神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
1,214 / 1,955

それぞれにやるべき事を

しおりを挟む


「アマリーラさん、色々頼んで申し訳ないですけど……」
「いえ、問題ありません。リク様のご命令とあらば、確実にこなしてご覧に入れましょう」
「ちょっと大袈裟ですけど、よろしくお願いします」

 多くを頼んでしまったけど、むしろアマリーラさんはやる気に満ち溢れている様子。
 さっきまで恐怖に震えていたり、どうしたらいいのかと戸惑っていたりした様子は、今はない。
 根っからの軍人気質なのか、それとも獣人の特性なのか……はっきりとやる事を示すと、やりがいを感じるのかもしれないね。

「あと、ワイバーンも戦力になるから、ボスワイバーンとも……カイツさんにも協力してもらって……」

 ワイバーンは、魔法が使えなくとも再生能力という強い武器がある。
 それだけで戦局をひっくり返す程じゃなくても、一助にはなるだろうから、ボスワイバーンにも頼まないといけない。
 他にも、カイツさんとフィリーナも大事な戦力になるし……シュットラウルさんが身に付けていた魔法鎧も、多分使えると思う。
 小さく呟きながら、考えを巡らせて順番にやる事を決めていく。

「アマリーラさん、リネルトさんはシュットラウルさんの所にいるんですよね?」
「はい。シュットラウル様への報告はリネルトに任せました。おそらく、そのままこれからの動きの相談をしているかと」
「わかりました……それじゃ、細々とした事はリネルトさんに任せればいいかな。って、俺がアマリーラさんやリネルトさんにお願いしてばかりじゃいけないか。シュットラウルさんに聞かないと……」

 リネルトさんの所在を確認して、全体的な事をアマリーラさん、細々とした事はリネルトさんにお願いするよう決めた。
 けど……よくよく考えたら、アマリーラさん達はシュットラウルさんの部下であって、俺があれこれ指示していい人じゃなかった。
 まずはシュットラウルさんに話を通して……。

「確かに、指揮権と言う意味ではリク様ではなく、シュットラウル様にありますが……我々獣人は、強い者に従う事を喜びとしています。ですので、リク様からのご命令であれば何よりも優先されます。おそらくそれは、リネルトも同じかと」
「そ、そうですか……わかりました。とりあえずシュットラウルさんには事後承諾でも、ちゃんと話はしますけど、今はそれでお願いします」
「はっ! 必ずやリク様の意思に沿う働きをしてご覧に入れましょう!」

 指揮系統を乱すのはまずいと思ったけど、とりあえずアマリーラさんがお願いを聞いてくれるのなら、今はそれでいいか。
 シュットラウルさんとはこれから会うし、その時改めて今お願いした事への許可を取ろう。
 俺に対し、敬礼をしてワイバーンに乗り込むアマリーラさん。
 見送っている暇はないので、すぐにスピリット達に顔を向けた。

「スピリット達は、センテを覆う負の感情への対処だよね?」
「そうねぇ。かかりきりになると思うわぁ」
「こうして呼び出して頂いたにも拘わらず、召喚主様へのご助力ができず申し訳ございません」
「その代わり、できるだけご主人に流れ込む力をせき止めてみせるぜ!」
「チチ!」
「うん、お願い。魔力が回復すると言っても、危険な事には変わりないからね」

 負の感情が一気に流れ込んできたら、魔物にぶつけるどころじゃないからね。
 近づく魔物に対して、スピリット達も一緒に戦って欲しいとは思ったけど、状況が状況だから仕方ない。
 ウォーさんやフレイちゃんもやる気だし、そちらはそちらで頑張ってもらおう。

「よし、それじゃ確認は終わったね。よろしく頼むよ!」
「応!」
「頑張るわぁ」
「お任せ下さい」
「チー!」

 スピリット達は、俺の言葉にそれぞれが応じてセンテの空へと向かった……アーちゃんだけは、地面に足を付けているし巨大だから、外壁に向かうだけだけども。
 それらを見てから、ユノ達の方へ振り返る。

「それじゃ……ユノは東門でマックスさん達と合流を。エルサは俺を乗せてシュットラウルさんの所へ……」
「途中まで一緒の方が早いの」

 確かにここで別れるより、センテの庁舎に向かってからユノだけ東門に向かう方が早いか。
 歩いたら一時間くらいはかかる距離だし。

「あぁ、それもそうだね。わかった。それじゃエルサ、ひとっ飛び頼むよ」
「了解したのだわ。超特急で行くの……ユノ、離してなのだわ」

 ユノに頷き、エルサにお願いする。
 了承したエルサが、特急なんてこの世界になさそうな言葉を発するけど、ユノにしっかりと抱き締められているので、大きくなれなかったようだ。

「……気を取り直してだわ。超高速で飛ぶのだわー」
「言い直した……」
「言い直したの。緊張感がないの」
「一番緊張感がないのは、ユノなのだわ! 細かい事は気にしないのだわ!」

 改めて、ユノから解放されたエルサが特急を言い換えつつ大きくなった。
 俺やユノに突っ込むエルサに、少しだけいつもの調子を取り戻しながら、背中へと乗り込んだ。
 アマリーラさんからの緊急報告から、俺もかなり緊張していたようだ……やる事や考える事はいっぱいあるけど、肩に力が入り過ぎていたらいい事はなさそうだし、気を付けよう。


「到着したのだわ。……はぁ~だわ。やっぱり、ユノよりこっちの方がいいのだわ~」
「む、後でいっぱい抱き締めるの!」
「はいはい、いいからユノはあっちだろ?」
「はーい」

 シュットラウルさんがいる庁舎のすぐ近く、少し開けた場所にエルサが降り立ち、背中から降りる俺とユノ。
 すぐに小さくなったエルサが、俺の頭にくっ付いて温泉にでも浸かっているかのような声を出した。
 エルサの言葉に頬を膨らませたユノを宥め、東門への方向を示してそちらへと走らせる。

 降りた場所にはワイバーンがいて、エルサを見て驚いているようだ……リネルトさんの乗っていたワイバーンだろう。
 他にも兵士さん達が驚いている様子なのは、急にエルサが降りてきたからだろう。
 急いでいるので、ごめんなさい。

「はぁ~、話している間私はこうして寝ておくのだわ」
「まぁ、エルサはあまり話に参加しない事が多いからいいんだけど……ふっふっふ、後でたっぷり頑張ってもらうから、今しっかり休んでおくといいよ」

 体力、魔力共に充実しているだろうけど、これからに備えて休んでおくのもいいと思う。
 基本的に、エルサは俺がシュットラウルさん達と話している時は、話しに入って来ないからね。
 それに、魔物と戦う時になったら存分に力を振るってもらおうと考えているし……と、不敵な笑いをして冗談交じりに脅しておく。

「……リク不適な笑い……似合わなくて怖いのだわ」
「そっち!?」

 俺としては、悪役が何かとんでもない悪事を企んでいるような、そんな雰囲気が出たと思ったんだけど……エルサからは不評だった。
 そりゃ、悪役になりたいとかの憧れはないし、俺自身似合わないのもわかっているんだけどね……くすん。

「失礼します! シュットラウルさん!」

 エルサとのやり取りの後すぐ、庁舎に入る。
 シュットラウルさんがいる部屋の扉をノックして、許可が出たのを確認して中に入った――。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...