ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】

ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】1

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【1】

「おい、お嬢。さっきの話はどうなった? 犯人が分かったとか分からないとか――」

 電話の内容を聞いて驚愕したのは鯖洲だけではない。斑目だって驚いた。ずっと前から千早のことを知っているし、彼女ほど聡明で頭の回転が速い女性はいないと思っていたが、どうやら世の中は広いらしい。どこぞの豪邸にお住まいで、不動産会社の社長令嬢であるお嬢様もまた、事件の真相にたどり着いたようだった。スマートフォンを返してもらう際に「いつか、猫屋敷さんにもお会いしてみたいですわ」と笑顔を浮かべたコトリであるが、千早のお株を奪ってしまったのは、間違いなくコトリである。

「もちろんですわ。密室の謎はもちろんのこと、犯人が誰なのかも分かってますから」

 斑目の感覚としては、到着してまだ間もないタイミングで、まさか解決編が始まってしまうなんて思いも寄らなかった。一刻も早く一里之を助け出してやりたい気持ちはあるが、せっかく駆けつけたのだから、彼のために役立ちたいという気持ちもある。なんにせよ、お株を奪われてしまったのは、もしかすると千早だけではないのかもしれない。

「それで、犯人は――?」

 結論を急に急ぐかのように問う冥。慌てるなとばかりに首を横に振ったコトリは、倉庫を見上げた。

「それよりも先に、ちょうどここにいるわけですし、密室の謎から解いてしまわない?」

 たまたまここにいる――というより、おそらくは最初からここで密室の謎を解き明かすつもりだったのであろう。コトリからのアイコンタクトを受けたらしい冥は、小声で「かしこまりました」と呟き、荷物の中から妙なツールセットを取り出した。ブランド物の小洒落たバッグの中から、なぜにツールセットが出てくるのか。冥がそれを手に倉庫の扉の前に向かったのを見て察した。確か、警察はピッキングツールで現場の鍵を解錠したはず。それと同じことを、冥はやろうとしているのだろう。朝食の準備からピッキングまで――彼女は一体何者なのであろうか。

「ご覧の通り。この倉庫は密室でしたわ。今、ピッキングツールで開けてもらっているけど、警察が到着した時点で、ピッキングツールによって鍵をかけられた形跡もなかったとのこと。そして、唯一の鍵は被害者のポケットの中にあった。完全なほどに完全な密室ですわ。でもね、それは人間の思い込みによって作り出された密室だったの」
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