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運動会が終わって、タケルは島じゅうの人気者になった。
海岸通りを歩いていたら、会う人みんなが声をかけてくる。となりの大下のおばちゃんなんか、たびたびタケルに食べてって、晩ご飯のおすそ分けを持ってきてくれる。
校長先生だって、
「タケルくんはよくがんばってくれたな」ってほめてくれた。
漁協の組合長さんからは、
「あの裏の浜をなぁ、これから『タケル浜』って呼ぶことにしたぞ」なんて言われた。
そんな、はずかしいよ。
「たしかにタケちゃんはよくがんばったよね」
「うちの父さんなんか、タケちゃんが買い物にきたら、必ずお菓子を一個おみやげって渡すんだもん」
なみ子さんとみな子さんはそういうが、本当はうらやましがってるんだ。
「でも、もうちょっとうちらのいうことを聞いていたら、もっと全体がしまってたよ」
「そうね、なみちゃんもみなちゃんもよくがんばってたわ」
中原先生は、二人の気持ちがわかってそういった。
「二人とも、うまくタケルくんをサポート出来てたわよ。さすが六年生ね」
そうかなあ?あんまり二人にお世話になった気はしないけど。
ぽんちゃんとモンタとウリ坊は、学校裏の山道で海神様に出会った。
「おお、今日はモモタロウは一緒じゃないのか?」
「タケルはまだ学校の時間だよ」
「そうかそうか。あのモモタロウは、まだまだお前たちのリーダーとしては弱い。しかし、あの少年はきたえがいがある。わしがしばらくきたえたら、本物のモモタロウになるぞ。今度、寺の奥の修行場に来るように、そう言っておきなさい。お前たちも一緒だぞ」
ぽんちゃんたちは、さっそくタケルに伝えた。
「海神様が、今度タケルに楽しい話しをしてやろう、って言ってたぞ」
次の日曜日、みんなでお寺の裏山のログハウスまで行った。お寺からずい分上にのぼったところだ。
「おお来たか少年。さっそくじゃ。この修行場のまわりをそうじをしろ。かべのすみずみまでぞうきんでよくふくんだぞ」
修行場といったって、海神様の住まいじゃないか。自分の家くらい自分でそうじしろよ。中の部屋なんてとんでもなくよごれているぞ。
「なんだ、楽しい話が聞けるんじゃなかったのか?」
「ばかもの!楽しみは苦しい修行のあとと決まっとろうが!」
神様相手じゃしょうがないなあ。
「おい、モモタロウそうじ隊の活動開始だ!ぽんちゃんもモンタもウリ坊も、ぞうきんを持て。オレがふいていく順番をいうから、みんなその通りに動くんだぞ」
「えっ!オレたちに仕事を押し付けるのか?」
「おいおい、そりゃだめじゃ!タケルの修行にならんじゃろ。モモタロウが真っ先にそうじしてみせて、みんなの手本にならなくちゃ」
海神様、ぼくにうらみでもあるのか。そうタケルは思った。
「そうだそうだ。ぼくたちはタケルのやってることを見習ってそうじするからさ。そうじのいいお手本を見せてくれよ」
まあ、それもそうだな。オレ、こいつらの大将だもん。
そう思って、ログハウスの外をモップでごしごし。もうずい分そうじしてないんじゃないのか。すぐにモップがよごれて水洗いしなくちゃいけない。ずっと高い所を見上げて、モップを伸ばしてごしごしふくんだぞ。
すぐに腕がいたくなった。首もいたくなった。
「あーあっ。お師匠さま、もうこれくらいでいいですか?」
「ばかもん!まだ始めたばっかりじゃ。土ぼこりが全然取れてないじゃろうが。上から下まできれいによごれをふき取るんじゃ。そうじも修行じゃ。学校のそうじみたいに、十分やニ十分で終わるものか。外が終わったらこの回りの草取りじゃ」
ええ、まだまだあるのか。お寺の小僧さんになったわけじゃないのにさ・・・
「お師匠さま、ずいぶん汚れてるけど、いつからそうじしてないんですか?」
「そうじゃのう。これを作って十年はたつから、そうじをするのはそれ以来かな」
「えッ!それをぼくらにやらせるの?」
「そうじをすることまでは考えずに作ったからな」
「作ったって、お師匠さまが自分で作ったんですか?」
「あたりまえじゃ。動物はみんな自分の住む所くらい自分で作る。裏の山から木を切ってきて、それをけずって組み立てる。これくらいのログハウスなんか簡単じゃ。のう、動物諸君よ」
ぽんちゃんもモンタもウリ坊も、海神様のいうことはよく聞く。
「モモタロウより君たちの方がよく働くなあ。あとで、キビ団子をあげよう」
ぽんちゃんはテラスの床をモップでふいているし、モンタはカベをのぼってぞうきんでひさしをふいている。ウリ坊はというと、もう草取りに夢中だ。というより、草の根っこをおいしそうに食べている。
「ウリ坊、また太っちゃうぞ。もうウリ坊じゃなくて、イノ坊だ」
「でも、ちゃんと草をとってるよ。根っこから食べなきゃ、すぐにはえてくるんだ」
「モンタはいいよな。ひさしのかげで涼しいもん」
「ひさしはなあ、目立たないけど一番汚れてるんだぞ!」
「ははは、おまえたちを見てると、いつもゆかいになるなあ」
岡田さんはうれしそうな顔をして、そうじ隊を見ている。自分はなにもせずに、ただうれしそうに見ているんだ。
「岡田さんって、自分の家のそうじを人にやらしてるだけじゃないか!なあぽんちゃん」
タケルはぽんちゃんに小声で言った。
「そうかもしれないけど、でもタケルくんにはいい修行だと思うよ」
ぽんちゃんて、ひょっとしてお寺の小僧さんだったんじゃないのか?
ぶつぶつ言いながら、でもそうじばかり一時間もやった。
「よし。それじゃあ部屋に入ってよろしい。約束通り月見団子をやるぞ」
「わーい!まってました」
ウリ坊が真っ先に入った。
部屋の中だって外以上にきたないぞ。
でも、
「この中の物はぜったいつつくんじゃないぞ!」だって。
そんな大して大事なものはなさそうだけどなあ。きゅうくつだけど、小さなテーブルの回りに座らされた。
「えっ!月見団子?」
お皿にいっぱいあるけど、みんなカチカチだよ。おまけに一個取ったら、全部くっついてくる。
「お月見っておとついだったよね。食べてだいじょうぶかなあ」
「安心せい。上から熱いお湯をかけてやる。すこしふやけたら、取りやすくなるじゃろうが」
モンタやウリ坊は喜んでいるが、タケルはちょっと食べる気にはならない。でもみんながおいしそうに食べてるから、一個だけ取ってみた。一個つまんだつもりが、お湯をかけてもまだ四つくらいかたまってついてきた。
「わあ、こんなには食べれないよ」
「じゃあぼくが」
ウリ坊はすぐにくっついた団子に鼻をくっつけて、三個をいっぺんにぱくっ。
ウリ坊って、こんなことはうまいんだ。タケルに一個だけ残した。
「お湯をかけたって、上の方だけがねちゃっとしてて、中はまだカチカチじゃないか」
「ぜいたく物!お檀家からのいただきものだぞ。文句を言ってはバチがあたる」
でも、なんか違ってると思うんだけどな。
「よし。これから腹ごなしだ。学校で野球をやるぞ!」
「えっこれからすぐに?」
「そうじゃ。修行はまだ終わってない!これからノックの嵐じゃ」
体育倉庫から、バットとグローブとソフトボールを持ってきて、
「いいか、これからシートノックだ!おまえたちみんな、最初は内野を守れ。最初はゴロで、だんだんとフライを上げて、少しずつ遠くに飛ばしていくぞ。しっかりつかむんじゃ」
なんだ、自分が昔みたいに野球のコーチをしたかっただけじゃないか。
「最初はモンタだ。ゴロが行くぞ。うまい!よく素手でつかんだなあ」
「つぎ、ウリ坊。これもよく球を見てるぞ。自分の前で球をよく止めたじゃないか」
「さて、タケルだぞ。タケルはグローブをつけてるんだから、小さなフライを飛ばすが、ワンバウンドでキャッチしろよ」
ワンバウンドしてからキャッチだな。
岡田コーチはさすがにうまい。タケルのいるちょっと前に球をバウンドさせる。タケルは球の飛んできた方に動いた。あれっ、
「今、イレギュラーしたぞ。球が横に飛んでっちゃった」
「そんなことはよくあることじゃ。球の動きに合わせて体を動かす。必ず体の正面で球を止めなきゃな」
そんな、野球選手じゃないんだぞ。いつからモモタロウ野球部になったんだ。まだ少学三年生なんだ。そんなこと言われたって簡単にはできないよ。
「じゃあ、今度は小フライをノーバウンドで取ってみろ。ほれ・・・。ああ、だめだめ。体がふらふらしてるだろ。球が落ちてくる位置に動いて、グローブを構えておかなくちゃ」
タケルの構えた位置の後ろの方で球が落ちた、・・・かと思ったら、ぽんちゃんがダイビングキャッチ!
「ナイスプレーだ!ぽんちゃんはすぐに試合で使えるな。タケルは、これからしばらく特訓だ」
そんな無茶な。だってグローブがタケルには大きすぎるんだ。中学生が使ってたグローブだろ。これでどうやってつかめっていうんだ。
「よし、また来週の日曜日に練習だ。じゃあグランドの整備をするぞ。体育倉庫からトンボを持ってきて、グランドの砂をきれいにならすんだ。そのあとで、体育倉庫をきれいに整とん」
えっ、またそうじか?もうつかれたよ!
全部終わったら校舎の向こうに夕陽が沈んでいく。海神様は真っすぐそれを指さした。
「お前たちの青春は、また明日も続いていくぞ!」
なんて、まるでスポコンドラマみたいなことを言ってるよ。
「タケル、悲しい時はいくらでも泣いていいんだぞ。しっかり泣け。それが青春の特権だ。泣いて泣いて、でもいつか必ず笑える日がくるんだ」
タケルにはなんのことだか分からない。海神様は変なおじいちゃんだ。でも、昔はそうとうな熱血コーチだったんだろうな
海岸通りを歩いていたら、会う人みんなが声をかけてくる。となりの大下のおばちゃんなんか、たびたびタケルに食べてって、晩ご飯のおすそ分けを持ってきてくれる。
校長先生だって、
「タケルくんはよくがんばってくれたな」ってほめてくれた。
漁協の組合長さんからは、
「あの裏の浜をなぁ、これから『タケル浜』って呼ぶことにしたぞ」なんて言われた。
そんな、はずかしいよ。
「たしかにタケちゃんはよくがんばったよね」
「うちの父さんなんか、タケちゃんが買い物にきたら、必ずお菓子を一個おみやげって渡すんだもん」
なみ子さんとみな子さんはそういうが、本当はうらやましがってるんだ。
「でも、もうちょっとうちらのいうことを聞いていたら、もっと全体がしまってたよ」
「そうね、なみちゃんもみなちゃんもよくがんばってたわ」
中原先生は、二人の気持ちがわかってそういった。
「二人とも、うまくタケルくんをサポート出来てたわよ。さすが六年生ね」
そうかなあ?あんまり二人にお世話になった気はしないけど。
ぽんちゃんとモンタとウリ坊は、学校裏の山道で海神様に出会った。
「おお、今日はモモタロウは一緒じゃないのか?」
「タケルはまだ学校の時間だよ」
「そうかそうか。あのモモタロウは、まだまだお前たちのリーダーとしては弱い。しかし、あの少年はきたえがいがある。わしがしばらくきたえたら、本物のモモタロウになるぞ。今度、寺の奥の修行場に来るように、そう言っておきなさい。お前たちも一緒だぞ」
ぽんちゃんたちは、さっそくタケルに伝えた。
「海神様が、今度タケルに楽しい話しをしてやろう、って言ってたぞ」
次の日曜日、みんなでお寺の裏山のログハウスまで行った。お寺からずい分上にのぼったところだ。
「おお来たか少年。さっそくじゃ。この修行場のまわりをそうじをしろ。かべのすみずみまでぞうきんでよくふくんだぞ」
修行場といったって、海神様の住まいじゃないか。自分の家くらい自分でそうじしろよ。中の部屋なんてとんでもなくよごれているぞ。
「なんだ、楽しい話が聞けるんじゃなかったのか?」
「ばかもの!楽しみは苦しい修行のあとと決まっとろうが!」
神様相手じゃしょうがないなあ。
「おい、モモタロウそうじ隊の活動開始だ!ぽんちゃんもモンタもウリ坊も、ぞうきんを持て。オレがふいていく順番をいうから、みんなその通りに動くんだぞ」
「えっ!オレたちに仕事を押し付けるのか?」
「おいおい、そりゃだめじゃ!タケルの修行にならんじゃろ。モモタロウが真っ先にそうじしてみせて、みんなの手本にならなくちゃ」
海神様、ぼくにうらみでもあるのか。そうタケルは思った。
「そうだそうだ。ぼくたちはタケルのやってることを見習ってそうじするからさ。そうじのいいお手本を見せてくれよ」
まあ、それもそうだな。オレ、こいつらの大将だもん。
そう思って、ログハウスの外をモップでごしごし。もうずい分そうじしてないんじゃないのか。すぐにモップがよごれて水洗いしなくちゃいけない。ずっと高い所を見上げて、モップを伸ばしてごしごしふくんだぞ。
すぐに腕がいたくなった。首もいたくなった。
「あーあっ。お師匠さま、もうこれくらいでいいですか?」
「ばかもん!まだ始めたばっかりじゃ。土ぼこりが全然取れてないじゃろうが。上から下まできれいによごれをふき取るんじゃ。そうじも修行じゃ。学校のそうじみたいに、十分やニ十分で終わるものか。外が終わったらこの回りの草取りじゃ」
ええ、まだまだあるのか。お寺の小僧さんになったわけじゃないのにさ・・・
「お師匠さま、ずいぶん汚れてるけど、いつからそうじしてないんですか?」
「そうじゃのう。これを作って十年はたつから、そうじをするのはそれ以来かな」
「えッ!それをぼくらにやらせるの?」
「そうじをすることまでは考えずに作ったからな」
「作ったって、お師匠さまが自分で作ったんですか?」
「あたりまえじゃ。動物はみんな自分の住む所くらい自分で作る。裏の山から木を切ってきて、それをけずって組み立てる。これくらいのログハウスなんか簡単じゃ。のう、動物諸君よ」
ぽんちゃんもモンタもウリ坊も、海神様のいうことはよく聞く。
「モモタロウより君たちの方がよく働くなあ。あとで、キビ団子をあげよう」
ぽんちゃんはテラスの床をモップでふいているし、モンタはカベをのぼってぞうきんでひさしをふいている。ウリ坊はというと、もう草取りに夢中だ。というより、草の根っこをおいしそうに食べている。
「ウリ坊、また太っちゃうぞ。もうウリ坊じゃなくて、イノ坊だ」
「でも、ちゃんと草をとってるよ。根っこから食べなきゃ、すぐにはえてくるんだ」
「モンタはいいよな。ひさしのかげで涼しいもん」
「ひさしはなあ、目立たないけど一番汚れてるんだぞ!」
「ははは、おまえたちを見てると、いつもゆかいになるなあ」
岡田さんはうれしそうな顔をして、そうじ隊を見ている。自分はなにもせずに、ただうれしそうに見ているんだ。
「岡田さんって、自分の家のそうじを人にやらしてるだけじゃないか!なあぽんちゃん」
タケルはぽんちゃんに小声で言った。
「そうかもしれないけど、でもタケルくんにはいい修行だと思うよ」
ぽんちゃんて、ひょっとしてお寺の小僧さんだったんじゃないのか?
ぶつぶつ言いながら、でもそうじばかり一時間もやった。
「よし。それじゃあ部屋に入ってよろしい。約束通り月見団子をやるぞ」
「わーい!まってました」
ウリ坊が真っ先に入った。
部屋の中だって外以上にきたないぞ。
でも、
「この中の物はぜったいつつくんじゃないぞ!」だって。
そんな大して大事なものはなさそうだけどなあ。きゅうくつだけど、小さなテーブルの回りに座らされた。
「えっ!月見団子?」
お皿にいっぱいあるけど、みんなカチカチだよ。おまけに一個取ったら、全部くっついてくる。
「お月見っておとついだったよね。食べてだいじょうぶかなあ」
「安心せい。上から熱いお湯をかけてやる。すこしふやけたら、取りやすくなるじゃろうが」
モンタやウリ坊は喜んでいるが、タケルはちょっと食べる気にはならない。でもみんながおいしそうに食べてるから、一個だけ取ってみた。一個つまんだつもりが、お湯をかけてもまだ四つくらいかたまってついてきた。
「わあ、こんなには食べれないよ」
「じゃあぼくが」
ウリ坊はすぐにくっついた団子に鼻をくっつけて、三個をいっぺんにぱくっ。
ウリ坊って、こんなことはうまいんだ。タケルに一個だけ残した。
「お湯をかけたって、上の方だけがねちゃっとしてて、中はまだカチカチじゃないか」
「ぜいたく物!お檀家からのいただきものだぞ。文句を言ってはバチがあたる」
でも、なんか違ってると思うんだけどな。
「よし。これから腹ごなしだ。学校で野球をやるぞ!」
「えっこれからすぐに?」
「そうじゃ。修行はまだ終わってない!これからノックの嵐じゃ」
体育倉庫から、バットとグローブとソフトボールを持ってきて、
「いいか、これからシートノックだ!おまえたちみんな、最初は内野を守れ。最初はゴロで、だんだんとフライを上げて、少しずつ遠くに飛ばしていくぞ。しっかりつかむんじゃ」
なんだ、自分が昔みたいに野球のコーチをしたかっただけじゃないか。
「最初はモンタだ。ゴロが行くぞ。うまい!よく素手でつかんだなあ」
「つぎ、ウリ坊。これもよく球を見てるぞ。自分の前で球をよく止めたじゃないか」
「さて、タケルだぞ。タケルはグローブをつけてるんだから、小さなフライを飛ばすが、ワンバウンドでキャッチしろよ」
ワンバウンドしてからキャッチだな。
岡田コーチはさすがにうまい。タケルのいるちょっと前に球をバウンドさせる。タケルは球の飛んできた方に動いた。あれっ、
「今、イレギュラーしたぞ。球が横に飛んでっちゃった」
「そんなことはよくあることじゃ。球の動きに合わせて体を動かす。必ず体の正面で球を止めなきゃな」
そんな、野球選手じゃないんだぞ。いつからモモタロウ野球部になったんだ。まだ少学三年生なんだ。そんなこと言われたって簡単にはできないよ。
「じゃあ、今度は小フライをノーバウンドで取ってみろ。ほれ・・・。ああ、だめだめ。体がふらふらしてるだろ。球が落ちてくる位置に動いて、グローブを構えておかなくちゃ」
タケルの構えた位置の後ろの方で球が落ちた、・・・かと思ったら、ぽんちゃんがダイビングキャッチ!
「ナイスプレーだ!ぽんちゃんはすぐに試合で使えるな。タケルは、これからしばらく特訓だ」
そんな無茶な。だってグローブがタケルには大きすぎるんだ。中学生が使ってたグローブだろ。これでどうやってつかめっていうんだ。
「よし、また来週の日曜日に練習だ。じゃあグランドの整備をするぞ。体育倉庫からトンボを持ってきて、グランドの砂をきれいにならすんだ。そのあとで、体育倉庫をきれいに整とん」
えっ、またそうじか?もうつかれたよ!
全部終わったら校舎の向こうに夕陽が沈んでいく。海神様は真っすぐそれを指さした。
「お前たちの青春は、また明日も続いていくぞ!」
なんて、まるでスポコンドラマみたいなことを言ってるよ。
「タケル、悲しい時はいくらでも泣いていいんだぞ。しっかり泣け。それが青春の特権だ。泣いて泣いて、でもいつか必ず笑える日がくるんだ」
タケルにはなんのことだか分からない。海神様は変なおじいちゃんだ。でも、昔はそうとうな熱血コーチだったんだろうな
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