生意気Ωは運命を信じない

羊野迷路

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親友

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着替えを半分ほど終えた頃、親友のしょうが迎えに来たらしい。まだかかるだろうから上がっていきなと母さんが言っているのが聞こえた。
とりあえず髪を軽く乾かせば出られるだろうと、いつも通りにドライヤーで髪を乾かし始めた俺の元に勝がやって来た。

「おはよ。今から乾かすのかよ。まぁ髪切ってるしそんなかからんか。」

そう言って俺からスッとドライヤーを取り上げて勝手に乾かし始めた勝にぽかんとしてしまった。

「どうしたよ。可愛い顔して。」

勝の言葉の意味が分からず更にポカンとしていると、髪を乾かし終わったようでサラサラだねなどと言いながら俺の髪を触っている。

「なんか変なもん食ったんか?」

こいつはこんな事言う奴じゃないと思い聞いたものの、

「なわけ。可愛いから可愛いって言ったんだよ。しんは俺のこと変だと思ってるんだろうけどさ、普通にしんが可愛いだけなんよ。」

なるほど、隠しているとはいえ、こいつはかなり分かり易いαだ。もしかしたら同じα以外なら多少可愛く見えるフィルターかなんかがかかってるのかもしれない。
そう思ってとりあえずそっかと気のない返事だけして軽くワックスをつけようとワックスを洗面所の戸棚から出すと、勝によって阻止された。

「そんな時間ないだろ。それにしんの髪ならそのままでも様になってるって。な?」

こいつ、今日はなんかおかしい。普段からペタペタ触ってくる事はあったものの、髪型など容姿に関しては口出ししてくる事はなかったし、ついこの前まではずっと母さんと喋ってて、おれの髪を乾かしてくれるなんて事なかった。

「お前まじでどうしたよ?なんかキモいぞ。」

心底不思議でそう言うと、

「キモいとか酷すぎな。もうそろ出ないとやばいしさ、早く行こ。」

そう言っておれの手を引いて荷物を置いてあるリビングへと向かった。


「「いってきます。」」
「二人ともいってらっしゃい。新、準備したらお父さんと向かうから。」

そう言ってドアを閉めながら手を振った母さんに手を振り返して学校へ向かった。

「なぁ、しんは何選んだ?」

唐突に聞かれて何のことだとキョトンとしていると、

「だから、可愛い顔してどうしたよ。今日ずっと可愛いな。」

勝のフィルターは相当強いらしい。生まれてこの方可愛いなんて言われた事はないはずなので、こいつはおれとは違うものが見えてるか、自分より小さければ可愛く見える様なフィルターでもかかってるんだろう。

「何選んだって主語なきゃわかる訳ないだろ。」
「えー俺はしんが何の事言ってるかくらいは普通にわかるんだけどなぁ?まぁいいや。理科と芸術だっけ?あれの選択だよ。俺は化学、あ!ばけがくの方な。で、第一希望は美術の第二希望は音楽な!正直何もしたくねぇけど選ばなきゃなんないからマシな順て感じだな。しんは?」
「おれは生物。第一が書道で第二が美術かな。おれもマシな順でえらんだわ。」

マシだと思っただけで書道なんて小学校での書き初めしかしたことないけどな。

「書道が第一とか笑
しんは書き初めしかした事ないだろ笑。」

正にそうなのだが、美術や音楽はこれまでの人生で嫌になる程受けてきた。特に音楽なんて真面目に受けられないくらいにはふざけ倒してきたのだ。選ぼうなんて思えない。

「でもさ、音楽よりはマシじゃね?歌わされたらおれたぶん1しか取れないと思うし。」
「たしかに音楽だったらしんは真面目にできないだろうしな。」

そんな感じの会話をしながら高校まで歩きとバスを使い、おれの家から30分程でこれからおれ達が通う高校、翠鳳高校に着いたのだった。
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