神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
1,734 / 1,955

人数が多い程女性のお風呂は長いのかも

しおりを挟む


「ふい~、なのだわ」
「はふ~。お風呂に浸かると、ついつい大きく息が漏れるよね~」

 エルサを洗い終わって湯船にプカプカ浮かんでご満悦な様子を眺めながら、俺自身も浸かって大きく息を吐く。
 今回、エルサは直接魔物と戦わず空を飛んでいるだけだったから、特に汚れている程ではないんだけど、お風呂はお気に入りの一つみたいだからね。
 毎日しっかり洗っても大丈夫なのかと、少し心配になった事もあったけど……問題ないどころからむしろモフモフ度が増している気もするので、今日も最高で至高のモフモフを維持するために頑張ろう。
 エルサを洗うのは苦労と言う程ではなく、頑張らないといけない事でもないけど。
 しばらくお風呂に浸かっていると、遅れてワイバーンに乗って魔物と戦った兵士さん達も入って来た。

 さっき話した兵士さんもだ。
 そりゃ、戦闘を終えた後だし体が汚れちゃっててもおかしくないよね。
 返り血とかは鎧がカバーしてくれるとしても、中は汗をかくだろうし……パレードの時全身鎧を着させてもらったけど、動くとかなり暑いんだよね。

 兵士さんも大浴場に来るのは、王城にいる人なら誰でも使えるから不思議じゃないけど、俺よりかなり後だったのは、ワイバーン達を労ったりお世話したり……あとは、戦闘の報告などをしていたためらしい。
 報告とかは当然として、ワイバーンとも仲良くやれているようで良かった。


「はぁ、いいお湯でした……ってところかな」
「気持ち良かったのだわー」
「おかえりなさいませ、リク様」

 大浴場を出て、満足そうなエルサと一緒に部屋に戻る。
 先に大浴場に行ったモニカさん達がいる……と思ったけど、迎えてくれたのはヒルダさんとくつろぎながらお茶をズズズ……と音を立てて飲んでいるエアラハールさんだけだった。
 皆はまだお風呂から出てきていないのか。

 兵士さんと話したり、エルサを洗ったりもして結構時間が経っていたし、俺自身カラスの行水みたいに入浴時間が短いわけでもないはずなんだけど……女性のお風呂は長いものだから、仕方ないのかな。
 長い髪とか、洗うの大変そうだし。

「モニカ様方は、一度この部屋に戻って来られましたが、その際ちょうどリリーフラワーでしたか。リク様が連れて来られた冒険者の方々が訪ねて来られまして。ついでにと大浴場へ行かれました」
「あぁ、ルギネさん達も」

 大人数になったから、さらに時間がかかっているのかもしれないね。
 ちなみにルギネさん達は俺が連れてきたとはいえ、一応部外者となっているから王城までは来れてもこの部屋までは来れなかったらしい。
 まぁ俺の知り合いだからと、誰でも通していたらお城としてのセキュリティーが心配になるから仕方ない。
 訪ねてきているという話を聞いて、モニカさん達が迎えに行ったついでに許可を取って大浴場へ、という事らしい。

「リリフラワーの皆は、城下町で宿を取っているんでしたよね?」
「はい、そのように聞いております。モニカ様方と同じ宿をマティルデ様が紹介したようですが、別の宿を選んだと。なんでも、自分達には合わないからとか」
「急に豪奢な宿を用意されたら、躊躇する気持ちもわかるのう。ワシも同じじゃて」
「……エアラハールさんは、気にせず王城に泊っているみたいですけど」

 モニカさん達がこれまで泊っていた宿は、城下町の中でも王城近くで貴族御用達の高級宿……センテで俺達に用意されたような宿だから、なれないルギネさん達は遠慮したんだろう。
 王城の部屋を宛がわれた俺や、同じ高級宿を用意されたモニカさん達も、最初は遠慮していたけどあの時は断ろうなんて余裕はなかったからなぁ。
 俺の場合は特に、姉さんと再会して気付いたら今の部屋を使わせてもらう事になっていたし……。
 それに対して、エアラハールさんはヴェンツェルさんに呼ばれて王城に来た時から、特に躊躇したり遠慮したりするような様子はなかった。

「ワシだって図太く、当然とばかりに王城の部屋を使っているわけではないぞ? ただ伊達に年は食っておらんというだけの事じゃ。Aランクの冒険者としても長かったからの、それなりの経験もあったのもある」

 Aランクとなると、貴族からの指名依頼もあったりして、それなりにいい宿を使う機会とかもあったんだろう。
 危険は当然高まるけど、報酬も高い依頼も受けられるようになるしね。
 ヴェンツェルさんとの関係があるかはわからないけど、王城に入る事ももしかしたら過去にあったのかも。

「リク様、エルサ様をお預かりします」
「あぁ、はい。よろしくお願いします」
「良きにはからえなのだわー」
「こらこら、お世話してくれるんだからそんなに偉そうにするんじゃないぞエルサ」

 お風呂上りでまだ完全に毛が乾いていないエルサに気付いたのか、抱いていた俺からヒルダさんが率先して引き受けてくれる。
 どこのお貴族様だよと思いながら、一応エルサに注意……気分良さそうだから、冗談を言っているだけだろう。
 水気はしっかり拭き取っているけど、やっぱりそれだけでは完全に乾かせないからね。
 ドライヤーもどきの魔法が使えないから、今はなんらかの方法で風を送るもしくは、風がない状態で乾くまで櫛などで毛が乾くまで梳かすんだけど、それをヒルダさんがやってくれるってわけだ。

 ヒルダさんも、俺と同じくエルサのモフモフが損なわれないように……というわけではなく、お世話してくれるってだけだと思う。
 とりあえずエルサの方はいいとして、俺の方も風邪を引かないように気を付けながらヒルダさんが淹れてくれていた、温かいお茶を飲んでくつろぐ。
 エアラハールさんとも、ちょっとした話をしながら過ごしていると、エルサがヒルダさんのテクニックでモッフモフの毛になってテーブルの上で「そろそろお腹が空いたのだわ……」なんて言いながらゴロゴロしていたくらいに、モニカさん達がお風呂から上がったようだった。
 ルギネさん達は宿に戻ったらしく、モニカさん達だけだったけど……お風呂に入りに王城に来たわけじゃないと思うけど、ルギネさん達はどんな用があったんだろう?

 それはともかく、お風呂上りで上気した頬や少しだけ湿っている髪など、妙な色気を感じて視線が自然とモニカさんにばかり向かってしまう。
 センテでは食堂で食事しながら話す事が多かったし、お風呂はその後で別々の部屋で就寝だったため、久々にお風呂上がりのモニカさんを見たけど……。
 意識するようになったのもあってか、視線を無理矢理外しても気付いたら追いかけるようにモニカさんを見ていたり……本人や皆に気付かれてしまうんじゃないかとドキドキした。
 ……ドキドキしたのは、それだけじゃないかもしれないけど――。


「はぁ~、満足満足なのだわ~。このまま寝たいのだわ~」
「食べてすぐゴロゴロ……というか寝ると、牛になるぞエルサ」
「牛は美味しいのだわー」

 満足するくらい食べたのに、牛と聞いてすぐ食べる発想が出て来るとは……。
 それはともかく、皆がお風呂から上がった後は夕食の時間。
 会議やら何やらで、日中は忙しい姉さんも加わっての夕食を終えてのひと時、満腹感からかテーブルの上でゴロゴロしているエルサだけでなく、なんとなく部屋の皆が緩んだ空気を醸し出していた――。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ

天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。 彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。 「お前はもういらない」 ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。 だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。 ――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。 一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。 生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!? 彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。 そして、レインはまだ知らない。 夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、 「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」 「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」 と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。 そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。 理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。 王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー! HOT男性49位(2025年9月3日0時47分) →37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル
ファンタジー
 異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!  主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。  亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。  召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。  そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。  それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。  過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。 ――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。  カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

処理中です...