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はっきりと自覚したリクの気持ち
しおりを挟む「あー……えっと……」
「リクさん?」
モニカさんは気付いていないのだろうか? それとも、気付いていても気付かないふりをしているのだろうか?
……恥ずかしくて顔を逸らしながらもチラリと見てみると、まだ顔が赤く見えるし瞳も潤んでいる様子。
多分これ、気付いていないかな。
とはいえわざわざリーバーに見られている、と伝えるのも何か違う気がするし。
「……そうだ!」
この場を、というか主に俺自身の恥ずかしさやら何やらをごまかすにはどうしたらいいか、を考えて頭をフル回転。
すぐに方法を思いつく。
いいかどうかはさておき、今は遊びの範疇としてちょっとしたアイススケートを楽しんでいる最中だった。
だったら、滑って楽しんでしまえば、きっと恥ずかしくなくなるだろう……なんて安易な考えだ。
「モニカさん、ほら!」
「え、あ、リクさん!?」
モニカさんお手を取り、さっきまでのように簡易的なスケートリンクになった地面を滑る。
急に手を引かれたからか、一瞬だけバランスを崩したモニカさんだけど、話していた通り俺が支え、転ばないようにしながら滑る。
「せっかく準備したんだし、リーバーも協力してくれたんだから、できるだけ遊ばないともったいないからね!」
手を引いたまま夜のスケートリンクを滑りながら、強引に話を逸らす。
……夜のスケートリンク、って言葉を頭に浮かべるとロマンチックなイメージになるし、実際男女で滑っているから大きく外れてはいないんだけど。
でも、リーバー達に見られていて、さらに滑っているのは簡易的な物。
他に人がいないからある程度自由に動けるけど、あまり広くないから実際そんなにロマンチックでもないかもしれない。
「ま、まぁ、そうなのかしら……? って、そういえばリーバーも……」
俺からリーバーという呼び名が出た事で、モニカさんもようやく自分たち以外の存在に思い当たったみたいだ。
ちらりとリーバーの方へ視線をやり、すぐに顔を逸らしていた……ジッと見られているのに気付いたんだろう。
恥ずかしそうに少しだけ俯きながら、小さく何かを呟いていた。
ともあれそれから数分、夜風を受けながら滑り続けていると、最初は俺に手を引っ張られたり、リーバー達に気付いて恥ずかしそうにしていたけれど、楽しそうに滑るようになってくれた。
やっぱりまだ顔が赤いけど、少しは吹っ切れたのかもしれない。
あ、俺がずっと手を握って引っ張ったままだからか……。
でも、なんだか手を離すのが惜しく感じて、気付いても手を離す事はしない……モニカさんが嫌がっていたら別だけど、そんな様子はないからね。
「ちょっと、滑りが悪くなってきた気がするね。そろそろ、終わりかな?」
「えぇ、そうね。足が引っかかる事が多くなっている気がするわ」
話していた時間もあったからだろう、水膜が凍り始めていて滑りが悪くなってきているのを感じる。
モニカさんも同様に感じたみたいだ。
速度もあまり出ないし、靴も専用の物じゃないからだけど引っかかりを感じて、時折バランスを崩しそうになる。
手を繋いだまま、お互いに支え合っているので転んだりはしないけど……あと数分くらい滑ったら、終わりにした方が良さそうだね。
「もう少しだけ、こうしていよう」
「……えぇ!」
終わりが見えると惜しくなるもの……楽しければ特にだ。
もっとこうしていたいと思う気持ちを抑えて、最後にモニカさんと数分間だけ思いっきり滑った。
握っている、柔らかいけどどこか硬さも感じる、なんとなくモニカさんらしいと思える手を、離さないよう少しだけ力を込めながら。
モニカさんからも、ぎゅっと握り返してくれる感触が、心の底から嬉しかった――。
――ある程度自覚していた事だけど、きっと俺はモニカさんの事が好きなんだろう。
いや、だろうではなく、好きだ。
一緒にいたい、怪我などをして欲しくない、悲しい思いをして欲しくない……なんて、人並みかもしれないけどそんな気持ちが溢れている。
モニカさんは、俺がこの世界に来てからずっと一緒にいてくれた人だ。
近くにいたからなんて、好意を抱くにはありふれた理由もあるかもしれないけど、実際はそんなものなのかもしれない。
ただそれだけじゃなくて、モニカさんは可愛くて、時に凛々しくて、ちょっとだけ厳しい事もあるけど、やっぱり優しくて……。
少し高めの声は耳に心地良く、肩の少し下まで伸びたロングと言うにはちょっと短めの、桜色の髪は篝火と月明かりに照らされて凄く綺麗だ。
スタイルは……あまり言及すると失礼だろうし、俺自身も恥ずかしいからあまり考えないようにしていたけど、その……胸とか、大きくて……。
もちろんそれだけじゃないんだけど、モニカさんが魅力あふれる女の子だって事を、改めて自覚する。
それと同時に、これまでモニカさんがどれだけの想いを向けてくれていたのか、というのも少しだけわかった気がした。
そりゃ、エルサやソフィー、他にも姉さん達とか身近な人達が溜め息を吐くよね。
モニカさんへの申し訳なさも同時に沸くけど、だからといって謝るのも違う気がする。
だからこれからは、しっかり受け止めなきゃいけないんじゃないかと、決意を新たにした。
とはいえ、気持ちを自覚したからってどうしたらいいのかわからないし、経験不足過ぎる俺なので、センテでの事が落ち着いたら、誰かに相談した方がいいかもしれない。
身近な人物の中だと、ソフィーかマリーさん、それか姉さんとかが適任かな? フィネさんとフィリーナに話してみるのもいいかもしれない。
まぁ、相談を持ち掛ける時は、マリーさん以外大体いると思うけど。
今はまだもう少しだけ待ってほしい。
口に出さず、モニカさんの手を握っている事の喜びをかみしめながら、そう心の中で呟いた――。
翌日、朝食後に庁舎に行ってシュットラウルさん達と話す。
ヴェンツェルさんが来ている事を知ったマルクスさんが、ヘルサルに向かう事になったので、リーバーに任せる。
他のワイバーン達も数体、仲良くなった兵士さんを乗せてセンテに運ばれる物資を受け取るため、ヘルサルへ行くのを見送る。
シュットラウルさんの方は、何やら朝からアマリーラさんが押しかけて話し合いが行われているらしく、そちらで忙しそうだった。
多分、少し前に俺について行くみたいな事を言って、リネルトさんにたしなめられていた事に関してだろう。
俺がシュットラウルさんと話している時は、刺激してまたとんでもない事を言い出さないように、別部屋で待機してリネルトさんが見張っていたみたいだけど。
……本来、リネルトさんはアマリーラさんの部下みたいな関係だったのに、今だけかもしれないけど立場が逆転しているなぁ。
それはともかく、レッタさんを見張っていたはずのアマリーラさんが、シュットラウルさんと話し合いができるは、そのレッタさんが目を覚ましたからだ。
早速話を聞こうと思ったんだけど、ロジーナのドロップキックを食らった瞬間のままで、興奮状態だったため、特に俺とは落ち着いて話せそうになかったので、今は落ち着いてもらうのを待っていたりする――。
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