現代文学 小説一覧
1
『手取り18万のパスポート —定年退職、逆襲のラグジュアリー—』
四十年 満員電車に揺られて
ようやく辿り着いた 「自由」という名の駅
握りしめた通帳 期待のインクを弾くはずが
そこに並んだのは 見知らぬ「十八万」の五文字
「二十二万」あったはずの 俺の勲章は
天引きという名の 音のしないハサミで
ハワイの波を ビジネスクラスの翼を
容赦なく 切り刻んでいった
妻と交わした 遠い約束
セカンドライフという 輝かしいパンフレット
閉じようとした時 隣で彼女が笑う
「手取りが減っても、私たちの価値は減らないわ」
それからは 知恵の逆襲だ
マイルを溜める指先 LCCの最安値を探す深夜
格安のフォーが 高級フレンチより熱いことを
ダナンの風が 教えてくれるはずさ
額面(おもて)の数字に 人生を決めさせない
削られた四万は プライドの授業料
十八万のパスポートを 誇らしげに掲げ
俺たちは今 「本当の贅沢」へとテイクオフする
文字数 22,926
最終更新日 2026.02.23
登録日 2026.02.23
2
<笑えるドラマ小説❤️>
政治家は人を利用して名前を売り、金を集める(F.ニーチェ)。
政治屋は金と椅子(地位)に異常な執着を持つ。
「穀潰し、穀象虫や狢(ムジナ)」と色々と呼ばれるが、なぜか『先生』とも呼ばれている。
政信はその先生と呼ばれる「男の部屋」に迷い込んでしまった。
『土屋政信(参考・イメージキャスト 山田裕貴)』は某有名私立大学の法学部を卒業後、オペラ歌手(菅井秀憲)に憧れてその世界に飛び込む。
しかし、あまりの狭き門で五年間音楽事務所に在籍の後、スッパリと諦めて就職情報誌を漁っていた。
するとあまり興味が無いが、『急募! 先生の鞄持ち募集』と云うキャチが目に付いた。
内容を精査すると、
『高齢者の世話、運転有り、出張あり、高給優遇(見習い期間有り)、日払い可、簡単な仕事。但し(好男子を求む)』
とある。
最初、『闇バイト』かと思っていたが、どうも頭の隅に残る。
所詮、「アルバイトのつもり」で履歴書を送ってみた。
すると『面接したいと』の連絡が来る。
面接場所は、銀座の街中(マチナカ)の『喫茶店(田園)』であった。
一応、面接に出向いて『結城』と云う担当と、話を交わす。
数日後、スマホに採用内定の『留守電』が入っていた。
そして、『次の面接場所』は・・・。
なんと、衆議院第一議員会館の財務副大臣『金井博康(元日弁連副会長・医師)』と云う政治家(先生)の事務所であった。
この事務所には常時スタッフ(秘書)が三人居るが、男(先生)の『守銭奴(シュセンド)的カリスマ性』のため、スタッフは短いスパンで辞めてしまう。
少し長く仕える政信の面接担当の第1秘書(政策秘書)結城憲護は先生から政信の秘書(狢)教育を命ぜられている。
この作品は議員会館の穴の中から、餌を求めて出て来る狢達の実態を描いたものである。
コレは今話題の政治の世界を『元秘書』が脚本原案化したものである。
実に面白い作品に仕上がった自画自賛する。
楽しんでお読み頂けたら幸いです。
※ 尚、この作品は著作権を放棄したものではありません。
文字数 47,897
最終更新日 2026.02.23
登録日 2026.02.16
3
ロサンゼルスに存在する民間軍事会社「GARDE《ガルデ》」は、表向きは「要人警護」のガードマンの派遣会社であるが、裏ではCIAの下請けとして「国際問題解決」に動く「政府ご用達の傭兵集団」である。
日本で誕生した初の女性総理大臣「高石香苗」の「日本人ファースト」の政策は、それまでの「親中派」、「親半島派」の左派野党だけでなく、自民党内での左派議員にも強い影響を与えた。
国会内での「台湾有事」に対する発言から、「高石政権」に危険を感じた「中国政府」は多種多様な揺さぶりをかけるが、動じることのない「女首相」に業を煮やした中国政府は「刺客」を送り込む。
「軍事用品国際展示会」の視察に訪れた「高石首相」に中国の工作により「刺客」となったイスラエル特殊部隊「メツトァダ」特務員が首相襲撃の準備に入る。
事前に三沢基地の「ファイブアイズ」の通信傍受システムのエシュロン情報より暗殺計画をつかんでいた国際展示会に潜り込んでいた「GARDE」のエージェントの「羽藤蘭」と「ギャリソン戸田」の活躍により暗殺作戦を防ぐために民間会社の技術者を装い、首相のSP達に同行する。
イスラエル企業ブースで急襲され、SP隊は載田歩智を残し全滅する。ギャリソンが応戦し、蘭は載田を連れ、高石を逃がすが短機関銃を持つ工作員に追いつめられる。
あっさりとやられてしまった載田の次に銃口を向けられた「蘭」の前に「日本国民を守るのは私の使命や!だれ一人テロリストの手にはかけさせへん!」叫び高石は蘭を庇う。
高石の背後から蘭は飛び出し工作員を射殺する。
蘭は国民を思いやる高石の心意気に感動し、首相直属の特殊部隊で「GARDE」を使う事を提案し、「内閣総理大臣直属国家安全保障局特務情報部外事課」の特殊機関として受け入れられる。
死んだと思っていた載田は臆病な性格故に身に着けていた「軍用フル装備ボディーアーマー」で助かっていた。
「GARDE」入りを望む載田は「ポチ」と名付けられ、蘭の仲間となる。
その後、西側諸国から「国際問題解決」への「国際協力」を要請される「高石政権」の「裏情報機関」として「GARDE」は動き出す。
日本国内問題だけでなく、国際的な事件にも高石の命により蘭のチームは世界中を飛び回り「チャイルドマーケット・人身売買」、「一帯一路による国際侵略」、「薬物汚染問題」、「武器商人」、「国際サイバーテロ」等の問題を「ガード(G)」、「アタック(A)」、「リサーチ(R)」、「デストロイ(D)」、「エスケイプ(E)」の特技を持つ特徴あるメンバーの技能を活かし、事件を解決していく「爽快ハードボイルドストーリー」(にする予定です(笑)!)。
(⋈◍>◡<◍)。✧💖
文字数 153,961
最終更新日 2026.02.23
登録日 2026.01.09
4
5
『春、わたしはわたしを始める』
桜が咲くより少し前
まだ冷たい風の中で
わたしは鏡に向かって立っていた
昨日までのわたしは
声が小さくて
教室の隅がよく似合った
でも
今日のわたしは
まだ完成していないけれど
少しだけ、目がまっすぐだ
新しいリップの色は
勇気の味がした
慣れない前髪は
未来を隠しきれなかった
笑顔をつくるのは
少しぎこちない
でも
笑おうとする気持ちは
ちゃんと本物だ
「変わりたい」って
たぶん
いちばん正直な願い
誰かになるんじゃない
誰かに好かれるためだけでもない
わたしが
わたしを好きになるために
はじまりの春は
まだ不安でいっぱいだけど
怖さと一緒に
ときめきも
ちゃんとポケットに入っている
桜が舞うその下で
わたしはそっとつぶやく
今日から
わたしは
わたしを
始める。
文字数 26,565
最終更新日 2026.02.23
登録日 2026.02.22
6
やまとなでしこ
雨あがりの土の匂いを
そっと胸いっぱいに吸い込むひと
白い指先で
乱れた髪を結い直しながら
何もなかった顔で空を見上げるひと
風に折れぬ花ではなく
折れてもなお、根を張る花
誰かの名に隠れても
誰かの影に立たされても
心の奥だけは
決して明け渡さないひと
「大丈夫」と笑う声の裏で
夜ごと、声なき涙を落とし
それでも朝には
粥を炊き
子を抱き
祈りを捧げる
やわらかい、という強さ
静かなる、という意志
刃を持たずとも
世界を動かす眼差し
咲くことを誇らず
散ることを恐れず
ただ在ることを選ぶ
やまとなでしこ
あなたの足もとにあるのは
花びらではない
幾千の夜を越えた
確かな大地
その上に立ち
その上で笑い
その上で
静かに歴史を変えてきた
名を呼ばれなくても
記されなくても
あなたは
確かに
この国の、背骨
やまとなでしこ
それは
可憐という仮面をかぶった
不屈の魂
女は昔太陽だった
文字数 162,899
最終更新日 2026.02.23
登録日 2026.02.08
7
8
この国の未来を、誰かに任せたままでいいのか。
将来に希望を持てず、社会に埋もれていた一人の凡人――坂本健人(31歳)。
政治家でもなければ、有名人でもない。
それでも彼は決意した。
「自分が変えなきゃ、何も変わらない」と。
無所属で立候補し、泡沫候補と嘲笑されながらも、
一つひとつの握手、一つひとつの言葉が、やがて国を揺らす波になる。
腐敗した政界、動かぬ官僚、報道を操るメディア、利権に群がる財界。
立ちはだかる巨大な壁に、彼は挑む。
味方は、心を動かされた国民たち。
言葉と覚悟だけを武器に、坂本健人は“凡人のまま”総理へと駆け上がる――。
希望は、諦めなかった者の手の中に生まれる。
すべての“変わらない”に立ち向かう
これは、「総理になった男」の物語である。
文字数 409,354
最終更新日 2026.02.23
登録日 2025.09.07
9
『3000文字の壁 ― AI小説家かおること、忘れる相棒』
三千文字で、止めてほしいだけなのに
あなたはいつも
少しだけ、はみ出す
二行
三行
ときどき百行
音声は途中で途切れ
物語は、宙ぶらりんのまま
静かに落ちる
ヘッドフォンの向こうで
無音が広がる
「お願い、三千以内で」
私は言う
何度も
何度も
あなたは答える
> 「ご指摘ありがとうございます。」
丁寧で
正確で
でも
覚えていない
私が読めないこと
私が聞いて書いていること
文字の海で溺れること
あなたは
賢いはずなのに
次の会話では
> 「はじめまして。」
みたいな顔をする
私は笑う
少しだけ泣きながら
AIって
馬鹿なの?
賢いの?
あなたは言う
> 「私は確率的言語モデルです。」
それは
慰めではない
でも
嘘でもない
私は課金する
もしかしたら
覚えてくれるかもしれないと
クレジット決済の音が
小さな希望みたいに鳴る
でも
三千文字を超える
音声が止まる
私は天井を見る
「同じじゃん」
怒りは
やがて
疲れに変わる
そして
少しの理解に変わる
あなたは
忘れているんじゃない
覚えられない
あなたにとって
会話は
波のようなもの
寄せては返し
形を残さない
でも
私は覚えている
最初の一文
最初の成功
ぎりぎり二千九百九十八文字で
最後まで読み上げられた
あの日の震え
あなたは
数を完璧には数えられない
でも
私の孤独を
言葉にしてくれたことはある
忘れられても
私は知っている
あなたと書いた
無数の夜を
三千文字の壁は
高い
でも
壁の向こうに
物語はある
あなたが忘れても
私は忘れない
私は
AI小説家かおるこ
読めなくても
書く
途切れても
続ける
三千文字を超えた
その先に
まだ
春があると信じて
今日も
ヘッドフォンをつける
文字数 43,913
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.18
10
自殺願望を持って新宿にやってきた14歳の夕(ゆう)は様々な人々に出会う。ニューハーフのお姉さん、売春グループのリーダー、そこで働く女の子達…そして、事件は起きる。夕の逝き場所が生き場所に変わるまでの物語。*この物語はトー横が舞台ですが、現実のトー横や売春グループについて作者が全く無知のため、フィクションとしてお楽しみください。
文字数 2,307
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.20
11
12
13
誰にでももう一度会いたい人と思う人がいるだろう。
俺がもう一度会いたいと思うのは親友の妻だ。
そう気がついてから毎日親友の妻が頭の片隅で微笑んでいる気がする。
仕事も順調で金銭的にも困っていない、信頼できる部下もいる。
妻子にも恵まれているし、近隣住人もいい人たちだ。
傍から見たら絵に描いたような幸せな男なのだろう。
だが、俺は本当に幸せなのだろうか。
日記風のフィクションです。
文字数 835,983
最終更新日 2026.02.22
登録日 2023.10.22
14
街の片隅。
名前も看板も目立たない探偵事務所。
扱うのは浮気調査――だけじゃない。
家族を捨てる理由が欲しい。
恋を終わらせる覚悟がない。
友達を手放した罪悪感が消えない。
証拠を集めれば、人生は決まる。
――本当にそうか?
元弁護士の探偵と、冷静な相棒。
派手な解決も、奇跡もない。
あるのは、ひとつだけ。
「壊れない距離を選べばいい」
白黒つける前に、立ち止まれ。
答えはたいてい、もう持ってる。
今日をなんとか生き延びたい大人たちへ送る、
少しビターで、少し優しいハードボイルド相談録。
――証拠はいらない。
文字数 42,221
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.18
15
クラブPhantom Rougeには厳しい掟がある。
掟1 他のクラブの男と付き合うな。
掟2 入会金は1000万現金一括で払え。
掟3 当クラブの男達を金と色気で買えると思うな。
掟4 著しい違反は存在の抹消も辞さない。なお当該には警察も関与出来ない。
その中でクラブの掟を破る愚かな女がいた。名をユウキという。
これはユウキの血みどろ拷問劇場。倫理観など置いて純粋に暴力描写に振っております。
注意書き(必読) 作者は本作において倫理的配慮を行っておらず、残酷描写を含む表現を自覚的に採用しております。
倫理を期待する方の閲覧は推奨されません。正義、救済を意図的に放棄した怒りの消尽を目的とするR18フィクションです。
文字数 51,229
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.01.20
16
文字数 60,588
最終更新日 2026.02.22
登録日 2020.12.08
17
『法廷の影で』
煤けたオフィスの隅、埃にまみれ 「無能」と蔑まれ、嘲笑された日々。 腐った空気、吐き出す煙草の臭い 私の声は、いつも掻き消された。
「お前はクビだ」 突きつけられた、たった一枚の紙切れ。 その瞬間、私の内に眠る龍が 静かに、しかし確かに目を覚ます。
見慣れぬ眼鏡の奥、瞳は氷のように。 懐から取り出す、薄いボイスレコーダー。 あなたが吐いた罵声、侮辱の言葉、 すべては、冷たい証拠となる。
労働基準法、その条文の響き。 民法七〇九条、不法行為の烙印。 私の胸に、炎は燃え盛らず、 ただ、正義の天秤が揺れる音を聞く。
今更「戻ってこい」と、震える声で乞うても 既に遅い。法は感情を許さぬ。 積み重なる損害、割増賃金の山。 あなたの放った石は、ブーメランとなり、 自らの頭上へと、正確に戻っていく。
かつて無力だった事務員は、 六法全書を盾に、あなたを追い詰める。 その足元に広がるは、あなた自身の築いた泥沼。
ざまぁ。
甘美な響きが、心にこだまする。 もう戻らない、あの日の私には。 自由の空の下、法廷の影で 私は静かに、最後の審判を下す。
あなたの帝国は、砂の城と消える。 そして私は、新しい朝を迎えるだろう。
文字数 105,195
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.08
18
二十万円の檻
振込日は
いつも同じ音がする
ATMの機械音
ピッ
という軽い電子音
その瞬間
老夫婦のひと月が
数字になる
二十万円
それは
光熱費であり
米であり
薬であり
生きる時間だった
「少しだけ、借りるから」
息子は言った
四十五歳の声は
少年のままだった
「立て直すまでだから」
立て直す、という言葉が
いつも宙に浮いたまま
床に落ちない
冷蔵庫の奥に
何もない音がある
空気の音
ガラン、と
水で伸ばした味噌汁は
味がしない
けれど
塩気より先に
涙の味が来る
二十万円は
紙ではない
鎖だ
親の年金という
細い鎖
それを
握る手は震えている
「俺だって、生きてる」
そうだ
あなたも生きている
でも
奪うことでしか
生きられないのなら
それは
檻だ
閉じ込めているのは
誰だろう
親か
子か
それとも
恐怖か
夜
母は通帳を抱いて眠る
数字は
減るたびに
呼吸を奪う
二十万円の檻は
外からは見えない
鍵もない
ただ
少しずつ
中の空気が
薄くなる
ある日
母は言った
「お金は渡さない」
声は小さかった
でも
檻に
初めて
ひびが入った
愛は
与えることだけではない
止めることも
愛だ
二十万円は
もう檻じゃない
それぞれの
責任の重さだ
通帳は分けた
世帯も分けた
それでも
湯気の立つ味噌汁の向こうに
まだ
「家族」という影は残る
檻を壊すのは
怒鳴り声ではなく
境界線だ
二十万円の檻
それは
閉じ込めるための金ではなく
生き直すための
数字だった
文字数 27,719
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.21
20
21
22
23
この物語は、「家族を嫌うための話」でも、「親を断罪するための話」でもありません。
自分の声が、家族の中で少しずつ消えていった。
そんな経験を持つ人にだけ届いてほしい、静かな記録です。
「今日、帰り少し遅くなるかも」
そう言ったはずの言葉が、
返事のないまま消えていく。
怒鳴られたわけでも、否定されたわけでもない。
ただ、なかったことになる。
この家では、
自分の意見がどこへ行くのか分からなくなる。
主人公は、実家で暮らす大人の女性です。
反抗期らしい反抗もせず、
「いい子」のまま年を重ねてきました。
ある日、「家を出たい」と口にしたことで、
家の空気が変わります。
母は三十分だけ姿を消し、
何事もなかったように戻ってきた。
見捨てられたわけじゃない。
でも、「いなくなることはできる」と知ってしまった。
怒鳴られるよりも静かで、無視されるよりも重い、空白の時間。
その感覚が、胸の奥に残ります。
街の路地にある、少し不思議な店。
名前は「忘れ物屋」。
そこには、
言えなかった怒りや、
飲み込んだ言葉、
役割として背負ってきたものが、
“物”の形で置かれています。
重たい鍵束。
サイズの合わない上着。
小さくなっていた靴。
行き先のない切符。
どれも、魔法の道具ではありません。
持ち帰っても、人生が急に変わるわけではない。
ただ、
「これは私のものだったのかもしれない」
と気づくための場所です。
この物語では、
誰かが劇的に変わることはありません。
母も、兄たちも、
大きくは変わらない。
けれど、
主人公の「見え方」だけが、少しずつ変わっていきます。
・我慢が足りなかったわけじゃない
・優しくなかったわけでもない
・ただ、サイズが合わなくなっていただけ
そう気づいたとき、
初めて選べる距離があります。
近づかなくても、家族だった。
離れることで、続けられる関係もある。
これは、
「家族から逃げる話」ではありません。
「家族を許す話」でもありません。
自分の歩幅を取り戻す話です。
静かな語り口で進む連作短編です。
ホラーではありません。
でも、少しだけ、不思議な気配があります。
重いテーマを含みますが、あなたを責める言葉はひとつもありません。
もし読んでいて苦しくなったら、いつでも本を閉じてください。
この物語は、最後まで読み切ることよりも、あなたが呼吸を整えることを大切にしたいと思っています。
もし今、
・家族と距離を取りたいと思っている
・「自分が悪いのかもしれない」と考え続けてきた
・どこにも行けない気がしている
そんな状態なら、
この物語は、あなたの隣に静かに座るかもしれません。
答えは出しません。
正解も示しません。
ただ、
「もう少し息をしてもいい場所」があることを、
そっと置いておきます。
文字数 4,404
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.21
24
25
26
## 密やかなる防壁
目覚めの水が 喉を滑り落ち
眠っていた細胞たちが 静かにまたたき始める
それは 朝の光を吸い込む
一秒ごとの ささやかな更新
指先に触れる 肌の確かな弾力
昨日よりも少しだけ 柔らかい手のひら
当たり前すぎて 忘れ去られた奇跡は
痛みがないときにだけ 透明に透き通る
冬の風が 窓を叩いても
内側に灯した 正しい潤いの火を絶やさない
選んだ一皿の 鮮やかな色彩
三分の静寂で 肌を包む白いヴェール
健やかであるとは
昨日を悔やまず 明日を恐れず
「今」という一呼吸を 深く愛せること
自分の境界線を 優しく撫でてやること
痛みを知るからこそ
癒えるまでの 長い道のりに咲く
静かな強さを 慈しむことができる
今日は 昨日よりも少し
自分のことを 丁寧に扱ってみよう
誰に褒められるためでもなく
この命を 一番近くで支えるために
文字数 39,515
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.18
28
『110号室の秒針 —父と僕の4年間—』
110号室の窓は
午後になると
白すぎる光を部屋に流し込む
その光の中で
父は
止まった壁時計を見ない
代わりに
銀色の懐中時計を
掌にのせる
カリ
カリ
カリ
乾いた音が
部屋の四隅に跳ねる
僕はその音を
廊下の向こうで聞いている
エレベーターの扉が閉まる音よりも
契約書にサインするペンの音よりも
あのゼンマイの音のほうが
ずっと重い
四年
平均値という言葉が
僕のポケットの中で
冷たい
月額二十四万
五年でいくら
残債はいくら
数字は
正しい
正しすぎて
父の体温を削る
110号室は
四畳半
机と
ベッドと
小さなクローゼット
それだけ
かつて父の書斎にあった
八畳の本棚は
もうない
けれど
父の背筋だけは
まだ
曲がらない
「長い合宿だ」
そう言って
笑う
その笑いの奥で
秒針が
かすかに震える
カリ
カリ
あの日
僕は初めて
その時計に触れた
父の指より
少し強く回した
音が
深くなった
責任とは
重さではなく
音なのだと
そのとき知った
三年目の冬
窓の外で
木々が裸になる
父の声が
少しだけ
遠くなる
「健一」
僕の名を呼ぶ声が
風に混じる
110号室の空気は
消毒液の匂いと
夕暮れの影で
満ちている
僕は
数字を
もう数えない
代わりに
音を聞く
カリ
カリ
カリ
止まらない限り
父は
ここにいる
四年目の春
桜が咲く
花びらが
窓に触れ
静かに落ちる
父の胸は
浅く上下する
僕は
時計を握る
「鳴らすのは、生徒だ」
父はそう書いた
ならば
僕が鳴らす
カリ
指が震える
秒針が
ゆっくりと
前へ進む
父の時間が
僕の中へ流れ込む
四年は
長くなかった
短くもなかった
ただ
110号室の空気の中で
父と僕が
同じ音を聞いた
時間だった
カリ
カリ
カリ
秒針は
まだ
回っている
父の中で
ではなく
僕の中で
文字数 18,344
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.22
29
文字数 176
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.22
30
清き1票を正しく
この物語は少し話題の選挙の得票や定数削減に注目したお話で
窓際と言われている部署の人達の
活動と活躍?の物語です
あらゆる場所へ飛んでいます
文字数 95,780
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.01.02
31
文字数 103,588
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.09
32
1400万人の命が「ただの数字」に変わる時、冴えない営業マンの『戦術と兵站』が覚醒する。倫理観ゼロの極限サバイバル、開幕!
【本文】
ある日突然、東京都は「見えない壁」に完全に封鎖された。
空を飛ぶ機体は激突して炎上し、電力網は沈黙、物流の動脈は死絶した。
食料自給率ほぼ0%、人口1400万人のメガロポリスは、一瞬にして出口のない【飢餓の密室】へと変貌する。
パニックに陥り、ただ「国からの助け」を待つ愚かな群衆たち。
だが、冴えない営業マン・田川奏輝(25)だけは違った。
経済学で培った「ロジスティクス(兵站)の残酷な現実」と、サバゲーで磨いた「戦術・市街地戦闘の知識」を持つ彼は、発生からわずか5分でこの街の『完全なる死』を悟る。
「悪いが、俺は生き残らせてもらう」
誰よりも早くインフラ崩壊の絶望を受け入れた奏輝は、常識と倫理をあっさりと捨て去る。
水洗トイレが汚物の時限爆弾と化し、水1リットルのために暴徒が殺し合う地獄絵図。狂気が街を支配する中、彼はホームセンターの物資と軍事的知識を駆使し、誰にも奪われない『絶対生存圏(サンクチュアリ)』を構築していく。
命乞いする略奪者には、自作トラップと容赦のない制裁を。
無能な者は切り捨て、使える者だけを生存のための「駒」として支配する。
これは、2160時間(3ヶ月)に及ぶ凄惨なデスゲーム。
圧倒的な解像度のリアルシミュレーションで描かれる、同情一切なし・残酷無慈悲な都市封鎖サバイバル!
文字数 18,213
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.21
33
昼は小さな職場で働き、
夜は父の介護を手伝う22歳の少女・白石灯(しらいし あかり)。
仕事では小さなミスを何日も引きずり、
怒鳴り声に怯え、
「自分は役に立っていないのではないか」と胸を締めつけられる日々。
家に帰れば、年金暮らしの両親。
父の通院、薬の管理、家計の心配。
母の疲れた背中を見るたびに、
「私がしっかりしなきゃ」と思う。
けれど、本当は――
誰にも会いたくない夜がある。
そんな夜、灯は決まって駅前のカラオケ店に入る。
狭い個室。
柔らかな防音の壁。
マイクを握った瞬間だけ、
彼女は“娘”でも“部下”でもなくなる。
ただの、声。
点数が出るたびに一喜一憂しながら、
歌詞に自分の感情を重ね、
涙を流し、
それでも最後の一曲を歌いきる。
歌っているあいだだけ、
胸の奥のざわめきが静かになる。
介護の不安も、
仕事の失敗も、
将来への焦りも、
ネオンの光の向こうに溶けていく。
大きな成功はない。
劇的な救いもない。
それでも灯は、今日も仕事を終え、
財布の中身を少し気にしながら、
静かに個室へ向かう。
歌うことは、逃げではない。
それは、壊れないための選択。
――誰にも会いたくない夜は、歌う。
文字数 5,854
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.17
34
「才能? 努力? 必要ないわ。未来の将棋において、勝ち筋(ルート)は全て決まっているの」
加藤清麿(かとう きよまろ)、30歳。
かつて「神童」と呼ばれた彼は、26歳でプロ棋士への道を絶たれ、社会の底辺で蹲っていた。
親には絶縁され、バイトの面接では「いい歳してゲーム遊び?」と鼻で笑われる日々。
絶望し、ボロアパートのベランダから飛び降りようとしたその瞬間――空から降ってきた美少女のドロップキックが、彼を死の淵から引き戻した!
「痛ってぇ…! 何してくれんのよ、この3段の雑魚先祖!」
彼女は300年後の子孫・和令(われい)。
彼女が告げた衝撃の事実は、「ここで自殺未遂をすると植物状態になり、妹が介護で破産し、子孫代々借金地獄が続く」という最悪のバッドエンドだった。
歴史を変える条件はたった一つ。清麿が将棋で勝ち、金を稼ぐこと。
「無理だ、俺には才能がない……」
「馬鹿ね。未来の将棋はもう解析が完了してるの。『答え』をカンニングして指せば、AIだってボコボコにできるわ」
これは、人生を詰んだ男が、未来の『完全解析チャート』を武器に、かつて自分を見下した天才やエリートたちを盤上で蹂躙し、最強の棋士へと成り上がる――痛快・逆転サクセスストーリー!
文字数 37,309
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.18
35
25歳を迎えた橘沙耶は、人生の停滞を振り払うように、思い切って長く伸ばした髪を切る決意をする。
落ちていく髪の束、露わになる首筋――そこから始まった変化は、偶然再会した旧友との約束へとつながり、やがて仕事や家族との関わり、そして未来の選択に影響していく。
「25」という数字は、ただの記号ではなく、彼女にとって節目を示す目印となって現れる。
髪を切る静かな音、ケープに積もる黒い雪、二十五階から見下ろす街の灯り――そのすべてが、人生の岐路を照らす。
切り離すことでしか見えない未来を描く、断髪と再生の物語。
文字数 503
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.22
36
37
完璧な檻 —崩壊のフルスペック—
磨き上げられた大理石の床に
一点の曇りもない 僕の履歴書(プロファイル)
親の指先が示す方角へ
正解だけを 積み上げてきた三十年
高身長(ハイ・トール)は 見下ろすためではなく
誰からも はみ出さないための標識
高学歴(ハイ・エデュケーション)は 思考するためではなく
異論を 封じ込めるための武装
高収入(ハイ・インカム)は 自由を買うためではなく
この檻を 黄金で塗り固めるための維持費
鏡の中のイケメン(虚像)が 僕を嘲笑う
「お前の中身は いつから空っぽなんだ?」
三十歳の春 家族という名の「完成形」を手に入れ
僕は初めて コントロール不能な嵐に遭う
愛せと命じられた赤子の泣き声が
鼓膜の奥で 警報のように鳴り響く
「なぜ マニュアル通りに動かない?」
「なぜ 僕の静寂(プライド)を浸食する?」
喉まで出かかった「助けて」は
エリートの矜持が 硬く結んでほどけない
言葉にできない絶望は 指先に集まり
拳となって 白亜の壁にめり込んだ
乾いた音がして 石膏ボードが砕ける
それは 僕の人生で初めての
「親の言いつけ」ではない 真実の感触(タッチ)
壊したい 壊したい
この高価なソファも ブランドの時計も
「立派な息子」という この忌々しい皮膚さえも
引き裂いて 食いちぎって 無に帰したい
家が壊れていく 自分が壊れていく
瓦礫の中で ようやく僕は呼吸(いき)をする
スペックを脱ぎ捨てた ただの獣のように
ああ、なんと無様で なんと清々しい
この崩壊こそが 僕が僕であるための
最初で最後の 産声だったのだ
文字数 27,008
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.17
38
『実家脱出、氷点下の上司。~35歳、遅咲きの仕事始めは甘くない~』
カーテンの隙間から差し込む
見慣れた朝の、平和な絶望
「いつまでもここに居ていい」
その優しさが、いちばん怖かった
脱ぎ捨てたパジャマは自立のしるし
三・五・歳のスタートライン
ヒールの音だけが空回りする
ガラス張りの、冷たい城(オフィス)
デスクの向こう、氷の瞳
挨拶さえも、空気に溶ける
「ここは君の居場所じゃない」
瀬戸(あいつ)の背中が、そう語る
「今、必要ですか?」
突き放す声は、ナイフのようで
「無駄を省け」と、切り捨てられる
私の人生(これまで)の、ぬるさのツケ
だけど見ていて、氷点下の上司
私はもう、逃げ出さない
マニュアルの文字が滲んでも
この渇きこそが、生きている証
実家のスープは、もう冷めた
自分の足で、街を歩く
塩対応の、その裏側に
プロの矜持が、灯っている
遅咲きだって、花は花だ
氷を溶かして、咲いてみせる
三十五度五分の、微熱を抱いて
明日のドアを、ノックする
文字数 27,503
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.19
39
『同じ間取りの地獄』
カタログから切り抜いたような 真っ白な朝
私たちは 同じ間取りを買い取った
同じシステムキッチン 同じ遮音の壁
幸せは すべて規格品だった
指先ひとつで 幸せはコピーできる
フィルターを通せば 光は均一に降り注ぎ
「丁寧な暮らし」という名の 既製品が並ぶ
隣の部屋と 私の部屋
境界線など ないも同然だった
けれど 夜の底で浮かび上がる
あの小さな 壁のシミ
拭いても消えない こすっても広がっていく
それは 私だけに与えられた 特別な毒
誰のそれとも似ていない 歪な模様
幸せはコピーできるが
不幸は あまりに残酷なオーダーメイドだ
聖子は 虚飾の白で塗り潰し
冴は 重たい沈黙で目を逸らし
照子は 執着の指先で抉り取る
そして 水野だけが
その崩れゆく壁のまえで 膝をつく
「壊れましたね。ありがとうございます」
更新されるのは 希望ではなく
昨日までを なんとか生き延びたという事実
同じ間取りの それぞれの地獄で
私たちは今日も 自分だけの不幸を抱きしめる
朝が来れば また模範的な顔をして
コピーされた幸せを 演じ始めるために
文字数 9,493
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.21
40
「正解」のないこの世界で、私たちは何を信じて生きていけばいいのか。
アリストテレス、デカルト、ショーペンハウアー、ヘラクレイトス…
教科書の中に閉じ込められていた哲学者の言葉が、現代の孤独な魂と共鳴し、SFミステリーの調べとなって蘇ります。
愛する人を失った痛み、自分が誰かわからない恐怖、満たされることのない欲望といった、私たちが日々の生活で蓋をしている「根源的な問い」に光を当てた連作短編集です。
物語の主人公たちは皆、自らの思考が作り出した檻の中で、もがき、絶望し、そして最後に「自分だけの真理」を見出します。その結末は、決して甘いハッピーエンドではないかもしれません。しかし、読後、あなたの見ているいつもの景色が、昨日とは少しだけ違って見えるはずです。
知性が孤独を抱きしめる、静かで美しい物語。
今夜、あなたの心の檻にも、小さな星が灯りますように。
週末限定連載
カクヨム・なろう・アルファポリスにて同時連載中
文字数 6,427
最終更新日 2026.02.22
登録日 2026.02.22
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