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相談する side カシミール
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カシミール=グランティーノが、偏頭痛の治療をイヴ=スタームに任せてから1ヶ月が経った。
イヴは献身的であった。自分の利益を顧みず、利他的なその姿にさすがのカシミールも絆されつつあった。
たった数十分の治療、されど1ヶ月仕事がある日は毎日。
これを献身的と言わず、どう説明すればいいのか、もはやカシミールは認めざる得なかった。
しかし、治療の際に見せる愛想笑いがどうしても好きになれず、気がつけばいつも治療の礼の一つも言えずに別れる。
カシミールは少しずつ罪悪感を蓄積していった。
こちらの態度がいくら悪かろうが、イヴは文句の一つも言わずに治療する。
これではいけないと、カシミールは1ヶ月経ってようやく思い至ったのだった。
「それで、僕に話って?」
カフェの店内の人は疎らで、静かなものだった。ざわつかず、コーヒーの匂いが漂う中、クラークともう1人、クラークの恋人と共に3人で小さな丸いテーブルを挟んで座っていた。
クラークには、「話がある」としか説明せず、予定を尋ねた。するとクラークは「カシミールにもエメを紹介したい」と言って恋人を連れてきたのだ。
クラークの恋人、エメ=リュデュイはほんの少し天然のパーマがある空のような水色の髪で、シトリンが嵌め込まれたような黄色い瞳が特徴的だった。髪は後ろで三つ編みされており、それは肩下程までの長さだった。
紹介された瞬間に、驚いたのだ。エメの言葉遣いは、平民のそれだった。そんな分かりやすい驚きもエメは慣れているのか、「悪いな。言葉遣いはおいおい覚えてくつもりなんだ」と陽だまりのような笑顔で言われれば、失礼な態度だったと謝罪した。
エメは気を悪くしたりせず、カシミールに対し「……クラークの言った通り、本当に真面目だな。いや……堅物と言っても……」という反応だった。
クラークはニコニコと穏やかにその様子を見ていた。クラークにとって恋人の紹介は喜ばしいことだった。
クラークは隠し事をされることも嫌った。なんでも元の恋人が秘密を持っており、恋人のクラークには教えず、他人には教えていたらしい。
そんなクラークのトラウマがあり、それを乗り越えるほどの恋人が出来たことが例えようもなく嬉しいと伝わってくるようだった。
「ああ、相談事なんだが……」
そうして、カシミールはここ1ヶ月のイヴの献身的な治療を2人に伝えた。
そして、そのイヴをみるとどうしても好きになれず、お礼が言えないことも話した。
2人は真剣にこちらの話を聞いて、暫く考え込んだ。そして、先に口を開いたのはエメだった。
「見返りは求めてないって言ったんだろ? 別に気にすることないんじゃねーか? 毎日来るのも治療も、全部向こうが勝手にやってることだ。礼くらい言え、なんてそれこそ押し付けがましいだろ」
「うーん…まぁ僕もエメの言葉に同意かな。ただ、カシムの性格だと罪悪感を今後も感じるとは思う」
「礼を言わないことで罪悪感を感じるって事は、その治癒の力はよっぽどカシミールさんにとって救いになってるってことだな」
「礼するくらいならタダなんだからやった方が良い」と言われるくらいの覚悟はして話したのだが、2人の意見は全く違っていた。
カシミールの罪悪感を少しだけ薄れさせてくれるものだった。
「そうだな、実際かなり助かっている。明らかに偏頭痛の頻度が減っていっているし、そこまで酷い頭痛も起きなくなってきた」
「……それは、凄い治癒の力だね。どこの治療院に行っても治らないって言ってたじゃないか」
「え?てことは金取れるレベルってことか?そりゃラッキーだな」
「治癒の力なんて多少出来れば直ぐに教会へ入るのが普通なのに、イヴとやらはどこの仕事をしているの?」
そう聞かれて、言い淀むカシミールを見て、エメが気づく。
「い、1ヶ月会ってて何してるかも分かんねーやつと会ってんのか!しかも騎士団に入れて?」
「ああ、いや……騎士団の文官服を着ているのは確かなんだ。だから外からの侵入ではない」
「そんなすげーやつが文官?よく分かんねーな……なんか教会に入れない理由がありそうだな」
「イヴの家名ってなに?治癒で有名なのはスターム家だけど」
「……イヴ=スタームと言っていた」
するとクラークは目を見開いて止まった。クラークの珍しい表情にエメも驚いていた。
「スターム家?! 本当に?! てことは本当にお金をとって治癒している所だよ! 何ヶ月待ちとか普通だよ!」
「え、ガチのスゲー奴なの? マジで?」
「スターム家に居る治癒師の中でも最も優れているのは、頭痛どころじゃない、関節痛やら腰痛、幻肢痛、古傷の痛みでさえも治せる……天使の手と呼ばれている治癒師だ」
「え? まさか」
ちら、とエメとクラークがこちらを伺うように見てくる。
言いたいことはよく分かる。目は口ほどに物を言うとはよく言ったものだ。
「…謝罪して、礼を言った方が良さそうだな」
「天使の手を無償で…いや、イヴとやらが君に気があるとしか思えないんだけど。それか、なにか見返りを」
「けどイヴは見返りは要らないって言った。……俺は余計なことはしない方がいいと思う。けど、何ヶ月も待って金払ってる患者がいるって聞くと……」
2人はもう一度ちら、とカシミールを見る。
カシミールはもう大きく溜息をつくしかなかった。
まさかあんな愛想笑いの下手くそな、薄っぺらい軽薄な笑みをするイヴが、治癒師として最も優れているとは思ってもみなかった。
カシミールに気がある云々は置いといても、やはり謝罪と感謝は述べる必要がありそうだった。
「はぁ…」
「カシム。イヴがその献身的な治療を行った事は事実だ。しかし君が謝罪や感謝を述べないからと言って、僕は決して君を不実だとは思わないよ。イヴが最初に言ったんだからね」
「そうそう。 あんなこと言ったけど、スゲー奴だから礼するってのも変な話だしな!」
カシミールは「そうだな」と言い、そして礼を述べようとしたが、クラークが話を続ける。
「ただ、なんの目的で君に治癒をかけているのか、それくらいはもう一度確認すべきだ。スターム家がバックにあるとなるとおかしな話になってくる。カシミールのことだからよっぽどの限りでなきゃ害されることはないと思うけど、なにか起きる前に聞いといた方がいい」
「後から法外な金銭の要求とか?」
「……あとは、カシムとの結婚とかかな。こんな有望株、なかなかないだろうし」
「……どれも有り得そうで最悪だ。分かった、聞いてみる」
2人に相談して良かったと、思いつつ感謝を述べると、2人は同じような穏やかな空気を出して他の話になっていった。
イヴは献身的であった。自分の利益を顧みず、利他的なその姿にさすがのカシミールも絆されつつあった。
たった数十分の治療、されど1ヶ月仕事がある日は毎日。
これを献身的と言わず、どう説明すればいいのか、もはやカシミールは認めざる得なかった。
しかし、治療の際に見せる愛想笑いがどうしても好きになれず、気がつけばいつも治療の礼の一つも言えずに別れる。
カシミールは少しずつ罪悪感を蓄積していった。
こちらの態度がいくら悪かろうが、イヴは文句の一つも言わずに治療する。
これではいけないと、カシミールは1ヶ月経ってようやく思い至ったのだった。
「それで、僕に話って?」
カフェの店内の人は疎らで、静かなものだった。ざわつかず、コーヒーの匂いが漂う中、クラークともう1人、クラークの恋人と共に3人で小さな丸いテーブルを挟んで座っていた。
クラークには、「話がある」としか説明せず、予定を尋ねた。するとクラークは「カシミールにもエメを紹介したい」と言って恋人を連れてきたのだ。
クラークの恋人、エメ=リュデュイはほんの少し天然のパーマがある空のような水色の髪で、シトリンが嵌め込まれたような黄色い瞳が特徴的だった。髪は後ろで三つ編みされており、それは肩下程までの長さだった。
紹介された瞬間に、驚いたのだ。エメの言葉遣いは、平民のそれだった。そんな分かりやすい驚きもエメは慣れているのか、「悪いな。言葉遣いはおいおい覚えてくつもりなんだ」と陽だまりのような笑顔で言われれば、失礼な態度だったと謝罪した。
エメは気を悪くしたりせず、カシミールに対し「……クラークの言った通り、本当に真面目だな。いや……堅物と言っても……」という反応だった。
クラークはニコニコと穏やかにその様子を見ていた。クラークにとって恋人の紹介は喜ばしいことだった。
クラークは隠し事をされることも嫌った。なんでも元の恋人が秘密を持っており、恋人のクラークには教えず、他人には教えていたらしい。
そんなクラークのトラウマがあり、それを乗り越えるほどの恋人が出来たことが例えようもなく嬉しいと伝わってくるようだった。
「ああ、相談事なんだが……」
そうして、カシミールはここ1ヶ月のイヴの献身的な治療を2人に伝えた。
そして、そのイヴをみるとどうしても好きになれず、お礼が言えないことも話した。
2人は真剣にこちらの話を聞いて、暫く考え込んだ。そして、先に口を開いたのはエメだった。
「見返りは求めてないって言ったんだろ? 別に気にすることないんじゃねーか? 毎日来るのも治療も、全部向こうが勝手にやってることだ。礼くらい言え、なんてそれこそ押し付けがましいだろ」
「うーん…まぁ僕もエメの言葉に同意かな。ただ、カシムの性格だと罪悪感を今後も感じるとは思う」
「礼を言わないことで罪悪感を感じるって事は、その治癒の力はよっぽどカシミールさんにとって救いになってるってことだな」
「礼するくらいならタダなんだからやった方が良い」と言われるくらいの覚悟はして話したのだが、2人の意見は全く違っていた。
カシミールの罪悪感を少しだけ薄れさせてくれるものだった。
「そうだな、実際かなり助かっている。明らかに偏頭痛の頻度が減っていっているし、そこまで酷い頭痛も起きなくなってきた」
「……それは、凄い治癒の力だね。どこの治療院に行っても治らないって言ってたじゃないか」
「え?てことは金取れるレベルってことか?そりゃラッキーだな」
「治癒の力なんて多少出来れば直ぐに教会へ入るのが普通なのに、イヴとやらはどこの仕事をしているの?」
そう聞かれて、言い淀むカシミールを見て、エメが気づく。
「い、1ヶ月会ってて何してるかも分かんねーやつと会ってんのか!しかも騎士団に入れて?」
「ああ、いや……騎士団の文官服を着ているのは確かなんだ。だから外からの侵入ではない」
「そんなすげーやつが文官?よく分かんねーな……なんか教会に入れない理由がありそうだな」
「イヴの家名ってなに?治癒で有名なのはスターム家だけど」
「……イヴ=スタームと言っていた」
するとクラークは目を見開いて止まった。クラークの珍しい表情にエメも驚いていた。
「スターム家?! 本当に?! てことは本当にお金をとって治癒している所だよ! 何ヶ月待ちとか普通だよ!」
「え、ガチのスゲー奴なの? マジで?」
「スターム家に居る治癒師の中でも最も優れているのは、頭痛どころじゃない、関節痛やら腰痛、幻肢痛、古傷の痛みでさえも治せる……天使の手と呼ばれている治癒師だ」
「え? まさか」
ちら、とエメとクラークがこちらを伺うように見てくる。
言いたいことはよく分かる。目は口ほどに物を言うとはよく言ったものだ。
「…謝罪して、礼を言った方が良さそうだな」
「天使の手を無償で…いや、イヴとやらが君に気があるとしか思えないんだけど。それか、なにか見返りを」
「けどイヴは見返りは要らないって言った。……俺は余計なことはしない方がいいと思う。けど、何ヶ月も待って金払ってる患者がいるって聞くと……」
2人はもう一度ちら、とカシミールを見る。
カシミールはもう大きく溜息をつくしかなかった。
まさかあんな愛想笑いの下手くそな、薄っぺらい軽薄な笑みをするイヴが、治癒師として最も優れているとは思ってもみなかった。
カシミールに気がある云々は置いといても、やはり謝罪と感謝は述べる必要がありそうだった。
「はぁ…」
「カシム。イヴがその献身的な治療を行った事は事実だ。しかし君が謝罪や感謝を述べないからと言って、僕は決して君を不実だとは思わないよ。イヴが最初に言ったんだからね」
「そうそう。 あんなこと言ったけど、スゲー奴だから礼するってのも変な話だしな!」
カシミールは「そうだな」と言い、そして礼を述べようとしたが、クラークが話を続ける。
「ただ、なんの目的で君に治癒をかけているのか、それくらいはもう一度確認すべきだ。スターム家がバックにあるとなるとおかしな話になってくる。カシミールのことだからよっぽどの限りでなきゃ害されることはないと思うけど、なにか起きる前に聞いといた方がいい」
「後から法外な金銭の要求とか?」
「……あとは、カシムとの結婚とかかな。こんな有望株、なかなかないだろうし」
「……どれも有り得そうで最悪だ。分かった、聞いてみる」
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※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。
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