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番外編
野宮さんとの出会い(入江視点)
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自分が野宮さんを気になりだしたきっかけは、あまりにもささいなことすぎて、今ふり返っても、どこがスタート地点かわからない。
二年前、彼は中途採用で入社してきた。我が社は即戦力を求める社風なので、自分を含め社員のほとんどは中途なのだが、このときの応募人数は過去最多だった。彼はその中の一人にすぎなかった。
当時、社長付き秘書を務めるかたわら、社内人事にもたずさわっていたので、営業枠の最終面接に立ち会った。それが野宮さんとの初対面だった。
面接に現れた野宮さんは中肉中背で、第一印象はこれといって特徴があったわけではなかった。どこにでもいそうな、ごくありふれた青年に見えた。
しかし面接の中盤、特技について聞かれたときに、彼の迷う事なくはっきりと口にした言葉に興味を引かれた。
「キャベツの千切りです!」
一瞬、役員の面々が固まったのを覚えてる。通常こういった面接の場で特技を聞かれると、得意な楽器やスポーツ、面接に有利な資格等を列挙するのが定番だ。しかし彼の取り上げたものは、そのどれでもなかった。
「高校から大学までの七年間、広島風お好み焼き屋でバイトしてました。それまで包丁も握ったことなかったんですが、来る日も来る日も千切りをしていたら、いつの間にか仕込んでくれた店長より得意になってました」
最初は気難しい表情だった役員連中も、彼の話し方に引きこまれて、いつの間にか笑みさえ浮かべるようになっていた。
彼は明らかに営業向きで、しかも即戦力になる人材だ。面接は無事通過し、彼は予想通り営業部へ配属される運びとなった。
次に彼の名前を耳にしたのは、彼の入社から二週間ほど経ったころだろうか。
社長が同席する業績報告会のあと、営業部長が役員の一人に、最近入社した中途採用の新人について話しているところに居合わせた。
「ほら入江君も覚えてないか? あの『キャベツの千切り』男だよ」
「ええ、覚えてますよ」
部長の彼に対する評価は高かった。よく動くし、礼儀正しく、明るくて愛嬌もある。聞けば前職は、その業界では名の通った有名商社だったらしい。さすがあの会社で仕込まれただけある、と大絶賛だった。
しかし自分は、わずかな違和感を覚えた。有名商社で、おそらく活躍してたであろう将来有望な社員が、なぜ二年で転職したのか。気になって調べてみたところ、その商社は福利厚生もしっかりしていて、特にブラックな噂もないようだった。
(彼はなぜ二年で辞めたのだろう?)
人間関係のトラブルがあったのか、それとも人知れずパワハラ被害にあったのか。謎は深まるばかりだった。
(まあ、人にはそれぞれ違った価値観があるからな……)
何に重きを置いて、どこが譲れないのか、本人しか理解できないことも多々ある。何が彼を転職へ踏み切らせたのかは知らないが、そうする事情があったからそうしたまでだ。それ以上は詮索する意味も必要もないと、そこでいったん思考を中断した。
それからしばらくの間、彼のことは社内で時折見かける程度で、部署も違えばエレベーターで降りる階すら違うため、特に接点がないままだった。それでも見かけるたびに、彼の良く通る声が耳に残り、それが誰かへの挨拶だったりすると、いつかその声が自分へ向けられる日がくるだろうか、と何となく気になっていた。
それというのも、彼は挨拶する際に必ず相手の名前を呼ぶのだが、面接で一度顔合わせして以来、直接話したこともなければ部署も違う。名前はもとより、そもそも顔すら認識されてないのでは、と思ったからだ。
その小さな疑問が払拭されたのは、彼が入社して三ヶ月経った、ある冬の寒い日だった。
その日は社長の外出に同行する予定だったので、先に待ち合わせのロビーへと向かっていた際に、ちょうど正面玄関から入ってきた彼とばったり出くわした。
「お疲れ様です、入江さん」
「あ、お疲れ様です……野宮さん」
出先から戻ってきたばかりなのだろう、薄いトレンチコートの襟に首をもぐらせ、鼻の頭を赤くした彼が、一瞬足を止めて驚いた顔をした。それからうれしそうな、はにかんだ表情を浮かべてペコリと頭を下げると、パタパタとエレベーターホールとは逆の階段のほうへと足早に去っていった。
「おい。誰だ、あれ」
「あ、社長。お疲れ様です」
エレベーターホールから現れた社長は、何か面白いものでも見つけたような、人の悪い顔をしていた。
「営業部の野宮さんですよ」
「へえー……」
社長はニンマリと笑みを深めた。瞬時に嫌な予感がしたが、もう手遅れだった。
「お前、ああいうのが好みだったか」
「なんのお話でしょう」
その後は深くは追求されなかったが、この短いやり取りで己の胸の内にあった恋心に気づいてしまった。まだ小さな種の状態だったが、いずれ芽が出て、あっという間に成長してしまう予感がした。だが同時に、花も実も結ばないだろうことも容易に想像できた。
それから月日が流れ、彼がすっかり我が社の人間としてなじんだころ……世の中に変化が訪れ、それに合わせて会社も変革を迫られた。
業務はできるかぎりテレワークを推奨され、社員の八割は自宅で仕事をおこなうようになった。秘書室も例にもれず、現在オフィスはほとんど使われてない。
『入江、ちょっと来い』
一週間ぶりの出社日に、秘書室で荷物を下ろすや否や、さっそく社長に内線で呼び出された。社長室へ向かうと、そこにはなぜか野宮さんが所在無さげに立っている。
(一体どういう状況だ、これは……)
テレワークがはじまってからすでに半年近く、彼の姿を見てなかった。もうとっくに風化したと思っていた感情が、彼を目の前にして再び胸の奥でうずきだす。
「お前、営業部の野宮を知ってるだろう」
「ええ」
知ってるも何も、社長に彼のことを教えたのは自分だ。
「じゃあコイツ、今日からお前んとこに泊めてやって」
この人の話は説明もなく一気に結論へ飛んでしまいがちだが、五年も秘書として補佐していると何となく読めてしまう。おおかた、なにか事情があって、彼が住む場所に困っているのだろう。
(だからって、うちのマンションで一緒に暮らせというのか)
社長はこちらの気持ちを知っていて、お節介な気を回す反面、絶対に断らないだろうと踏んで提案しているのだ。この人は勝てない勝負には挑まない。そしてこの人の思惑通り、この魅力的な提案に断れない自分がいる。
だが当然、野宮さんはうろたえていた。
「えっ……今なんておっしゃいました?」
「だーかーらー、そこの入江んちで世話になりゃいいだろって話だよ」
社長の強引さと突飛さに、野宮さんはついていけないのだろう。無理もない、かわいそうに……だがこの話、きっと彼には断れない。そして私も断らない。
「入江んとこのマンション、部屋あまってたよな?」
「一応、社長の仮眠室ですが」
「当分お前んちに行く予定はないから問題ねーよ」
「……だそうですが、うちに来ます?」
野宮さんは本当に困った顔をしていた。とてもかわいそうで、とてもかわいらしい顔だ。困り顔がかわいらしいなんて、見ているこちらも困ってしまう。抱きしめて頭を撫でてやりたい衝動にかられそうで、そんな自分が怖くなる。
「コイツんとこのネット環境は悪くないぞ。しかも飯もうまい」
「社長」
「あ、それはサプライズにする予定だった? 悪い悪い」
そう、サプライズにする予定だった。でもまあ構わないだろう。実際に食べてみて、気に入ってもらえればうれしい。
(でも、あまり最初から構いすぎて、警戒されても困るな)
徐々に餌付けしていこう。こと恋愛に置いて、胃袋をつかむのはとても有効で手っ取り早い。いつか自分が揚げたトンカツに、彼の刻んだキャベツの千切りをそえたい。彼の作るお好み焼きも食べてみたい。もしかしたら先に相手の胃袋をつかむのは、彼のほうかもしれない。
これから始まる彼との生活を考えると、期待に胸が膨らむ。こんな気持ちになるのは、社会人になってから……いや、いつ以来か覚えてないくらい久しぶりだ。
その後は社長の許可を得て、そのまま車に彼を乗せると、彼のアパートへ向かった。部屋に上げてくれたが、中は男の一人暮らしのわりに片付いていた。心なしかいい香りがするが、きっと自分の気のせいだろう……思い人の部屋に上がれて、少々浮かれているのかもしれない。
ひとつ気がかりなのは、アパートのセキュリティーが甘いことだ。外階段だし防犯上あまりよろしくない。
「お待たせしてすいません、準備できました!」
大きなスーツケースを用意した彼は、部屋を出る際に、どこか名残惜し気に後ろを振り返った。
(ここにはもう、戻したくない)
防犯上もだが、せっかく一緒に暮らすのだから、今から戻ることなんて考えてほしくない。それにうちのマンションの方が、よっぽどセキュリティー上安全だ。彼にはそういう場所で、安全に暮らしてもらいたい。
車に荷物を積んで乗りこむと、彼はお互いの緊張をほぐすかのように、明るい口調であれこれ世間話をはじめた。やはり営業向きだ。きっと前の会社でも、かわいがられていたに違いない。そして学生時代は、多くの友人に囲まれていただろう。
かたや自分は、彼とは真逆のタイプの人間だ。昔からどうも冷たい人間に思われがちで、愛想笑いも下手なため、常にひとりで行動することが多かった。
女性とはそれなりに付き合ったが、最後には『何を考えているのか分からない』やら『私のことなんて好きじゃないでしょ』などと言われてふられ、長続きしたためしがない。友人はいなくもないが、皆自分と似たタイプの人間なので、普段からまめに連絡を取ることもなければ、群れて行動することもなかった。
これほど彼が気になるのは、もしかすると自分とは正反対だからかもしれない。でも理由はどうであれ、自分が彼に惹かれているのは、まぎれもない事実だ。
(おわり)
二年前、彼は中途採用で入社してきた。我が社は即戦力を求める社風なので、自分を含め社員のほとんどは中途なのだが、このときの応募人数は過去最多だった。彼はその中の一人にすぎなかった。
当時、社長付き秘書を務めるかたわら、社内人事にもたずさわっていたので、営業枠の最終面接に立ち会った。それが野宮さんとの初対面だった。
面接に現れた野宮さんは中肉中背で、第一印象はこれといって特徴があったわけではなかった。どこにでもいそうな、ごくありふれた青年に見えた。
しかし面接の中盤、特技について聞かれたときに、彼の迷う事なくはっきりと口にした言葉に興味を引かれた。
「キャベツの千切りです!」
一瞬、役員の面々が固まったのを覚えてる。通常こういった面接の場で特技を聞かれると、得意な楽器やスポーツ、面接に有利な資格等を列挙するのが定番だ。しかし彼の取り上げたものは、そのどれでもなかった。
「高校から大学までの七年間、広島風お好み焼き屋でバイトしてました。それまで包丁も握ったことなかったんですが、来る日も来る日も千切りをしていたら、いつの間にか仕込んでくれた店長より得意になってました」
最初は気難しい表情だった役員連中も、彼の話し方に引きこまれて、いつの間にか笑みさえ浮かべるようになっていた。
彼は明らかに営業向きで、しかも即戦力になる人材だ。面接は無事通過し、彼は予想通り営業部へ配属される運びとなった。
次に彼の名前を耳にしたのは、彼の入社から二週間ほど経ったころだろうか。
社長が同席する業績報告会のあと、営業部長が役員の一人に、最近入社した中途採用の新人について話しているところに居合わせた。
「ほら入江君も覚えてないか? あの『キャベツの千切り』男だよ」
「ええ、覚えてますよ」
部長の彼に対する評価は高かった。よく動くし、礼儀正しく、明るくて愛嬌もある。聞けば前職は、その業界では名の通った有名商社だったらしい。さすがあの会社で仕込まれただけある、と大絶賛だった。
しかし自分は、わずかな違和感を覚えた。有名商社で、おそらく活躍してたであろう将来有望な社員が、なぜ二年で転職したのか。気になって調べてみたところ、その商社は福利厚生もしっかりしていて、特にブラックな噂もないようだった。
(彼はなぜ二年で辞めたのだろう?)
人間関係のトラブルがあったのか、それとも人知れずパワハラ被害にあったのか。謎は深まるばかりだった。
(まあ、人にはそれぞれ違った価値観があるからな……)
何に重きを置いて、どこが譲れないのか、本人しか理解できないことも多々ある。何が彼を転職へ踏み切らせたのかは知らないが、そうする事情があったからそうしたまでだ。それ以上は詮索する意味も必要もないと、そこでいったん思考を中断した。
それからしばらくの間、彼のことは社内で時折見かける程度で、部署も違えばエレベーターで降りる階すら違うため、特に接点がないままだった。それでも見かけるたびに、彼の良く通る声が耳に残り、それが誰かへの挨拶だったりすると、いつかその声が自分へ向けられる日がくるだろうか、と何となく気になっていた。
それというのも、彼は挨拶する際に必ず相手の名前を呼ぶのだが、面接で一度顔合わせして以来、直接話したこともなければ部署も違う。名前はもとより、そもそも顔すら認識されてないのでは、と思ったからだ。
その小さな疑問が払拭されたのは、彼が入社して三ヶ月経った、ある冬の寒い日だった。
その日は社長の外出に同行する予定だったので、先に待ち合わせのロビーへと向かっていた際に、ちょうど正面玄関から入ってきた彼とばったり出くわした。
「お疲れ様です、入江さん」
「あ、お疲れ様です……野宮さん」
出先から戻ってきたばかりなのだろう、薄いトレンチコートの襟に首をもぐらせ、鼻の頭を赤くした彼が、一瞬足を止めて驚いた顔をした。それからうれしそうな、はにかんだ表情を浮かべてペコリと頭を下げると、パタパタとエレベーターホールとは逆の階段のほうへと足早に去っていった。
「おい。誰だ、あれ」
「あ、社長。お疲れ様です」
エレベーターホールから現れた社長は、何か面白いものでも見つけたような、人の悪い顔をしていた。
「営業部の野宮さんですよ」
「へえー……」
社長はニンマリと笑みを深めた。瞬時に嫌な予感がしたが、もう手遅れだった。
「お前、ああいうのが好みだったか」
「なんのお話でしょう」
その後は深くは追求されなかったが、この短いやり取りで己の胸の内にあった恋心に気づいてしまった。まだ小さな種の状態だったが、いずれ芽が出て、あっという間に成長してしまう予感がした。だが同時に、花も実も結ばないだろうことも容易に想像できた。
それから月日が流れ、彼がすっかり我が社の人間としてなじんだころ……世の中に変化が訪れ、それに合わせて会社も変革を迫られた。
業務はできるかぎりテレワークを推奨され、社員の八割は自宅で仕事をおこなうようになった。秘書室も例にもれず、現在オフィスはほとんど使われてない。
『入江、ちょっと来い』
一週間ぶりの出社日に、秘書室で荷物を下ろすや否や、さっそく社長に内線で呼び出された。社長室へ向かうと、そこにはなぜか野宮さんが所在無さげに立っている。
(一体どういう状況だ、これは……)
テレワークがはじまってからすでに半年近く、彼の姿を見てなかった。もうとっくに風化したと思っていた感情が、彼を目の前にして再び胸の奥でうずきだす。
「お前、営業部の野宮を知ってるだろう」
「ええ」
知ってるも何も、社長に彼のことを教えたのは自分だ。
「じゃあコイツ、今日からお前んとこに泊めてやって」
この人の話は説明もなく一気に結論へ飛んでしまいがちだが、五年も秘書として補佐していると何となく読めてしまう。おおかた、なにか事情があって、彼が住む場所に困っているのだろう。
(だからって、うちのマンションで一緒に暮らせというのか)
社長はこちらの気持ちを知っていて、お節介な気を回す反面、絶対に断らないだろうと踏んで提案しているのだ。この人は勝てない勝負には挑まない。そしてこの人の思惑通り、この魅力的な提案に断れない自分がいる。
だが当然、野宮さんはうろたえていた。
「えっ……今なんておっしゃいました?」
「だーかーらー、そこの入江んちで世話になりゃいいだろって話だよ」
社長の強引さと突飛さに、野宮さんはついていけないのだろう。無理もない、かわいそうに……だがこの話、きっと彼には断れない。そして私も断らない。
「入江んとこのマンション、部屋あまってたよな?」
「一応、社長の仮眠室ですが」
「当分お前んちに行く予定はないから問題ねーよ」
「……だそうですが、うちに来ます?」
野宮さんは本当に困った顔をしていた。とてもかわいそうで、とてもかわいらしい顔だ。困り顔がかわいらしいなんて、見ているこちらも困ってしまう。抱きしめて頭を撫でてやりたい衝動にかられそうで、そんな自分が怖くなる。
「コイツんとこのネット環境は悪くないぞ。しかも飯もうまい」
「社長」
「あ、それはサプライズにする予定だった? 悪い悪い」
そう、サプライズにする予定だった。でもまあ構わないだろう。実際に食べてみて、気に入ってもらえればうれしい。
(でも、あまり最初から構いすぎて、警戒されても困るな)
徐々に餌付けしていこう。こと恋愛に置いて、胃袋をつかむのはとても有効で手っ取り早い。いつか自分が揚げたトンカツに、彼の刻んだキャベツの千切りをそえたい。彼の作るお好み焼きも食べてみたい。もしかしたら先に相手の胃袋をつかむのは、彼のほうかもしれない。
これから始まる彼との生活を考えると、期待に胸が膨らむ。こんな気持ちになるのは、社会人になってから……いや、いつ以来か覚えてないくらい久しぶりだ。
その後は社長の許可を得て、そのまま車に彼を乗せると、彼のアパートへ向かった。部屋に上げてくれたが、中は男の一人暮らしのわりに片付いていた。心なしかいい香りがするが、きっと自分の気のせいだろう……思い人の部屋に上がれて、少々浮かれているのかもしれない。
ひとつ気がかりなのは、アパートのセキュリティーが甘いことだ。外階段だし防犯上あまりよろしくない。
「お待たせしてすいません、準備できました!」
大きなスーツケースを用意した彼は、部屋を出る際に、どこか名残惜し気に後ろを振り返った。
(ここにはもう、戻したくない)
防犯上もだが、せっかく一緒に暮らすのだから、今から戻ることなんて考えてほしくない。それにうちのマンションの方が、よっぽどセキュリティー上安全だ。彼にはそういう場所で、安全に暮らしてもらいたい。
車に荷物を積んで乗りこむと、彼はお互いの緊張をほぐすかのように、明るい口調であれこれ世間話をはじめた。やはり営業向きだ。きっと前の会社でも、かわいがられていたに違いない。そして学生時代は、多くの友人に囲まれていただろう。
かたや自分は、彼とは真逆のタイプの人間だ。昔からどうも冷たい人間に思われがちで、愛想笑いも下手なため、常にひとりで行動することが多かった。
女性とはそれなりに付き合ったが、最後には『何を考えているのか分からない』やら『私のことなんて好きじゃないでしょ』などと言われてふられ、長続きしたためしがない。友人はいなくもないが、皆自分と似たタイプの人間なので、普段からまめに連絡を取ることもなければ、群れて行動することもなかった。
これほど彼が気になるのは、もしかすると自分とは正反対だからかもしれない。でも理由はどうであれ、自分が彼に惹かれているのは、まぎれもない事実だ。
(おわり)
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