ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】

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 関係のない話ということだが、襲撃を受けたせいで精神的に興奮しているのであろう。鯖洲は意気揚々と喫茶店を出て行ってしまった。こちらの返事も聞かずに、さっさと車を表に回しに向かったらしい。必然的にこちらも急がねばならなくなるというのに――まだ残っていたコーヒーのカップを眺めて、コトリは溜め息をひとつ。

「随分とアクティブな方なんですね」

 鯖洲の姿を見送った千早は、コーヒーカップを片手に微かな笑みを浮かべた。

「えぇ、ちょっと喧嘩っ早いところがあるけど、自慢の執事ですわ」

 彼を雇った理由――今さらながら、なぜ彼だったのかは分からない。ただ、ふとセバスチャンと呼ばれている男の人を見かけて、実に執事らしい名前だと思い、そのままの勢いで雇うことにしたわけだが、それが彼で良かったと思う。反社会的な組織に属していると知ったのは随分と後のことだったし、別にそうだからといってコトリは彼を蔑んだりはしなかった。そういう世界があって、そこで生きているだけ。それに、なんだかんだと文句は多くとも、ここぞという時にはしっかり動いてくれるし、なによりも存在自体が心強い。今、この場に彼がいるのといないのとでは、大きな違いがあったことだろう。

「まぁ、無理矢理病院を退院してきてしまったり、破天荒ではありますがねぇ」

 刑事という立場からすると、鯖洲と一緒に行動をしているというのはどんな感じなのであろうか。別に悪さをしているというわけではないが、しかし鯖洲は一般的に反社会的な勢力に属しているわけであり、警察とは相対するイメージがあるのだが。いいや、こうして同行してくれている時点で、その辺りのことは気にしないというか、斑目もまた刑事の中では稀有なタイプなのであろう。

「というか、まだ玄界灘さんが来ておられませんけど、先に車を取りに行って良かったのでしょうか?」

 千早の一言に、コトリは小さく首を横に振った。

「なんだかんだで、あの2人は気が合うのか、お互いのことを良く分かっているの。だから、心配はいりませんわ」

 コトリが口を開くのを待っていたかのごとく、喫茶店の扉が開き、メイド姿の彼女が入ってきた。店内を見回し、鯖洲の姿がないことに気づいた冥は、大きく溜め息を漏らした。

「コーヒーでも、と思っていましたが、どうやらそんな時間はなさそうですね」
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