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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【出題編】
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立ち上がったコトリを先頭にして、キャンプ場の中を一通り歩いて回ってみる。思ったよりもこぢんまりとしているキャンプ場の中で、妙に新しい倉庫らしきものが場違いに見えた。
「ここが現場ですわね。ご覧の通り、密室でしてよ」
コトリはそう言うとドアノブを回してみる。しかしながら、当たり前のように扉は開かない。事前に資料で見ていたが、鍵は被害者のポケットの中にあったオリジナル1本のみであり、スペアなどはないようだ。では、この現場をどのように調べるのだろうか。
「今回も開けて中をご覧になりますか?」
冥が言うと「いえ、今回は結構ですわ」とコトリ。せっかくここまで来たのに、中は見ずに帰るらしい。それにしても、どんな手段で中を見るのだろうか。資料によると警察がピッキングで鍵を開けているようだし、同じ手段を取るのかも。まぁ、すでに彼女達は一度現場を訪れているようだし、斑目や寺山が現場を見たところで、結局のところ密室の謎は解けないだろう。深くは詮索すまい。
ふと、その時のこと。斑目のスマートフォンが鳴る。ディスプレイを見てみると、どうやら相手は千早らしい。こっちに来る段取りの電話だろうか。
「――失礼」
そう断りを入れて電話に出る。
「あぁ、斑目さん。猫屋敷です」
「はい、猫屋敷さん。どうされました? こっちに来るスケジュールが決まりそうですか?」
倉庫から少し離れて電話を続ける。
「いえ、その件なのですが――こちらで資料を拝見させていただいた限り、ひとつの可能性が出てきまして」
「それって、密室の謎が解けたってことですか?」
斑目の問いに、電話越しの千早は「はい」とだけ返した。実際に現場までやってきた斑目でさえ、いまだに密室の謎なんてちんぷんかんぷんなのに、千早は資料だけで答えにたどり着いたらしい。
「もしかして、こちらに来られるという一里之君のご友人の方?」
気づくとコトリが近くまで来ていた。斑目が頷くと、コトリは手を差し出して「代わってくださる?」とスマホを要求。渡してやると、ほぼ初めて話す相手だろうに、フランクに話し始めた。電話口の向こうにいる千早はたじたじだろう。
「私、窓辺野コトリと申しますわ。えぇ、それで今回の事件なのですが――」
事件のあらましを話すわけでもなく、ただ何度か相槌を打つコトリ。
「えぇ、その通りですわ。どうやら意見は一致したようですわね」
そして、次の一言が斑目に衝撃を与えた。いいや、きっと斑目だけではなく、その場にいる全員に衝撃を与えたことだろう。
「犯人? えぇ、心配ご無用。もう分かりましたから……」
「ここが現場ですわね。ご覧の通り、密室でしてよ」
コトリはそう言うとドアノブを回してみる。しかしながら、当たり前のように扉は開かない。事前に資料で見ていたが、鍵は被害者のポケットの中にあったオリジナル1本のみであり、スペアなどはないようだ。では、この現場をどのように調べるのだろうか。
「今回も開けて中をご覧になりますか?」
冥が言うと「いえ、今回は結構ですわ」とコトリ。せっかくここまで来たのに、中は見ずに帰るらしい。それにしても、どんな手段で中を見るのだろうか。資料によると警察がピッキングで鍵を開けているようだし、同じ手段を取るのかも。まぁ、すでに彼女達は一度現場を訪れているようだし、斑目や寺山が現場を見たところで、結局のところ密室の謎は解けないだろう。深くは詮索すまい。
ふと、その時のこと。斑目のスマートフォンが鳴る。ディスプレイを見てみると、どうやら相手は千早らしい。こっちに来る段取りの電話だろうか。
「――失礼」
そう断りを入れて電話に出る。
「あぁ、斑目さん。猫屋敷です」
「はい、猫屋敷さん。どうされました? こっちに来るスケジュールが決まりそうですか?」
倉庫から少し離れて電話を続ける。
「いえ、その件なのですが――こちらで資料を拝見させていただいた限り、ひとつの可能性が出てきまして」
「それって、密室の謎が解けたってことですか?」
斑目の問いに、電話越しの千早は「はい」とだけ返した。実際に現場までやってきた斑目でさえ、いまだに密室の謎なんてちんぷんかんぷんなのに、千早は資料だけで答えにたどり着いたらしい。
「もしかして、こちらに来られるという一里之君のご友人の方?」
気づくとコトリが近くまで来ていた。斑目が頷くと、コトリは手を差し出して「代わってくださる?」とスマホを要求。渡してやると、ほぼ初めて話す相手だろうに、フランクに話し始めた。電話口の向こうにいる千早はたじたじだろう。
「私、窓辺野コトリと申しますわ。えぇ、それで今回の事件なのですが――」
事件のあらましを話すわけでもなく、ただ何度か相槌を打つコトリ。
「えぇ、その通りですわ。どうやら意見は一致したようですわね」
そして、次の一言が斑目に衝撃を与えた。いいや、きっと斑目だけではなく、その場にいる全員に衝撃を与えたことだろう。
「犯人? えぇ、心配ご無用。もう分かりましたから……」
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