転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
731 / 1,191
第二十八章 エマさんとオリビアさんの結婚

九百二十七話 新郎新婦お披露目パレード

しおりを挟む
 ちなみに、新しい夫婦のお披露目パレードなので、辺境伯様や先々代夫人は馬車には乗りません。
 でも、護衛の為にスラちゃんとプリンに加えて、エマさんとオリビアさんの従魔でもあるマジカルラットのクリームとクッキーも同乗します。
 サギー伯爵領兵も、領主の結婚パレードとあってかなり張り切っていました。
 もちろん町の人も沢山集まっていて、今か今かとワクワクしながら待っていました。
 僕たちも、馬車を見送る準備を整えました。
 特に、ミカエルたちもワクワクしながら待っていました。

「それでは、出発する」
「「「しゅっぱーつ!」」」
「「「わー!」」」

 先頭にいる兵の合図に答えるかのように、住民も大きな歓声を上げました。
 そして、ゆっくりと馬車は出発しました。

「すごーい、お花が沢山舞っていて雪みたいだよ!」
「凄いね、綺麗だね」

 僕たちが沢山集めた花びらを、集まった人が空高く投げていました。
 リズとエレノアだけでなく、特に女性陣もこの光景にうっとりしていました。
 この分だと、スラちゃんがちょうど良く舞うように風魔法を使っていますね。
 そして、新郎のキースさんも新婦のエマさんとオリビアさんも、住民に向けてにこやかに手を振っていました。
 スラちゃんとプリンだけでなく、クリームとクッキーもちょこちょこと触手と小さい手を振っています。
 この光景だけでも、三人の結婚が領民に祝福されていると一目で分かりました。

 パカパカパカ。

 そして、馬車は町中を進み僕たちからも小さくなっていきました。
 では、僕たちは一足先に屋敷に戻ります。
 この後は、屋敷の中で披露宴が行われます。
 みんな、とても良い笑顔で屋敷へ歩いています。

「あのね、花びらを沢山集めたんだよ!」
「僕も、沢山集めた!」
「あら、そうなのね。お姉ちゃんの為に、一生懸命頑張ったのね」
「「そーだよ!」」

 もうニコニコが止まらない双子ちゃんは、道中も仲良く手を繋ぎながら色々な人に声を掛けていました。
 ミカエルたちもフラワーボーイとフラワーガールを頑張ったと、主に新郎新婦の同級生と話をしていました。
 みんなでお話をしながら、無事に屋敷に到着しました。
 でも、みんなは未だ屋敷の中に入りません。
 馬車が戻ってくるのを、今かと待っています。

「あっ、見えたよ!」
「馬車がやって来たね」

 十分ほど待つと、賑やかな声とともに馬車が通りに姿を現しました。
 目の良いリズたちが直ぐに馬車を見つけたけど、この大歓声を聞けば誰でも分かりますね。
 笑顔でみんなに手を振る新郎新婦も、僕たちの存在に気がついたみたいです。
 ミカエルたちも、一生懸命に手を振っていますね。

「全体、止まれ!」

 そして、責任者の掛け声で馬車は止まり、新郎新婦が馬車から降りてきました。
 沿道に集まった人たちにも手を振っているけど、相変わらずスラちゃんとプリン、それにクリームとクッキーもちょこちょこと手を振っています。
 これで、パレードも無事に終了です。
 全員が、屋敷の中に入っていきます。
 ちなみに、新郎新婦はお色直しがあるので、衣装部屋に向かいました。

「スラちゃん、プリンちゃん、ご苦労さまね」
「一生懸命触手を振っていて、とても可愛かったよ」

 僕たちのところにやってきたスラちゃんとプリンを、リズとエレノアが褒めていました。
 二匹とも、仕事をやりきったと満足そうにしていました。
 ご褒美として、美味しいものを食べないとね。

「しかし、嫌味になるくらい絵になっていたな」
「二人とも美人だから、余計にウェディングドレスが映えたわね」
「町の人も大歓声で祝福していたし、これからも大丈夫だろうな」

 新郎新婦の同級生も、無事にパレードが終わってホッと胸を撫で下ろしていた。
 パレードの出来如何で、今後の領内運営に影響が出るという。
 酷い統治をしていると、沿道に全然人が集まらないので無理矢理人を動員するそうです。
 サギー伯爵領は安定的な領地運営をしているし、この辺りは全く問題ないですね。
しおりを挟む
感想 287

あなたにおすすめの小説

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※短編です。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4800文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)

ラララキヲ
ファンタジー
 乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。  ……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。  でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。 ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」  『見えない何か』に襲われるヒロインは──── ※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※ ※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※ ◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。

解雇されたけど実は優秀だったという、よくあるお話。

シグマ
ファンタジー
 突如、所属している冒険者パーティー[ゴバスト]を解雇されたサポーターのマルコ。しかし普通のサポート職以上の働きをしていたマルコが離脱した後のパーティーは凋落の一途を辿る。そしてその影響はギルドにまでおよび……  いわゆる追放物の短編作品です。  起承転結にまとめることを意識しましたが、上手く『ざまぁ』出来たか分かりません。どちらかと言えば、『覆水盆に返らず』の方がしっくりくるかも……  サクッと読んで頂ければ幸いです。 ※思っていた以上の方に読んで頂けたので、感謝を込めて当初の予定を越える文量で後日談を追記しました。ただ大団円で終わってますので、『ざまぁ』を求めている人は見ない方が良いかもしれません。

突然伯爵令嬢になってお姉様が出来ました!え、家の義父もお姉様の婚約者もクズしかいなくない??

シャチ
ファンタジー
母の再婚で伯爵令嬢になってしまったアリアは、とっても素敵なお姉様が出来たのに、実の母も含めて、家族がクズ過ぎるし、素敵なお姉様の婚約者すらとんでもない人物。 何とかお姉様を救わなくては! 日曜学校で文字書き計算を習っていたアリアは、お仕事を手伝いながらお姉様を何とか手助けする! 小説家になろうで日間総合1位を取れました~ 転載防止のためにこちらでも投稿します。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます

今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。 しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。 王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。 そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。 一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。 ※「小説家になろう」「カクヨム」から転載 ※3/8~ 改稿中

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。