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存在する限り(3)
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静かに朝食に集中していたソルが、ここで私を援護してくれた。
「その点は大丈夫だろう。コイツは身持ちが固そうな女だ。両想いになった直後にそんな大それたことはできないさ」
ありがとうソル。でもね実は私、流されやすいタイプなんです。夕べもキースの体調が良ければどうなっていたか。
その私のモノローグと似たことを、魔王がオブラートに包まずに言い放った。
「それがだなソル、こやつは男女の睦み事に興味が有ると以前言っていた」
「おや、それは意外ですな」
「!」
「!」
「!」
うぎゃ──! ばーかーやーろーう、バラすなや!!
確かにそんな話をしたよ。アンダー・ドラゴン本拠地壊滅作戦から帰る馬車内だったっけ? アルクナイトとエリアスとキースが一緒だったような。
私はみんなが讃えるような清らかな聖女ではなく、男女交際にもえっちなことにも関心が有るって言った。言ったけどもさ、今それを暴露すんな。
男達の目の色が明らかに変わった。
「そっ、そうだった! ロックウィーナは好きな相手となら最終段階へ進むこと、やぶさかではないのだった!」
芝居がかった仕草でエリアスが苦悩を表現し、私は熱を持った顔を両手で隠した。絶対に赤くなっている。
「レンフォード!! ロックウィーナ、恥ずかしがらなくていいんだよ。俺だってえっちなコトよく考えちゃうからさ。好きな相手とそうなりたいと思うのは普通のことだよ?」
マキアがフォローしてくれたが更に恥ずかしくなった。私につられて鈴音もモジモジしている。彼女の前でこの話題はマズイって。
「もっと積極的に押してたら、俺ワンチャン有ったかな……?」
ルパートがブツブツ呟いていた。うん。あなたとのデートは本当に危なかったんだよ。内緒だけどね。
「何だロックウィーナ、興味が有るなら早く言えよ。俺が優しく教えてやるから」
「いいからおまえは一度沈め。馬鹿兄貴が」
ユーリとエンはテーブルの下で足技を応酬している。食堂がカオスとなりつつあるな。一般客が居ない時間帯で良かった。
はあ、と息を吐いたのはキースだった。
「キミ達さ、女のコによってたかってセクハラして楽しい? 知りたいことが有るなら僕に聞きなよ。僕だって当事者だよ?」
男達がハッと息を呑んだ。
私とキースのことなのに、彼らが私にばかり絡んでいた理由はズバリ、キースのことが怖いからだ。
キースの毒舌で攻撃されて心を抉られ、魅了されて痴態と性癖を晒す羽目になる。これによってマキアが隠れM属性だとバレた。
「質問は何? 無いなら締め切るけど」
ああ、馬車の時も勇者と魔王のえっちな暴走を、キースが怒って止めてくれたんだったよね。頼もしい。好き♡
しかし今回のエリアスは引き下がらなかった。
「で、ではキース殿に伺うが……」
敬語になっているが。
「貴公とロックウィーナの仲は進展したのだろうか?」
「そうだね。僕が不誠実な態度を取って開けてしまった距離を、幸いにも夕べ縮めることができたよ。寛大な彼女に感謝しきりだ」
そんな。キースは私を不幸にしてしまうと悩んでいただけなのに。彼はいつも自分を下げて私を上げてくれる。
「夜かよ……」
「どっちかの部屋で? ヤバくね?」
「ち、ちなみにどの辺りまで進展したのだろうか。レディの前なので具体的な表現は避けた方が良いが、登山に例えて何合目まで登ったとか」
「ハハ、まだ一合目だよ」
キースの答えに男性陣は救いの光を見たような面持ちとなったが、
「まだキスしかできていないからね」
すぐに奈落へ突き落された。これぞキースだ。
あの……ところで「朝チュン」は何合目に当たりますか?
「キスしたの!? 合意の上で!?」
裏返った声で確認してきたマキアへ、キースは爽やかに笑った。
「したよ。付き合っている男女だからね。自然な流れだった」
よっしゃあぁぁぁ!! キースも認めました、私達は付き合ってます! 私の独り相撲じゃなくて良かったぁ!
「だ、だがまだ一合目、登頂していないのなら俺達にだってチャンスは有る!!」
「無いよ」
エンの希望の糸を即座にキースが断ち切った。
「いやっ……、これからロックウィーナと親睦を深めていけばいつかは……」
「ならないね」
8歳下の相手にもキースは容赦なかった。ルパートが疑問を呈した。
「キースさんは一度ヘタレたのに完全復活してやがるな。何が有ったんだ?」
キースは私の目を見て微笑んだ。
「ロックウィーナが覚悟を見せたくれたから……。僕も幸せになる為にもう一度頑張ってみようって気になったんだ」
キース……。
「それに……ライバルのはずのお節介野郎に励まされたからね。これで立ち上がらなかったら男じゃないだろう?」
ライバルのお節介野郎?
誰のことだろうと考えるまでもなかった。アルクナイトが鼻息荒く得意げな顔でニヤついていた。ヤツだ。他のみんなも気づいた。
「おいアル……、おまえキース殿の背中を押したのか?」
「嘘でしょ魔王様、敵に塩を贈ったんですか?」
エリアスとマキアが怒気を纏ったが、当の魔王は涼しい顔で自画自賛していた。
「ふっ……白め、そうか、俺様の言葉に後押しされたのか。まぁそうだな、人生の大先輩である俺の言葉には厚みが有るものな」
エンが無表情でクナイを構えたが、流石にそれはマズイとルパートとユーリから羽交い絞めにされた。
アルクナイトはそんな彼らに指摘した。
「まったく呆れた馬鹿者どもだ。俺に怒りをぶつける前にロックウィーナを見てみろ。白が交際宣言したことであんなに嬉しそうにしている」
「あ…………」
「……チッ」
私ってば両の手を胸の前で拳にして、無意識の内に歓喜のポーズを作っていたんだね。
「その点は大丈夫だろう。コイツは身持ちが固そうな女だ。両想いになった直後にそんな大それたことはできないさ」
ありがとうソル。でもね実は私、流されやすいタイプなんです。夕べもキースの体調が良ければどうなっていたか。
その私のモノローグと似たことを、魔王がオブラートに包まずに言い放った。
「それがだなソル、こやつは男女の睦み事に興味が有ると以前言っていた」
「おや、それは意外ですな」
「!」
「!」
「!」
うぎゃ──! ばーかーやーろーう、バラすなや!!
確かにそんな話をしたよ。アンダー・ドラゴン本拠地壊滅作戦から帰る馬車内だったっけ? アルクナイトとエリアスとキースが一緒だったような。
私はみんなが讃えるような清らかな聖女ではなく、男女交際にもえっちなことにも関心が有るって言った。言ったけどもさ、今それを暴露すんな。
男達の目の色が明らかに変わった。
「そっ、そうだった! ロックウィーナは好きな相手となら最終段階へ進むこと、やぶさかではないのだった!」
芝居がかった仕草でエリアスが苦悩を表現し、私は熱を持った顔を両手で隠した。絶対に赤くなっている。
「レンフォード!! ロックウィーナ、恥ずかしがらなくていいんだよ。俺だってえっちなコトよく考えちゃうからさ。好きな相手とそうなりたいと思うのは普通のことだよ?」
マキアがフォローしてくれたが更に恥ずかしくなった。私につられて鈴音もモジモジしている。彼女の前でこの話題はマズイって。
「もっと積極的に押してたら、俺ワンチャン有ったかな……?」
ルパートがブツブツ呟いていた。うん。あなたとのデートは本当に危なかったんだよ。内緒だけどね。
「何だロックウィーナ、興味が有るなら早く言えよ。俺が優しく教えてやるから」
「いいからおまえは一度沈め。馬鹿兄貴が」
ユーリとエンはテーブルの下で足技を応酬している。食堂がカオスとなりつつあるな。一般客が居ない時間帯で良かった。
はあ、と息を吐いたのはキースだった。
「キミ達さ、女のコによってたかってセクハラして楽しい? 知りたいことが有るなら僕に聞きなよ。僕だって当事者だよ?」
男達がハッと息を呑んだ。
私とキースのことなのに、彼らが私にばかり絡んでいた理由はズバリ、キースのことが怖いからだ。
キースの毒舌で攻撃されて心を抉られ、魅了されて痴態と性癖を晒す羽目になる。これによってマキアが隠れM属性だとバレた。
「質問は何? 無いなら締め切るけど」
ああ、馬車の時も勇者と魔王のえっちな暴走を、キースが怒って止めてくれたんだったよね。頼もしい。好き♡
しかし今回のエリアスは引き下がらなかった。
「で、ではキース殿に伺うが……」
敬語になっているが。
「貴公とロックウィーナの仲は進展したのだろうか?」
「そうだね。僕が不誠実な態度を取って開けてしまった距離を、幸いにも夕べ縮めることができたよ。寛大な彼女に感謝しきりだ」
そんな。キースは私を不幸にしてしまうと悩んでいただけなのに。彼はいつも自分を下げて私を上げてくれる。
「夜かよ……」
「どっちかの部屋で? ヤバくね?」
「ち、ちなみにどの辺りまで進展したのだろうか。レディの前なので具体的な表現は避けた方が良いが、登山に例えて何合目まで登ったとか」
「ハハ、まだ一合目だよ」
キースの答えに男性陣は救いの光を見たような面持ちとなったが、
「まだキスしかできていないからね」
すぐに奈落へ突き落された。これぞキースだ。
あの……ところで「朝チュン」は何合目に当たりますか?
「キスしたの!? 合意の上で!?」
裏返った声で確認してきたマキアへ、キースは爽やかに笑った。
「したよ。付き合っている男女だからね。自然な流れだった」
よっしゃあぁぁぁ!! キースも認めました、私達は付き合ってます! 私の独り相撲じゃなくて良かったぁ!
「だ、だがまだ一合目、登頂していないのなら俺達にだってチャンスは有る!!」
「無いよ」
エンの希望の糸を即座にキースが断ち切った。
「いやっ……、これからロックウィーナと親睦を深めていけばいつかは……」
「ならないね」
8歳下の相手にもキースは容赦なかった。ルパートが疑問を呈した。
「キースさんは一度ヘタレたのに完全復活してやがるな。何が有ったんだ?」
キースは私の目を見て微笑んだ。
「ロックウィーナが覚悟を見せたくれたから……。僕も幸せになる為にもう一度頑張ってみようって気になったんだ」
キース……。
「それに……ライバルのはずのお節介野郎に励まされたからね。これで立ち上がらなかったら男じゃないだろう?」
ライバルのお節介野郎?
誰のことだろうと考えるまでもなかった。アルクナイトが鼻息荒く得意げな顔でニヤついていた。ヤツだ。他のみんなも気づいた。
「おいアル……、おまえキース殿の背中を押したのか?」
「嘘でしょ魔王様、敵に塩を贈ったんですか?」
エリアスとマキアが怒気を纏ったが、当の魔王は涼しい顔で自画自賛していた。
「ふっ……白め、そうか、俺様の言葉に後押しされたのか。まぁそうだな、人生の大先輩である俺の言葉には厚みが有るものな」
エンが無表情でクナイを構えたが、流石にそれはマズイとルパートとユーリから羽交い絞めにされた。
アルクナイトはそんな彼らに指摘した。
「まったく呆れた馬鹿者どもだ。俺に怒りをぶつける前にロックウィーナを見てみろ。白が交際宣言したことであんなに嬉しそうにしている」
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私ってば両の手を胸の前で拳にして、無意識の内に歓喜のポーズを作っていたんだね。
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