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第1章
第3話(1)
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買いこんだ食料品を抱えて急いで帰宅すると、自宅アパート前にはすでに、警察車両と思われる見慣れないセダンが一台駐められていた。二階の開放廊下を見上げれば、開いている自宅玄関のドアの向こうに複数の人影が見える。
莉音が階段を上がっていくと、廊下にはみ出すように立っていたスーツの男性が、すぐに気づいて中にいるだれかに声をかけた。
「ああ、佐倉さん。先程はどうも」
奥から出て来たのは、いましがた電話で話をした山岡だった。
最初に莉音に気づいた刑事らしき男性が、自分の躰でドアを押さえながら脇によける。それに向かって軽く頭を下げながら、スーツ姿の男性がもうひとり、おもてに出てきた。
「すみません、遅くなりました」
「いえいえ、こちらこそ急で申し訳なかったです。おかげさまで、いまちょうど、ご本人とも確認が取れまして」
言いながら、山岡が傍らの人物に目を向ける。縁なしの眼鏡をかけた、二十代後半くらいの日本人男性だった。知的な雰囲気を持ち合わせた、やわらかな物腰の人物である。
「このたびは弊社の社長がいろいろとお世話になりましたようで、本当にありがとうございました」
「社長さん、ですか?」
戸惑う莉音に、男性は名刺を差し出した。
「失礼いたしました。わたくし、ヴィンセント・インターナショナルという会社で社長秘書をしております、早瀬宗一郎と申します」
「あ、はい。佐倉莉音です」
「佐倉さん、本当に助かりました。あなたが身柄を預かってくださっていた男性は、弊社社長のアルフレッド・ヴィンセントという者でして、昨夜から連絡がつかなくて捜しまわっていたところでした」
「そうですか。無事見つかってよかったです」
「はい、これもすべて佐倉さんのおかげです。なんとお礼を申し上げたらいいか」
「あ、いいえ。僕はなにも。っていうか、むしろ襲われそうになった僕を庇ってくださったのが原因なので、かえって申し訳なかったです」
「いえいえ、とんでもない。どうやら最初によからぬ連中と揉めていたのは、ヴィンセントのほうだったようですから」
「早瀬」
部屋の奥から聞きおぼえのある声が聞こえてきて、視線を向けるとくだんの人物が玄関口から現れた。
長身という理由からだけでなく、こうして複数の人たちの中にいると、自然と目が引き寄せられる存在であることがよくわかる。ひときわ整った容姿であることももちろんだが、纏っている風格そのものが、あきらかに一般の人間とは異なっていた。
莉音が階段を上がっていくと、廊下にはみ出すように立っていたスーツの男性が、すぐに気づいて中にいるだれかに声をかけた。
「ああ、佐倉さん。先程はどうも」
奥から出て来たのは、いましがた電話で話をした山岡だった。
最初に莉音に気づいた刑事らしき男性が、自分の躰でドアを押さえながら脇によける。それに向かって軽く頭を下げながら、スーツ姿の男性がもうひとり、おもてに出てきた。
「すみません、遅くなりました」
「いえいえ、こちらこそ急で申し訳なかったです。おかげさまで、いまちょうど、ご本人とも確認が取れまして」
言いながら、山岡が傍らの人物に目を向ける。縁なしの眼鏡をかけた、二十代後半くらいの日本人男性だった。知的な雰囲気を持ち合わせた、やわらかな物腰の人物である。
「このたびは弊社の社長がいろいろとお世話になりましたようで、本当にありがとうございました」
「社長さん、ですか?」
戸惑う莉音に、男性は名刺を差し出した。
「失礼いたしました。わたくし、ヴィンセント・インターナショナルという会社で社長秘書をしております、早瀬宗一郎と申します」
「あ、はい。佐倉莉音です」
「佐倉さん、本当に助かりました。あなたが身柄を預かってくださっていた男性は、弊社社長のアルフレッド・ヴィンセントという者でして、昨夜から連絡がつかなくて捜しまわっていたところでした」
「そうですか。無事見つかってよかったです」
「はい、これもすべて佐倉さんのおかげです。なんとお礼を申し上げたらいいか」
「あ、いいえ。僕はなにも。っていうか、むしろ襲われそうになった僕を庇ってくださったのが原因なので、かえって申し訳なかったです」
「いえいえ、とんでもない。どうやら最初によからぬ連中と揉めていたのは、ヴィンセントのほうだったようですから」
「早瀬」
部屋の奥から聞きおぼえのある声が聞こえてきて、視線を向けるとくだんの人物が玄関口から現れた。
長身という理由からだけでなく、こうして複数の人たちの中にいると、自然と目が引き寄せられる存在であることがよくわかる。ひときわ整った容姿であることももちろんだが、纏っている風格そのものが、あきらかに一般の人間とは異なっていた。
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