こいちろう

こいちろう

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現代文学 完結 長編
 定年も間近となり、社内で慰労会を開いてくれた。同僚と語らいながら、勤務して四十年程の日々を振り返る。代り映えしない毎日だったように思うが、出勤途中の電車の中で、このまま乗り過ごして遠くへ行ってしまいたい、知らない所に行って、誰もいない所で一人っきりで大きな声を上げて叫びたい。そんな気持ちになったことだってある。慰労会に集まってくれた同僚の顔をこうして改めて見ていると、その日々がといとおしくなった。
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小説 8,332 位 / 217,781件 現代文学 68 位 / 9,087件
文字数 36,233 最終更新日 2026.02.13 登録日 2026.02.11
歴史・時代 完結 長編
 鸞は鮮やかな青い羽根に覆われた霊鳥である。雛たちの前では子らが近寄り易いよう、落ち着いた色に姿を変えて現れるという。  年を経ると天上に上り天帝の御車に据えられる鈴となる。その鈴も鸞という。大鳥が鈴となるのか、鈴が大鳥となるのかは分からないが、鈴も大鳥も鸞である。その鸞は平穏な海を好むという。  世界に平和をもたらす真の指導者が現れた時、初めて鸞は自ら鳴る
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小説 17,260 位 / 217,781件 歴史・時代 104 位 / 2,878件
文字数 42,717 最終更新日 2026.02.06 登録日 2026.01.31
児童書・童話 完結 長編
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           
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小説 17,260 位 / 217,781件 児童書・童話 40 位 / 4,015件
文字数 55,150 最終更新日 2025.12.12 登録日 2025.06.04
歴史・時代 完結 長編
娘仇討ち、孝女千勢!妹の評判は瞬く間に広がった。方や、兄の新平は仇を追う道中で本懐成就の報を聞くものの、所在も知らせず帰参も遅れた。新平とて、辛苦を重ねて諸国を巡っていたのだ。ところが、世間の悪評は日増しに酷くなる。碓氷峠からおなつに助けられてやっと江戸に着いたが、助太刀の叔父から己の落ち度を酷く咎められた。儘ならぬ世の中だ。最早そんな世とはおさらばだ。そう思って空を切った積もりの太刀だった。短慮だった。肘を上げて太刀を受け止めた叔父の腕を切りつけたのだ。仇討ちを追って歩き続けた中山道を、今度は逃げるために走り出す。女郎に売られたおなつを連れ出し・・・
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小説 25,042 位 / 217,781件 歴史・時代 165 位 / 2,878件
文字数 28,057 最終更新日 2025.11.10 登録日 2025.07.09
歴史・時代 完結 長編
 明治初期の街道筋。  道に迷った先の立場茶屋。足を痛めたおこうは楽しそうに茶屋の亭主と話している。お店から離れたのが嬉しいのだ。一方、左吉は虫の居所が悪い。弥之助の企みでお店を追い出された。江戸が東京となり、洋物流行りのこのご時世だ。和菓子屋なんぞ続くものか。あんこ職人の左吉の腕など不要だ。そう弥之助は思っているに違いない。国境いの茶屋から見える秀峰富士と横浜の港の賑わい。  洋物なんかに負けるものか。新しいあんこの菓子を拵えてやる・・・
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小説 25,042 位 / 217,781件 歴史・時代 165 位 / 2,878件
文字数 36,030 最終更新日 2025.10.30 登録日 2025.06.12
児童書・童話 完結 長編
 タケルは一人、じいちゃんとばあちゃんの島に引っ越してきた。島の小学校は三年生のタケルと六年生の女子が二人だけ。昼休みなんか広い校庭にひとりぼっちだ。ひとりぼっちはやっぱりつまらない。サッカーをしたって、いつだってゴールだもん。こんなにゴールした小学生ってタケルだけだ。と思っていたら、みかん畑から飛び出してきた。たぬきだ!タケルのけったボールに向かっていちもくさん、あっという間にゴールだ!やった、相手ができたんだ。よし、これで面白くなるぞ・・・
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小説 25,042 位 / 217,781件 児童書・童話 60 位 / 4,015件
文字数 59,751 最終更新日 2025.10.13 登録日 2025.06.04
歴史・時代 完結 長編
 江戸麹町の乾物問屋、讃州屋の中二階。元々物置だった屋根裏を間仕切って、丁稚と平次郎が使っている。  屋根裏部屋の明り取りの小さく丸い虫籠窓。引き戸を閉じれば真っ暗だ。そんな飼殺しの身の次男坊。近所の御隠居から、「中二階は厨子二階と言って、その家のお宝を置いておく場所だ。だから平ちゃんを置いておくんだよ」そう諭されて何となく納得した。「ただし、お侍様で成り立っている町だ。往来を見下ろしちゃいけない」以来、明り取りの虫籠窓から、一寸ばかり覗く空だけ仰いで生きてきた。  以前はこの部屋を遊び仲間が集い来ては賑わした。ところが今じゃ、顔を出すのは幽霊だ。  平次郎だけが取り残された。親の金を頼りに、ただ虫籠窓の中に巣くった飛蝗だ。 「年相応の形をしろ」とは説教も喰らうが、しかしこんなご時世だ。恰好でもつけなきゃやってられない。往来の人を見下ろしちゃいけないから空を見る。丸く小さい虫籠窓、その向こうにどこまで続くやら、青い空が少し・・・
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小説 17,260 位 / 217,781件 歴史・時代 104 位 / 2,878件
文字数 74,670 最終更新日 2025.08.21 登録日 2025.04.19
児童書・童話 完結 長編
 ヨーイチは中学校に上がるのを機に、瀬戸内海の島に引っ越した。母さんの実家がある大屋島の屋ノ浦という町に、妹の映子と二人で預けられることになったのだ。六年ぶりの屋ノ浦だ。  東京から出るとき、友達にからかわれた。「島なんて、何にも無い退屈なところだぜ」  そんなこと、どうでもいい。親の勝手で行かされるんだ。これからのことなんてヨーイチはどうせ期待なんかしていない。  屋ノ浦中学校はでたらめな学校だ。ヘンな生徒にヘンな先生。授業中はうるさいし部活はなまけ部だ。でもそれ以前にヨーイチはやる気がない。なまけ部の三人で釣りをすることだけが楽しみだ。そんな投げやりなヨーイチを灯台の明りのように見守ってくれる幼なじみのヨーコ。その兄の、番長でやんちゃなヒロ兄。それからユーイチ先生、そして一年三組の仲間たち。いちいちオレに関わるなよと言いたくなるけれど、ダイコ引きの授業に合唱コンクール、卓球の練習試合と、いつの間にかみんなに支えられながら、島の生活になじんできた。「どうでもいい」から、「そろそろやる気を出さなくちゃ」と気持ちを切り替えたばかりだった。  そんな時に母親から言われた。「東京で一緒に住もう」と。 きっと寂しくなったんだ。どんだけ勝手な親なんだ・・・
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小説 17,260 位 / 217,781件 児童書・童話 40 位 / 4,015件
文字数 71,757 最終更新日 2025.08.04 登録日 2025.04.18
児童書・童話 完結 長編
 時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。 進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。  赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
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小説 17,260 位 / 217,781件 児童書・童話 40 位 / 4,015件
文字数 121,842 最終更新日 2025.07.29 登録日 2025.07.09
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