神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

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出発準備のための指示出し

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 ともかく、話しを聞いた兵士さんが言うには、王都へ少数とはいえできるだけ戦力を戻すとして、人選がなされた代わりに、細かな指揮を執る人材が減ったらしい。
 そのためヴェンツェルさんも覚悟していたんだろうけど、忙しくてここに来れなかったとか。
 本人は来たがっていたみたいだけどね、「カーリンが王都へ行くのに、私が見送れないとは……」なんて言っていたらしいし。

 ちなみに、俺に話してくれている兵士さんは中隊長さんらしく、以前のマルクスさんと同じ役職みたいだ。
 中隊、というには引き連れる人数は少ないけど、ワイバーンに乗る人数制限のためだから仕方ない。

「わかりました、ありがとうございます。ただ、もう少し楽にしてもいいんですよ? 王都まで長いので、そのままだと疲れてしまうでしょうし」
「はっ! 皆リク様からのお言葉だ、休めっ!」
「「「ははっ!!」」」

 俺の言葉に、中隊長さんが後ろの兵士さんに指示を出す。
 これまで直立不動だった総勢四十名の兵士さん達が、一斉にザザっと音を立てて肩幅に足を広げ、後ろで手を組んだ。
 集団行動での休めの姿勢ってところだろうか……俺も学校でやった事はあるけど、そういう事じゃないんだよなぁ。
 確かに中隊長さんは休めって言ったけどさ。

「うーん……」
「リク様、ここは私にお任せを。こういう者達には慣れておりますので」
「アマリーラさん!? いつの間に……ま、まぁわかりました。お任せします」
「はっ、ありがたき幸せ」

 気付かないうちに俺の横に来ていたアマリーラさん、俺の言葉に恭しく礼をするけど……提案したのはアマリーラさんからなんだけどなぁ。
 まぁいいか、任せられる人に任せよう。
 兵士さん達は俺に対して緊張しているようだし、従ってくれそうなのはありがたいんだけど、どう対処していいのかよくわからないからね。

「お前達! リク様はお前達がそのように緊張しているのをお望みではない! これは作戦行動ではなく、リク様にとってはただの旅行のようなものだ! 緊張を強いるな!」
「……えーっと」

 旅行って……いやまぁ、気軽に移動という感覚的には大きく間違っていないのかもしれないけど。
 というか、アマリーラさんがどこぞの鬼軍曹のように見えてきた。
 ……兵士さんから多少なりとも緊張感というか、硬さが減ったように思えるからいいという事にしておこう。
 小柄なアマリーラさんが、大柄で完全ではなく部分的な武装とはいえ、兵士さん達に檄を飛ばしている様子はちょっと面白いと思えるけども。

「はぁ……」
「お疲れ様、リクさん」
「アマリーラさんに任せたから、疲れるって程でもないけどね……」
「でも、リクさんはあの雰囲気ちょっと苦手でしょ? いつも苦笑いしているし」
「まぁね。多少は慣れたけどやっぱりね……」

 思わずため息を漏らす俺に、モニカさんが近付いて労ってくれる。
 それに苦笑して答え……って、モニカさんの言う通り本当に苦笑してるね。

「ガァゥ?」
「ははは、大丈夫だよ。ありがとうリーバー」

 リーバーも俺の様子を見て少し心配してくれたのか、近付いてきて鳴いた。
 苦笑を止めて笑いかけつつ、リーバーの体を撫でておく。
 ……ミームさんが夢中になっているけど、確かにすべすべしていて触り心地は悪くないね。
 モフモフ好きじゃなかったら、俺も夢中になっていたかもしれない……というのは置いておいて。

「リーバー、ワイバーン達の方は大丈夫かい? 人を乗せるのは多少慣れたと思うけど、これから長距離を移動するわけだし」

 撫でながら、集まっている数十体のワイバーンの調子を聞く。
 人を乗せるのは何度もやってくれているし、アイシクルアイネウムの捜索時に長時間飛んでもらっているから大丈夫だけど、長距離移動はまた別だからね。
 一応聞いておかないと……兵士さん達を乗せて王都に行く事は、既に了承してもらっているけども。

「ガァ、ガァガァゥ」
「ふふ、大丈夫みたいね」

 俺と同じく、頷いたリーバーの体を撫でながら笑うモニカさん。
 人の事は言えないけど、モニカさんもリーバーがある程度何を言っているのか、鳴き声や仕草で分かるようになっているみたいだね。
 名付けた効果というか、それだけ慣れて親しくなったからだろう。
 あれだ、犬や猫を飼っている人が、その犬や猫が何を言っているのか全てではなくても、多少は感覚でわかる気がするのに近いのかもしれない。

「それじゃ……ルギネさんというか、ミームさんの方はモニカさんに頼んでいいかな? エルサに乗ってもらわないと。ミームさんはワイバーンに乗りたがりそうだけども」
「えぇ、わかったわ。ソフィー達にも手伝って、ワイバーンから引き剥がすわね」

 引き剥がすまで行かなくてもいいんだけど……まぁルギネさん達が説得しても、まだワイバーンに引っ付いたままだからそうしないといけない可能性は高いか。

「それから……リネルトさん!」
「はぁい。呼びましたか、リク様?」
「アマリーラさんを止められますか……? あのままだと、いつまでも出発できそうにないですし……ちょっとやりすぎな気がするので」
「畏まりましたぁ。お任せくださぁい。ついでに、王軍兵士達のもまとめてきますねぇ」
「お願いします」

 兵士さん達の方は、改めてリネルトさんにお願いした。
 アマリーラさんに任せていると、話が進まさそうだからね……今も、総勢四十人王軍兵士さん達に号令をかけて、色々と姿勢を変えさせているし。
 というかいつの間にか、アマリーラさんが指揮官のようになっているから、リネルトさんに止めてもらわないと。
 ……ただなんで、俺への敬礼が最敬礼なのだろうか。

 兵士さん達も一糸乱れぬ動きで本当に最敬礼しているし、訓練か何かかな?
 訓練されているのを確かめるためなのかもしれないけど、ヴェンツェルさんが選んだ人達だ、洗練された集団行動ができないわけがないのに。
 あ、リネルトさんが後ろからアマリーラさんを羽交い絞めにして止めた……いや、羽交い絞めというよりモニカさんやアンリさんよりさらに大きな胸部で頭を包み込んだという方が正しいかな?
 とりあえず、あちらは任せておけばいいか。

「ガァ?」
「リーバーは、ワイバーン達をまとめて兵士さん達を乗せる準備を。ミームさんはモニカさん達がなんとかしてくれるだろうから。俺はエルサと……」
「任せるのだわ~」

 自分は何を? と聞くように鳴くリーバーに、ワイバーン達の方の準備を頼む。
 俺の方は俺の方で別の準備を……と、頭にくっついていたエルサが離れ、ほのかな光と共に巨大化。

「えーと……フィリーナとカイツさんは兵士さんから数人、荷物を運ぶ人を連れてきてくれるかな?」
「わかったわ。――ほらカイツ、行くわよ!」
「……こんな雑事に駆り出されるとは。もっとずっとワイバーンを観察しなければならないというのに」
「いいから、来るのよ!」
「ははは……ワイバーンの研究は、王都に付いてからにして下さいね~」

 ワイバーンの方へ駆け出そうとするカイツさんを留めていたフィリーナに、兵士さん達の一部を連れてきてもらうようにお願い。
 大きくなったエルサに、荷物を載せないといけないからね……二人のやり取りを聞きながら、とりあえず手を振って見送った――。


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