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電車内の怪異
三
しおりを挟むプシュッウっと音を立てて開くドア。
外の景色は普通の駅と対して変わらない。
ただいつも通る駅にはない駅だ。
窓から見える景色はやはり草原ばかり……。
「匠………」
不安になって名前を呟けば、変わりに強く手が握られた。
まるで大丈夫だと言ってるかのように。
私もきっと酷い顔をしてるだろうけど、匠も酷い顔をしてる。
疲れたような窶れたような…それでいて強ばりっぱなしの表情。
どのくらいそのままだったんだろう。
ドアは開いたきり閉じようとしない。
乗客を見れば、はやり皆寝ている。
それでも降りるという考えはなかった。
降りてもろくな事にはならないだろう、それに私達が目指すのは”きさらぎ駅”なのだから。
電車はさんず駅に止まったまま。
どのくらい無音状態が続いただろう………。
それを覆したのは一人の男性の悲鳴だった。
外…つまり
さんずから聞こえる悲鳴。
断末魔と言ってもいい。
それ程に酷い悲鳴が突如上がって、私と匠はビクッと飛び跳ねた。
姿は見えない。
辺りを見渡してもそれは草原ばかりの美しい風景ばかり。
姿は見えないが悲鳴からいってだいぶ近いのだと判断できた。
耳障りなほどに心臓の音がどくどくと音を立てる。
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