。
11
あなたにおすすめの小説
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる
暁刀魚
ファンタジー
社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。
なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。
食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。
そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」
コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。
かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。
もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。
なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。
カクヨム様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる