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番外編
ダメ男吸引器 side エメ
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「へぇ、それで結婚することに決めたんだ」
ダリルと久しぶりに落ち合って、カフェで話していた。
事の顛末を話している最中、ダリルは『信じられない』だの『馬鹿と天才は紙一重ってエメのためにある言葉だと思う』だの『そういう所がエメのダメな所だよ』だの散々な言われようだった。
ちなみにカタリナへのクラークの優しさが消えたことに関しては『氷の貴公子ってディランがいつも言ってるでしょ。本当に優しいのは恋人の前だけだからね?』と言っていた。まだ信じられない。
「クラークがな。 『もう覚悟を決めました』だって言ったんだよ」
「ああ、『結婚したい?』の問いかけ? クラークさん参ってるじゃん。やっぱエメのダメ男吸引器は健在だね」
「クラークはダメじゃないぞ!」
ダリルは大袈裟に溜息をついて、肩を竦める。
「いや、ダメでしょ。エメの健気さに今まで怖くて結婚を言い出せなかった訳だ。ダメ以外の何がある?」
「俺のせい?」
「八割くらいエメのせいだね。あとはクラークさんの臆病さ」
クラークにあの後、もう一度「俺と結婚したい?」と問うた。
するとクラークは海よりも深い溜息をついて「覚悟を決めました……」と言って、とりあえず書面上だけは婚姻関係を結ぶ運びになり、エメ=デュリュイはついにエメ=アクセルソンとなった。
クラークは、「僕、長生きするからね……」と俺の両肩を少し痛いくらいに掴んでまた溜息をつきながら言っていた。
嬉しい言葉なのに、全くもって嬉しくなさそうに言われたのは少し不満だ。
「なんだよなんだよ、ダリルもクラークも! 俺が悪いのか? なぁイヴ?」
「……そうですね、少しクラークさんが可哀想な気がしてきました……」
隣で大人しく聞いていたイヴ=グランティーノは苦笑する。
「でも、ま、よかったんじゃない?アクセルソン家に入ればクラークさんも安心でしょ」
「どういうことだ?」
「……クラークさんが例え死んでも保護されるからだよ。アクセルソン家は身内にとても優しいって話だしね」
「ああ……逆に言えば身内以外にはとても厳しいと伺ったことがあります」
エメは、イヴの言う厳しいの意味がよく分からなかった。
クラークの両親はいつだってとても優しいし、厳しいところなんて一度も見たことがない。
クラークだってこないだ初めて優しくないところを見たくらいだ。
「エメは誰にでも、特に女の子には優しくしちゃうからクラークさんは気が気じゃないだろうね。とても貴族社会で生きていけないだろうし」
「……なるほど。そういうのもあって、結婚に踏み切れなかったんですね」
「ええー? 俺の口調とか態度じゃねぇの?」
「そんなのいくらでも矯正できるよ。根っこの部分に問題があるって言ってるんだよ」
ダリルに呆れたように言われても、エメは納得出来ない。
「大体、なんでクラークさんの元婚約者と友達になってんのさ。どう考えても頭イってるとしか思えないね」
「いやー、こないだ初めて俺の女友達のジニーとターニャに合わせたら面白かったぞ?」
「……凄すぎません? カタリナさんが良い女性で本当に良かったですね」
先日、4人の都合が合わさってようやく初対面をした。
実はカタリナは、あんまり友達が居なかったらしく、めちゃくちゃ緊張していてカチコチに固まっていた。
そんな姿を見たジニーは「こんな緊張してる子がエメにメンチ切ったなんて信じられなぁい!」とケラケラ笑いだし、「ふふ、やっぱりエメの圧勝だったのね。この子、怖いくらい健気でしょ? その人の為になるなら敵ですら味方に引き込むのよ?」ターニャはにっこりとカタリナへ妖艶な笑顔を向けていた。
カタリナは最初涙目になるくらい緊張していたが、ジニーとターニャのダメ男の捕まえっぷりを聞いてるうちにドン引きし始めた。
けれど最後には「私も皆さんを見習って、諦めず、もう一度新しい恋をしようと思います」と微笑んでいた。
「……カタリナさんも、ダメ男を捕まえないことを祈るしかないね」
「ディランさんに紹介を頼んだ方が良いのでは……?」
「あーダメダメ。自分で探すって言ってたからな。まぁ変なやつ捕まえてるようだったらディランに連絡するよ」
ダリルは「……近いうちに連絡がありそうだな」と呟く。
「ま、とにかく結婚おめでとう。また式を上げる時は教えてね」
「おう! その前にセリーヌさんから『お勉強をしましょう』って言われてるからいつなのかまだ決まってないんだよ」
クラークの母、セリーヌに『エメさんが恥ずかしくないように徹底的にやりましょうね?』と微笑まれた。
ちょっとだけ怖かったのは内緒だ。
「……頑張って。 愚痴くらいは聞いてあげるよ」
「頑張ってくださいね、エメさん。挫けそうになったらまた集まりましょう」
「ええー? 俺、根性だけはあると思うんだけどな?」
2人は同じタイミングで溜息をついてエメを呆れたように見てくる。
その意味が分かるのは、僅か一週間後のことで、「エメさん? 歩き方はどうだったかしら? おかしいわ。教えたはずなのに。エメさんはいつから鶏になったのかしら?」と黒いオーラを纏ったセリーヌに教育され、健気なエメですら早くも挫けそうになってダリルとイヴに泣きながら助けを求めることになるのだった。
ダリルと久しぶりに落ち合って、カフェで話していた。
事の顛末を話している最中、ダリルは『信じられない』だの『馬鹿と天才は紙一重ってエメのためにある言葉だと思う』だの『そういう所がエメのダメな所だよ』だの散々な言われようだった。
ちなみにカタリナへのクラークの優しさが消えたことに関しては『氷の貴公子ってディランがいつも言ってるでしょ。本当に優しいのは恋人の前だけだからね?』と言っていた。まだ信じられない。
「クラークがな。 『もう覚悟を決めました』だって言ったんだよ」
「ああ、『結婚したい?』の問いかけ? クラークさん参ってるじゃん。やっぱエメのダメ男吸引器は健在だね」
「クラークはダメじゃないぞ!」
ダリルは大袈裟に溜息をついて、肩を竦める。
「いや、ダメでしょ。エメの健気さに今まで怖くて結婚を言い出せなかった訳だ。ダメ以外の何がある?」
「俺のせい?」
「八割くらいエメのせいだね。あとはクラークさんの臆病さ」
クラークにあの後、もう一度「俺と結婚したい?」と問うた。
するとクラークは海よりも深い溜息をついて「覚悟を決めました……」と言って、とりあえず書面上だけは婚姻関係を結ぶ運びになり、エメ=デュリュイはついにエメ=アクセルソンとなった。
クラークは、「僕、長生きするからね……」と俺の両肩を少し痛いくらいに掴んでまた溜息をつきながら言っていた。
嬉しい言葉なのに、全くもって嬉しくなさそうに言われたのは少し不満だ。
「なんだよなんだよ、ダリルもクラークも! 俺が悪いのか? なぁイヴ?」
「……そうですね、少しクラークさんが可哀想な気がしてきました……」
隣で大人しく聞いていたイヴ=グランティーノは苦笑する。
「でも、ま、よかったんじゃない?アクセルソン家に入ればクラークさんも安心でしょ」
「どういうことだ?」
「……クラークさんが例え死んでも保護されるからだよ。アクセルソン家は身内にとても優しいって話だしね」
「ああ……逆に言えば身内以外にはとても厳しいと伺ったことがあります」
エメは、イヴの言う厳しいの意味がよく分からなかった。
クラークの両親はいつだってとても優しいし、厳しいところなんて一度も見たことがない。
クラークだってこないだ初めて優しくないところを見たくらいだ。
「エメは誰にでも、特に女の子には優しくしちゃうからクラークさんは気が気じゃないだろうね。とても貴族社会で生きていけないだろうし」
「……なるほど。そういうのもあって、結婚に踏み切れなかったんですね」
「ええー? 俺の口調とか態度じゃねぇの?」
「そんなのいくらでも矯正できるよ。根っこの部分に問題があるって言ってるんだよ」
ダリルに呆れたように言われても、エメは納得出来ない。
「大体、なんでクラークさんの元婚約者と友達になってんのさ。どう考えても頭イってるとしか思えないね」
「いやー、こないだ初めて俺の女友達のジニーとターニャに合わせたら面白かったぞ?」
「……凄すぎません? カタリナさんが良い女性で本当に良かったですね」
先日、4人の都合が合わさってようやく初対面をした。
実はカタリナは、あんまり友達が居なかったらしく、めちゃくちゃ緊張していてカチコチに固まっていた。
そんな姿を見たジニーは「こんな緊張してる子がエメにメンチ切ったなんて信じられなぁい!」とケラケラ笑いだし、「ふふ、やっぱりエメの圧勝だったのね。この子、怖いくらい健気でしょ? その人の為になるなら敵ですら味方に引き込むのよ?」ターニャはにっこりとカタリナへ妖艶な笑顔を向けていた。
カタリナは最初涙目になるくらい緊張していたが、ジニーとターニャのダメ男の捕まえっぷりを聞いてるうちにドン引きし始めた。
けれど最後には「私も皆さんを見習って、諦めず、もう一度新しい恋をしようと思います」と微笑んでいた。
「……カタリナさんも、ダメ男を捕まえないことを祈るしかないね」
「ディランさんに紹介を頼んだ方が良いのでは……?」
「あーダメダメ。自分で探すって言ってたからな。まぁ変なやつ捕まえてるようだったらディランに連絡するよ」
ダリルは「……近いうちに連絡がありそうだな」と呟く。
「ま、とにかく結婚おめでとう。また式を上げる時は教えてね」
「おう! その前にセリーヌさんから『お勉強をしましょう』って言われてるからいつなのかまだ決まってないんだよ」
クラークの母、セリーヌに『エメさんが恥ずかしくないように徹底的にやりましょうね?』と微笑まれた。
ちょっとだけ怖かったのは内緒だ。
「……頑張って。 愚痴くらいは聞いてあげるよ」
「頑張ってくださいね、エメさん。挫けそうになったらまた集まりましょう」
「ええー? 俺、根性だけはあると思うんだけどな?」
2人は同じタイミングで溜息をついてエメを呆れたように見てくる。
その意味が分かるのは、僅か一週間後のことで、「エメさん? 歩き方はどうだったかしら? おかしいわ。教えたはずなのに。エメさんはいつから鶏になったのかしら?」と黒いオーラを纏ったセリーヌに教育され、健気なエメですら早くも挫けそうになってダリルとイヴに泣きながら助けを求めることになるのだった。
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