ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】

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 元より、母には話を聞く予定ではあったのだ。しかしながら、やや誇張されてしまった情報に踊らされてしまい、屋敷を離れてしまった。けれども、どうやら回帰する部分はコトリの家族になるらしい。

「窓辺野さんの家族ならば、事件があった過去のことも詳しく知っているはずです。こちらの持っている情報を全てぶつけてみましょう」

 千早は気持ちを切り替えるかのごとくコーヒーを一口。苦かったのか、やや顔をしかめた。砂糖やミルクを入れればいいのに。

「現状、お嬢の家族は母親だけ。周りの使用人の話は丸々信じることはできないだろうし、信憑性が高いのも母親の話だけだろうな。じゃあ、玄界灘と合流次第、屋敷に戻るか。お嬢、自分の親と連絡は取れるか?」

 わざわざ鯖洲が問うてきたのは、やはりコトリの家が普通ではないからであろう。普通の家庭であれば、お互いの連絡先くらい知っていて当然だが、残念ながらコトリが母親と連絡を取る際は、いつも寺山を経由していたのだ。むろん、屋敷では普通に顔を合わせるし、言葉を交わしたりもするのだが。

「今すぐ連絡を取ることはできませんわ。簡単な連絡事なんかは、寺山にお願いしていたし」

 そもそも、外に出た時に、互いに連絡を取り合うことも珍しい窓辺野家。母親だけではなく、父親にいたっても、気軽に連絡をするなんてことはなかった。特に父がスマホに縛られることを嫌っていた。そればかりではなく、屋敷に帰ってはきても、顔さえ合わせない日もあったくらいだ。思い返してみると、なんというか家族として崩壊していたような気がする。いつからかと問われれば間違いない。過去の事件が起きてからずっとだ。

「随分と希薄な家族関係だよなぁ。多分、お嬢が俺や玄界灘と付き合ってること自体、家族は知らねぇぞ」

 鯖洲の言葉に思わず頷いた。おそらくではあるが、母は知らないだろう。それくらい希薄性の強い家族なのだ。いつからこうなってしまったのだろう。もはや、考えることさえも嫌になる。

「それぞれの家庭には、それぞれのルールというものがありますからね。決して、窓辺野さんのところがおかしいわけではありませんよ。あくまでもひとつの形ですから」

 別にフォローはいらなかったのであるが、気を遣ってくれたのか斑目からのフォローが入った。

「とにかく、玄界灘が来たらすぐに出るぞ。あれだったら、今から外に車を回してやっても構わんがな」
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