370 / 391
ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】
87
しおりを挟む
関係のない話ということだが、襲撃を受けたせいで精神的に興奮しているのであろう。鯖洲は意気揚々と喫茶店を出て行ってしまった。こちらの返事も聞かずに、さっさと車を表に回しに向かったらしい。必然的にこちらも急がねばならなくなるというのに――まだ残っていたコーヒーのカップを眺めて、コトリは溜め息をひとつ。
「随分とアクティブな方なんですね」
鯖洲の姿を見送った千早は、コーヒーカップを片手に微かな笑みを浮かべた。
「えぇ、ちょっと喧嘩っ早いところがあるけど、自慢の執事ですわ」
彼を雇った理由――今さらながら、なぜ彼だったのかは分からない。ただ、ふとセバスチャンと呼ばれている男の人を見かけて、実に執事らしい名前だと思い、そのままの勢いで雇うことにしたわけだが、それが彼で良かったと思う。反社会的な組織に属していると知ったのは随分と後のことだったし、別にそうだからといってコトリは彼を蔑んだりはしなかった。そういう世界があって、そこで生きているだけ。それに、なんだかんだと文句は多くとも、ここぞという時にはしっかり動いてくれるし、なによりも存在自体が心強い。今、この場に彼がいるのといないのとでは、大きな違いがあったことだろう。
「まぁ、無理矢理病院を退院してきてしまったり、破天荒ではありますがねぇ」
刑事という立場からすると、鯖洲と一緒に行動をしているというのはどんな感じなのであろうか。別に悪さをしているというわけではないが、しかし鯖洲は一般的に反社会的な勢力に属しているわけであり、警察とは相対するイメージがあるのだが。いいや、こうして同行してくれている時点で、その辺りのことは気にしないというか、斑目もまた刑事の中では稀有なタイプなのであろう。
「というか、まだ玄界灘さんが来ておられませんけど、先に車を取りに行って良かったのでしょうか?」
千早の一言に、コトリは小さく首を横に振った。
「なんだかんだで、あの2人は気が合うのか、お互いのことを良く分かっているの。だから、心配はいりませんわ」
コトリが口を開くのを待っていたかのごとく、喫茶店の扉が開き、メイド姿の彼女が入ってきた。店内を見回し、鯖洲の姿がないことに気づいた冥は、大きく溜め息を漏らした。
「コーヒーでも、と思っていましたが、どうやらそんな時間はなさそうですね」
「随分とアクティブな方なんですね」
鯖洲の姿を見送った千早は、コーヒーカップを片手に微かな笑みを浮かべた。
「えぇ、ちょっと喧嘩っ早いところがあるけど、自慢の執事ですわ」
彼を雇った理由――今さらながら、なぜ彼だったのかは分からない。ただ、ふとセバスチャンと呼ばれている男の人を見かけて、実に執事らしい名前だと思い、そのままの勢いで雇うことにしたわけだが、それが彼で良かったと思う。反社会的な組織に属していると知ったのは随分と後のことだったし、別にそうだからといってコトリは彼を蔑んだりはしなかった。そういう世界があって、そこで生きているだけ。それに、なんだかんだと文句は多くとも、ここぞという時にはしっかり動いてくれるし、なによりも存在自体が心強い。今、この場に彼がいるのといないのとでは、大きな違いがあったことだろう。
「まぁ、無理矢理病院を退院してきてしまったり、破天荒ではありますがねぇ」
刑事という立場からすると、鯖洲と一緒に行動をしているというのはどんな感じなのであろうか。別に悪さをしているというわけではないが、しかし鯖洲は一般的に反社会的な勢力に属しているわけであり、警察とは相対するイメージがあるのだが。いいや、こうして同行してくれている時点で、その辺りのことは気にしないというか、斑目もまた刑事の中では稀有なタイプなのであろう。
「というか、まだ玄界灘さんが来ておられませんけど、先に車を取りに行って良かったのでしょうか?」
千早の一言に、コトリは小さく首を横に振った。
「なんだかんだで、あの2人は気が合うのか、お互いのことを良く分かっているの。だから、心配はいりませんわ」
コトリが口を開くのを待っていたかのごとく、喫茶店の扉が開き、メイド姿の彼女が入ってきた。店内を見回し、鯖洲の姿がないことに気づいた冥は、大きく溜め息を漏らした。
「コーヒーでも、と思っていましたが、どうやらそんな時間はなさそうですね」
0
あなたにおすすめの小説
主人公は高みの見物していたい
ポリ 外丸
ファンタジー
高等魔術学園に入学した主人公の新田伸。彼は大人しく高校生活を送りたいのに、友人たちが問題を持ち込んでくる。嫌々ながら巻き込まれつつ、彼は徹底的に目立たないようにやり過ごそうとする。例え相手が高校最強と呼ばれる人間だろうと、やり過ごす自信が彼にはあった。何故なら、彼こそが世界最強の魔術使いなのだから……。最強の魔術使いの高校生が、平穏な学園生活のために実力を隠しながら、迫り来る問題を解決していく物語。
※主人公はできる限り本気を出さず、ずっと実力を誤魔化し続けます
※小説家になろう、ノベルアップ+、ノベルバ、カクヨムにも投稿しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!
秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。
民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。
「おまえたちは許さない」
二度目の人生。
エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。
彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。
1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。
「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」
憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。
二人の偽りの婚約の行く末は……
きっと、君は知らない
mahiro
BL
前世、というのだろうか。
俺は前、日本という国で暮らしていて、あの日は中学時代にお世話になった先輩の結婚式に参列していた。
大人になった先輩と綺麗な女性の幸せそうな姿に胸を痛めながら見つめていると二人の間に産まれたという女の子がひとりで車道に向かい歩いている姿が目に入った。
皆が主役の二人に夢中で子供の存在に気付いておらず、俺は慌ててその子供のもとへと向かった。
あと少しで追い付くというタイミングで大型の車がこちらに向かってくるのが見え、慌ててその子供の手を掴み、彼らのいる方へと突き飛ばした。
次の瞬間、俺は驚く先輩の目と合ったような気がするが、俺の意識はそこで途絶えてしまった。
次に目が覚めたのは見知らぬ世界で、聞いたことのない言葉が行き交っていた。
それから暫く様子を見ていたが、どうやら俺は異世界に転生したらしく………?
余命僅かな大富豪を看取って、円満に未亡人になるはずでした
ぜんだ 夕里
恋愛
傾きかけた家を救うため、私が結んだのはあまりにも不謹慎な契約――余命いくばくもない大富豪の辺境伯様と結婚し、彼の最期を穏やかに看取ることで莫大な遺産を相続する、というものだった。
しかし、人の死を利用して富を得るなど不正義!
そう考えた私が立てたのは、前代未聞の計画。
「そうだ、遺産が残らないくらい贅沢の限りを尽くしてもらえば、すべて丸く収まるじゃない!」
結婚する事に決めたから
KONAN
恋愛
私は既婚者です。
新たな職場で出会った彼女と結婚する為に、私がその時どう考え、どう行動したのかを書き記していきます。
まずは、離婚してから行動を起こします。
主な登場人物
東條なお
似ている芸能人
○原隼人さん
32歳既婚。
中学、高校はテニス部
電気工事の資格と実務経験あり。
車、バイク、船の免許を持っている。
現在、新聞販売店所長代理。
趣味はイカ釣り。
竹田みさき
似ている芸能人
○野芽衣さん
32歳未婚、シングルマザー
医療事務
息子1人
親分(大島)
似ている芸能人
○田新太さん
70代
施設の送迎運転手
板金屋(大倉)
似ている芸能人
○藤大樹さん
23歳
介護助手
理学療法士になる為、勉強中
よっしー課長(吉本)
似ている芸能人
○倉涼子さん
施設医療事務課長
登山が趣味
o谷事務長
○重豊さん
施設医療事務事務長
腰痛持ち
池さん
似ている芸能人
○田あき子さん
居宅部門管理者
看護師
下山さん(ともさん)
似ている芸能人
○地真央さん
医療事務
息子と娘はテニス選手
t助
似ている芸能人
○ツオくん(アニメ)
施設医療事務事務長
o谷事務長異動後の事務長
雄一郎 ゆういちろう
似ている芸能人
○鹿央士さん
弟の同級生
中学テニス部
高校陸上部
大学帰宅部
髪の赤い看護師(川木えみ)
似ている芸能人
○田來未さん
准看護師
ヤンキー
怖い
幸せな人生を目指して
える
ファンタジー
不慮の事故にあいその生涯を終え異世界に転生したエルシア。
十八歳という若さで死んでしまった前世を持つ彼女は今度こそ幸せな人生を送ろうと努力する。
精霊や魔法ありの異世界ファンタジー。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる