生意気Ωは運命を信じない

羊野迷路

文字の大きさ
6 / 11

入学式

しおりを挟む

「りょうも4組なら勝ちだな!もし隣ならついでに勉強教えてくれ!」

「俺よりも隣にいる人にお願いしたらー?笑」

そう言って勝とおれをからかうりょうの真後ろに、人が来た。

「君はりょうって言うんだね。僕はさとるって言うんだけど、僕と付き合わない?」

俺らどころか周辺の皆が驚いているというのに、悟?はニコニコとしてりょうの返事を待っているように見える。
おれがりょうを見てみると、強張った様な顔をしていた。表情的に介入した方が良さそうかなと思って間に割って入った。

「えっと、悟くんって呼んでも良いかな?悟くんはさ、なんでりょうに、了平りょうへいに声をかけたのかな?」

そう言ったぼくを心底嫌そう顔で見ながら

「僕はりょうと話してるんであって、君とは話してないよ。そもそも君みたいな奴に名前で呼ばれたくないんだけど。」

コイツ、ケンカ売ってるな?そう思ったものの、すぐ挑発に乗るなと母さんに言われているので、一旦落ち着こうと一呼吸していた時だった。

「…お前、馬鹿だろ。」

そう言ったのは勝だった。いつもならおれを宥める役目をしてるのに。

「は?お前だれだよ。」
「お前こそ誰だよ。お前が了平に名前しか言わねえんだから俺らはお前の名前しか知らねえわけよ。そもそも初対面で付き合わない?ってお前馬鹿だろ。それも俺らが話してる最中に。その上、了平の親友である新にケンカふっかけて。馬鹿以外に何があるよ。」

悟?は一瞬バツが悪そうな顔をしたものの、正論を言われた事でよっぽど腹が立ったのか、さらにケンカを売るような事を言って来た。

「りょうの親友だったのか。なら謝るよ。僕は笹本悟ささもとさとるだよ。りょうは悟くんって呼んでね。お前らは笹本って呼べよ。」
「お前さ、本物の馬鹿だろ。それめっちゃ印象悪いぞ。」

おれがそう忠告してやってると、

「勝くんありがとう。ちょっと俺は関わりたくないから隠して。」

りょうはそう言って勝の後ろに隠れてしまった。

「おいこらりょうに何してんだ「そろそろ説明始めるから全員教室に入れー。」」

タイミングが良いと言えばいいのか、先生達が数人やって来て、廊下にいる生徒に教室に入るよう促した。

「お前らケンカか?そんな事してるヒマあったら教室入れ。お前は何組だ?4組か?ならこれ配っとけ。」

先生の言葉におれとりょうが頷くと、入学式の簡単な流れと、注意点等が書かれた紙を渡された。
笹本は別のクラスらしく、しっしっと先生にされて教室に向かいながら言った。

「りょう、また後でね!」

おれとりょうは顔を見合わせてげんなりした。

「じゃあ俺も行くな。しんは怒り抑えられて偉かったな。また後で話そう。」

そう言って俺の頭を軽く撫でてから、勝は自分のクラスへと向かって行った。









思ってたよりは長くなかった入学式が終わり、教室に戻ったら、ちょっと待っとけと言って担任が教室から出て行った。
りょうの予想通り、おれとりょうは隣の席だった。

「にしてもさ、勝くんなんか変わったね。なんか、しんに甘くなってる。」
「なんか、可愛いフィルターみたいなんが搭載されたみたい。おれにすら可愛いとか言ってた。」
「何言ってるの?しんは可愛いよ?俺、自信なくなりそうだもん。」

りょうまでおかしくなったのか?

「…りょうまでおかしくなったのか?」

思わず心の中で思ったそのままが出てしまった。今までりょうの前でだけは取り繕ってきた、どこか大人っぽいカッコいいおれ像を崩してしまった。
そう思いながらりょうを見たが、りょうはいつもと変わらない。よかった。内心ほっとしたおれに

「やっぱしんってさ、カッコいいよね。」

そう言ってりょうはおれから視線を外し、前を向いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

美澄の顔には抗えない。

米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け 高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。 ※なろう、カクヨムでも掲載中です。

ラベンダーに想いを乗せて

光海 流星
BL
付き合っていた彼氏から突然の別れを告げられ ショックなうえにいじめられて精神的に追い詰められる 数年後まさかの再会をし、そしていじめられた真相を知った時

愛しい番に愛されたいオメガなボクの奮闘記

天田れおぽん
BL
 ボク、アイリス・ロックハートは愛しい番であるオズワルドと出会った。  だけどオズワルドには初恋の人がいる。  でもボクは負けない。  ボクは愛しいオズワルドの唯一になるため、番のオメガであることに甘えることなく頑張るんだっ! ※「可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない」のオズワルド君の番の物語です。 ※他サイトでも連載中 2026/01/28 第22話をちょっとだけ書き足しました。

【BL】無償の愛と愛を知らない僕。

ありま氷炎
BL
何かしないと、人は僕を愛してくれない。 それが嫌で、僕は家を飛び出した。 僕を拾ってくれた人は、何も言わず家に置いてくれた。 両親が迎えにきて、仕方なく家に帰った。 それから十数年後、僕は彼と再会した。

処理中です...