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キースに触れた夜(3)
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「ロックウィーナ、立つんだ」
催促されちゃった。頑固さんめ。
私はイスから立ち上がり歩いた。扉ではなくキースが居るベッドの方へ。
「おい……?」
そしてキースの隣にちょこんと可愛らしく(当社比)座ったのであった。
「ロックウィーナ、それはマズイ」
「夕べだって一緒にベッドの上に乗りました」
「夕べとは訳が違う」
「どう違うのですか?」
リリアナを真似して口を尖らせて拗ねてみた。男の仕草を参考にしている時点で終わっている気がしないでもないけど、いいんです、どうかキースの目に可愛く映りますように。
キースは更に赤くなった。よっしゃあ。
「あのさ」
キースの声が震えているような。
「……夕べは僕、体力がゼロだったから」
私から顔を背けて彼は告白した。
「どういう展開になっても、最後まではできないだろうと思っていたからキミの元へ行けたんだ」
「え」
「でも……今日の僕は元気だから……」
「………………」
「好きなコを前にして、長時間理性を保てる自信が無い……」
「!!!」
わあぁ、私の顔も熱くなった。顔だけじゃなく身体も熱を持った。さっきまで涼しい夜だったのに。
「だから頼む……。僕から離れてくれ」
苦しそうに俯くキース。彼にもえっちな気持ちが芽生えていたのだ。ご馳走を前におあずけを食らっている犬は私だと思っていた。キースもだったのか。
行け行け私。二人とも同じ気持ちなんだ。恥ずかしいのも一緒。
すうっと息を吸い、吐き出す際に言葉にした。
「私達は……恋人同士です」
緊張して声が裏返りそうになった。
「だから、先輩が我慢する必要は無いと思います……」
キメたかったのに語尾が掠れたよー。そんな私の動揺をキースはまたもや見抜いた。
「…………無理してるだろ」
「いえ、ゼンゼン?」
「だってキミは、ルパートに熱烈な求愛を受けた時に怖がっていたじゃないか。健全なデートから始めたいって」
あ。
「先輩……覚えていてくれたんですか?」
「………………」
確かに私はルパートに限らず、急に向けられた男性からの好意に怯えていた。成人した男女の付き合いを彼らが望んでいると察したからだ。
それは今だって怖いよ。未経験なんだから当たり前だ。でも……。
「ありがとうごございます。お気遣い、凄く嬉しいです」
キース、私がかつて希望した通りに段階を踏もうとしてくれたんだね。お喋りしたり、手を繋いだり、昼間に街でデートしたり。
まるで十代の健全な交際。29歳のキースにとっては物足りないだろうに、恋人が居なかった私に合わせようと彼はしているんだ。ゆっくり行こうって。だから今も我慢している。
本当に本当に優しい人。
「先輩、以前の私はまだ特定の誰かを好きになれず、恋に恋をしている状態だったんです」
キースの誤解を解かなくちゃ。
「それでルパート先輩に健全なデートをお願いしました。まだ好きという感情が育っていないのに、その……男女の仲となることには抵抗が有りました」
「うん……。女性は慎重にならなきゃ駄目だ。身体が傷付くのは女性の方なんだから」
無理矢理されることへの恐怖と嫌悪感を知っているキース。だからこそ私をこんなにも大切にしてくれる。壊れ物を扱うように。
だけど……もうつらいでしょう?
キースは腕でさりげなく隠そうとしているが、実は少し前から私は気づいていた。
彼のズボンには膨らみができていた。
きっとキースは欲望を滾らせたと自分を責めている。でもね、私は嬉しいんだよ。お兄ちゃんではなく、あなたの肉体が男として私を求めていることが。
とても。
「今ですね、私、ルパート先輩の気持ちが痛いほどよく解るんですよ」
私はキースへ微笑んだ。もうリリアナを真似たぶりっ子ではなく、自然に。
「本気で好きになったら相手に触れたくて、触れてもらいたくて、空き時間にはそんなことばっかり考えるようになっちゃうんですね」
「………………」
「さっきもそうです。夕食の後ずっと、部屋でキース先輩を待ってました。堪え切れなくて先輩の部屋へ押しかけちゃいましたけど」
キースは私へ手を伸ばしかけて…………引っ込めた。
私はシーツの上に置かれた彼の手に自分の手を重ねた。彼はビクッと震えた。
「私に触れて下さい」
キースは私の顔を漸く正面から見た。だがすぐにまた横を向いてしまった。
「昨日の今日でそんなことをする訳には……!」
あ、キースも同じこと考えてた(笑)。
「大丈夫、デートやプレゼント交換は後でだってできます。それはそれで別の日の楽しみにしたらいいんですよ」
「駄目だ、急いでキミを傷付けたくない。もっと時間をかけてあげたい」
「私は絶対に傷付きません」
彼の指に自分の指を絡め、キュッと握った。
「だって……相手が大好きなキース先輩なんですから」
「!………………」
キースは私へ向き直った。
絡めた私の指が解かれたが、自由となった手を彼は私の頬へ伸ばした。慈しむように撫でられる。
あはは、キースだけじゃなくて私も震えてるよ。口では大胆なことを言っておいて情けないったら。
そんな私へ彼はフッと笑ってから、顔を近付けて夕べのようにそっと口づけをした。
(先輩…………!)
彼の長い前髪がくすぐったい。でもサラサラ。いい匂い。
キスをしながら彼の指に腰の線をなぞられた。
怖いし恥ずかしい。でもいいんだ、キースだから。
催促されちゃった。頑固さんめ。
私はイスから立ち上がり歩いた。扉ではなくキースが居るベッドの方へ。
「おい……?」
そしてキースの隣にちょこんと可愛らしく(当社比)座ったのであった。
「ロックウィーナ、それはマズイ」
「夕べだって一緒にベッドの上に乗りました」
「夕べとは訳が違う」
「どう違うのですか?」
リリアナを真似して口を尖らせて拗ねてみた。男の仕草を参考にしている時点で終わっている気がしないでもないけど、いいんです、どうかキースの目に可愛く映りますように。
キースは更に赤くなった。よっしゃあ。
「あのさ」
キースの声が震えているような。
「……夕べは僕、体力がゼロだったから」
私から顔を背けて彼は告白した。
「どういう展開になっても、最後まではできないだろうと思っていたからキミの元へ行けたんだ」
「え」
「でも……今日の僕は元気だから……」
「………………」
「好きなコを前にして、長時間理性を保てる自信が無い……」
「!!!」
わあぁ、私の顔も熱くなった。顔だけじゃなく身体も熱を持った。さっきまで涼しい夜だったのに。
「だから頼む……。僕から離れてくれ」
苦しそうに俯くキース。彼にもえっちな気持ちが芽生えていたのだ。ご馳走を前におあずけを食らっている犬は私だと思っていた。キースもだったのか。
行け行け私。二人とも同じ気持ちなんだ。恥ずかしいのも一緒。
すうっと息を吸い、吐き出す際に言葉にした。
「私達は……恋人同士です」
緊張して声が裏返りそうになった。
「だから、先輩が我慢する必要は無いと思います……」
キメたかったのに語尾が掠れたよー。そんな私の動揺をキースはまたもや見抜いた。
「…………無理してるだろ」
「いえ、ゼンゼン?」
「だってキミは、ルパートに熱烈な求愛を受けた時に怖がっていたじゃないか。健全なデートから始めたいって」
あ。
「先輩……覚えていてくれたんですか?」
「………………」
確かに私はルパートに限らず、急に向けられた男性からの好意に怯えていた。成人した男女の付き合いを彼らが望んでいると察したからだ。
それは今だって怖いよ。未経験なんだから当たり前だ。でも……。
「ありがとうごございます。お気遣い、凄く嬉しいです」
キース、私がかつて希望した通りに段階を踏もうとしてくれたんだね。お喋りしたり、手を繋いだり、昼間に街でデートしたり。
まるで十代の健全な交際。29歳のキースにとっては物足りないだろうに、恋人が居なかった私に合わせようと彼はしているんだ。ゆっくり行こうって。だから今も我慢している。
本当に本当に優しい人。
「先輩、以前の私はまだ特定の誰かを好きになれず、恋に恋をしている状態だったんです」
キースの誤解を解かなくちゃ。
「それでルパート先輩に健全なデートをお願いしました。まだ好きという感情が育っていないのに、その……男女の仲となることには抵抗が有りました」
「うん……。女性は慎重にならなきゃ駄目だ。身体が傷付くのは女性の方なんだから」
無理矢理されることへの恐怖と嫌悪感を知っているキース。だからこそ私をこんなにも大切にしてくれる。壊れ物を扱うように。
だけど……もうつらいでしょう?
キースは腕でさりげなく隠そうとしているが、実は少し前から私は気づいていた。
彼のズボンには膨らみができていた。
きっとキースは欲望を滾らせたと自分を責めている。でもね、私は嬉しいんだよ。お兄ちゃんではなく、あなたの肉体が男として私を求めていることが。
とても。
「今ですね、私、ルパート先輩の気持ちが痛いほどよく解るんですよ」
私はキースへ微笑んだ。もうリリアナを真似たぶりっ子ではなく、自然に。
「本気で好きになったら相手に触れたくて、触れてもらいたくて、空き時間にはそんなことばっかり考えるようになっちゃうんですね」
「………………」
「さっきもそうです。夕食の後ずっと、部屋でキース先輩を待ってました。堪え切れなくて先輩の部屋へ押しかけちゃいましたけど」
キースは私へ手を伸ばしかけて…………引っ込めた。
私はシーツの上に置かれた彼の手に自分の手を重ねた。彼はビクッと震えた。
「私に触れて下さい」
キースは私の顔を漸く正面から見た。だがすぐにまた横を向いてしまった。
「昨日の今日でそんなことをする訳には……!」
あ、キースも同じこと考えてた(笑)。
「大丈夫、デートやプレゼント交換は後でだってできます。それはそれで別の日の楽しみにしたらいいんですよ」
「駄目だ、急いでキミを傷付けたくない。もっと時間をかけてあげたい」
「私は絶対に傷付きません」
彼の指に自分の指を絡め、キュッと握った。
「だって……相手が大好きなキース先輩なんですから」
「!………………」
キースは私へ向き直った。
絡めた私の指が解かれたが、自由となった手を彼は私の頬へ伸ばした。慈しむように撫でられる。
あはは、キースだけじゃなくて私も震えてるよ。口では大胆なことを言っておいて情けないったら。
そんな私へ彼はフッと笑ってから、顔を近付けて夕べのようにそっと口づけをした。
(先輩…………!)
彼の長い前髪がくすぐったい。でもサラサラ。いい匂い。
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