神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
336 / 1,955

魔力を発する道具

しおりを挟む


「そのリクの魔法探査というものがどれだけのものか、まだ俺にはよくわからないのだが……生き物の魔力を探知する、だったな。持ち物の魔力は感じ取れるか?」
「ん~……やった事はないけど、多分大丈夫だと思う。魔力さえあれば、何かしら反応があって、それを俺が感知できるからね」
「そうか。だったら……その近づいて来る人間二人の、体のどこかに、魔力を発する物があるかを確認して欲しい」
「場所的に、細かい事は無理だけど……一応、やってみるよ」
「その、魔力を発する物とは?」

 エフライムのお願いを聞いて、魔法探査に集中し魔力を発する物があるかを調べ始める。
 その横で、マルクスさんが何の事なのか聞いてくれてるね。
 俺が集中するから、代わりに聞いてくれてるのかな……いや、ただ疑問に思っただけかもね。
 ともあれ、魔法探査に集中しながら、マルクスさんとエフライムの話も聞いておく事にする。

「子爵家の者、その中でも上位についている者達は、体のどこか……大体は見える所に、魔力を発する物を身に着けているのだ」
「つまり、それを持っている事が、子爵家に連なる物の証明……と?」
「うむ。その道具は便利でな。お互いが持っていると微かな光を放って、身分の証明にもなるし、持っていない者はそれを見て子爵家の者だと認識する。まぁ、いわゆる味方識別のための道具だな。他には特に効果はない」
「成る程。魔物との戦いならまだしも、人間同士の戦いなら、役に立ちそうですね」
「王都に報告するか?」
「子爵家の方がそれをよしとするなら。人間同士の戦いは、乱戦になってしまうと味方と敵との識別が困難です。鎧など、はっきりとした違いがあればわかりやすいのですが……」
「そうだな。兵士達の訓練でも、大人数が乱戦になると味方同士で……という事も多々あるようだ。それを防ぐか……改良も必要かもな」
「そうですね。あまり大きな目印ではないのでしょうから。大量生産は可能ですか?」
「あまりできないな。王都ならば、人員を投入して大量に作る事も可能だろうが、質の劣る品が出回りかねん」
「そうですか……ともかく、王都に戻ったら、報告を上げておきます」
「うむ、それでいいだろう。子爵家の産業の一つとしても使えそうだしな」

 俺が魔法探査に集中する傍ら、マルクスさんとエフライムが魔力を発する道具について話し合ってる。
 味方識別か……同士討ちは避けたいから、そういう物を用意するのは悪くない案だね。
 魔物なら、魔物だけを見て攻撃すればいいけど、人間相手だと入り乱れた時に誰が味方で、誰が敵かわからない事もあるだろう。
 いちいち、お前は味方か? なんて、相手に聞く事はできないしね。

 大量生産はできないようだから、すぐに皆に配備されるような事はないのかもしれないけど、こういう準備は大事だ。
 それに、エフライムの方は子爵家が作り出した物が、王都で採用されれば領内の産業になると考えて少し嬉しそうだ。
 貴族って、領地経営もしないといけないから、こういう事も考えないといけないのか……大変だなぁ。
 おっと、それよりも魔法探査だね、ちゃんと集中しないと……ん、これは。

「エフライム、近付いている人間2人のうち、1人が体内の魔力以外に、魔力を出すような物を持ってると思うよ」
「そうか。……便利だな、その魔法探査というのは。その道具を持っているという事は、その者達は子爵家の者という事だ。それを持っていて、地下通路を知っている……騎士団長クラスか? だが、あの者は通路の道順は知らなかったはずだが……」
「どう致しますか?」
「そうだな……偶然バルテルの手の者が手に入れた、という可能性も捨てきれない。接触はしてみるべきだが、警戒はしておいた方がいいだろう」
「そうだね。こちらは向こうの位置がわかるから、怪しい動きをしなければ、このまま接触してみよう」
「は、畏まりました」
「うむ。入り組んだ通路だから、やり過ごす事もできるだろうが、今回は接触してみるとしよう」

 話し合い、このまま近付いて同じく地下通路を移動している、2人と接触してみる事に決まった。
 エフライムの言う通り、やり過ごす事もできそうだけどね、こちらは向こうの動く方向がわかるんだから、簡単そうだ。
 ともかく、近付いて移動している2人に接触をする事として、モニカさんやレナ、ユノにも伝え、再び歩き出す。
 隊列は最初と一緒で、マルクスさんを先頭に、警戒を怠らないようにしながら移動した。


「もう少しで、お互いが見える……と思う」
「そうか。では、こちらはここで待つ事にしよう」
「はっ」
「わかったの」
「はい、お兄様」

 魔法探査で相手の位置を確認しながら、通路を移動する事しばらく。
 かなり近い場所で、俺達は立ち止まり、向こうから近づいて来るのを待つ。
 一応の警戒のため、マルクスさんとユノは剣を抜き、モニカさんは槍を構える……槍は、ちょっと使いづらいだろうけど、突きくらいはできるしね。
 俺も同じく剣を抜いて警戒する。

 段々と向こうから近づいて来る……当然だけど、徒歩だし地下通路だから、その速度は遅い。
 距離としては、見晴らしのいい場所だと、もうお互いの顔がわかってもおかしくないくらいの距離だ。
 分かれ道の向こう側だから、ここではまだ確認できないけどね。
 少しして、人の足音と、声が聞こえて来た。

「団長、大丈夫なんですか? この道、本当に合っているんですか?」
「心配するな。子爵様から図面は頂いて、しっかり頭に入っている。この道で間違いない。それはともかく、リロ、しっかりここまでの道は覚えたか?」
「団長、俺の役職を知ってるでしょう? それくらい、得意作業の一つですよ。一度通った道は忘れません」
「……もし私がここで、道に迷っても、出られなくなる事はなさそうだな」
「あ、団長! 実は道が合ってるか自信がないんでしょ!? だから俺を連れて来て……」
「ええい、うるさい! ともかく、私達は一刻も早くエフライム様をお助けせねばならんのだ!」
「はぁ……はいはい、わかってますよ。子爵様の御命令ですからね」
「うむ」

 何だろう、ちょっとだけ気の抜けるようなやり取りが、角の向こうから聞こえて来る。
 警戒していたエフライムの顔を見ると、少し安心したような表情。
 知り合いかな?
 子爵から図面を頂いたって言ってたから、クレメン子爵と親しいというか、近い役職の人なんだろう。
 団長ねぇ……騎士団長かな?

「エフライム、さっきの話……」
「団長と呼ばれていたな。おそらく、騎士団長のナトールで間違いないだろう。信頼できる者だ」
「そうなんだ。それじゃ?」
「あぁ、このまま予定通り接触しよう。向こうは俺を探すために動いてるようだ。顔を見せて安心させてやりたい」
「わかった。マルクスさん?」
「はっ」

 エフライムが張り詰めていた雰囲気を軟化させ、表情を緩めた。
 それだけ、騎士団長さんはエフライムに信頼されているんだろう。
 まぁ、向こうが話してた事を聞くに、エフライムを助けようとしているみたいだし、敵じゃなく味方なのは間違いないね。
 マルクスさんに声をかけ、警戒を解く。

 皆もそれぞれ、ホッとした雰囲気だ。
 レナなんて、緊張感が薄れたおかげで、少し泣きそうなくらいだ。
 貴族家の人間とは言え、子供に緊迫した雰囲気は辛かっただろうね。
 閉じ込められていたし、安心できる時間が少ないのもあるかもしれないな。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...