ギルド回収人は勇者をも背負う ~ボロ雑巾のようになった冒険者をおんぶしたら惚れられた~

水無月礼人

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キースに触れた夜(4)

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 好きな人と一つになれるんだ。こんなに幸せなことはない。

 キースが私のワンピースの裾に手をかけた。私はベッドから少しお尻を浮かせて、彼が脱がせやすいようにした。
 これで私は下着だけだ。見せることを想定して勝負下着にしたけれど、やっぱり照れ臭くてモジモジしてしまう。

「ロックウィーナ」
「はい……?」
「この邪魔な前髪を上げたいから、ずっと目を閉じていてもらえるかい?」
「は、はひっ!」

 私は即座に両目をつむった。キスだけでもテンションメーターがMAX近いのに、魅了までされたらえらい事態となる。キースに馬乗りになって襲っちゃいそうだ。
 あれ、でもずっと……って。

「行為の間中ずっと目を閉じるんですか? そうしたら私、先輩の裸が見えません」

 ポロッと本音が出てしまった。だって服越しでもキースの肉体美が凄いんだもん。脱いだら確実に芸術の域だ。見たいです。心のアルバムに記録したいです。

「ぷっ……ハハッ、アハハ!」

 目を閉じた暗闇の中でキースが噴き出した。
 うーん。私はどうも色っぽく振る舞えないなぁ……。今後の課題だ。
 それはそうとして、キースの裸は隙を突いて絶対に見るんだからね!



 靴を脱がされた後、座っていた私の身体が軽々と持ち上げられて、トスンとベッドの上に寝かされた。
 キースってばけっこうな力持ちさん。あの筋肉は伊達じゃないね。今は目をつむっていて見えないけど。

「……僕の裸、そんなに見たい?」

 ベッドのスプリングがきしんでキースが傍に来たことを告げた。

「見たいです」

 私は即答した。ぷふっとまた暗闇でキースが噴いた。

「先輩、部屋で二人きりの時なら見せてくれるって言いましたもん」
「ああ、あの時か。言ったね」

 Bチームのみんなで訓練をした時のことだ。

「そうだな、前髪を戻した後ならたっぷり見せてあげる」

 終わるとは、これからする行為が終わった時のことを指していますね。専門家は事後と言うそうですが。
 自分が望んだこととはいえ、本当に彼とするんだと思ったら心臓が高速で鳴り始めた。

「今はごめんね……触るだけで我慢して?」
「え」

 私の右手が取られて、彼の腹部(?)に当てられた。

「解る? ここが腹筋」
「は、はい……」

 ふぉおお、私キースのお腹を触っちゃってる! 先輩後輩のスキンシップじゃそんなトコ触らない。
 遠慮しつつも指を動かす。綺麗に割れた腹筋。シックスパック万歳。

「ハハッ、くすぐったいよ」

 キースが身をよじった。逃がしません。お触り魔と化した私は腕を伸ばしてキースの腰を抱き留めた。
 もっと思い切りさわさわしたいけど服が邪魔だな。そんな風に考えた私に恵みの声が届いた。

「シャツを脱がしてごらん。触りやすくなるよ」
「!」

 うっはぅ。超慎重派だったキース様が積極的になっていらっしゃる!! これは「えちえちモード」が発動した!?
 非常に驚いたものの、いいと言われたので遠慮なく私は脱がしにかかった。チャンスは最大限にかすのが信条です。
 熱い彼の素肌。指を這わせながらシャツをたくし上げた。

(あ、ここキースの胸……?)

 見えない中での手探りが興奮する。ヤバイ、新たな性癖が開発されそうだ。
 シャツを顔付近まで上げた所で、キースが腕を動かして自ら脱いだ。

「よくできました」

 褒められちゃった。
 遮る物が無くなったキースの上半身。私は筋肉や血管の隆起を確かめるように手の平で撫ぜた。
 純粋に綺麗だと思った。筋肉は固いだけではなく弾力を持ち、しなやかな鎧としてキースの体幹を支えていた。

「……っ」

 所々キースにとって敏感な部分が有るようで、指が当たると切ない吐息が漏れた。感じてる……んだよね? 
 興奮し過ぎて思考が上手く働かない。でも指は彼を求めて止まらない。

「……そこまで」

 しかし私の両手はキースに掴まれてしまったのだった。もっと触りたかったのにぃ。
 彼は手の甲に軽くキスをしてくれた後、私の手をシーツの上に置いた。

「今度は僕の番だよ」

 そう耳元で囁かれてゾクッとした直後、私は首筋を強く吸われた。
 あ、そこは……。魔王がキスマークを付けた場所だった。キースさんたら根に持っていた模様だ。

「……くだらない感情だね」

 唇を離したキースが自嘲した。

「付き合う前のことを嫉妬しても、しょうがないのにね」

 そう言っているのに悔しそうだ。彼は私に対して強い独占欲を抱いている。
 キースの指先が私の首筋をなぞり、鎖骨、そして胸まで到達した。
 心臓の有る左胸へ指を沈めて彼は問うた。

「でもこれからは、キミに男として触れるのは僕だけだ。いいね?」

 私は迷うことなく頷いた。目指せキースのお嫁さんとなった今、他の男性に身体を許す訳がない。

「もし私が裏切ったら、あなたの禁呪でこの心臓を止めて下さい」
「…………!」

 キースと歩む覚悟はもうできている。だから大丈夫だよ、弱い部分を見せてもいいんだよ。

「……ありがとう。僕もキミ以外の女性を抱くことは無いと誓うよ」

 抱く。短いながらも何て威力を持ったワードなんだろう。それだけでゴブリン三体くらい倒せそうな。
 抱かれるんだ。ついに私はキースに。
 その前に、ループ時のエンディングを知らないキースに伝えておきたいことが有った。

「先輩、創造の女神であるスズネはリアルな描写ができなくて、その……、男女の夜のお付き合いに関しては小説本編で書けず、エンディングで簡潔に触れるだけでした。結婚出産してめでたしめでたしって感じで」
「そっか。まだ精神的にも幼く見える彼女には、それがせいぜいだったんだろうね」
「だから……これから私達が過ごすこの時間は、誰の干渉も受けていない私達だけのものなんです!」
「!……」

 物語の筋ではなく、私達は自分が選んだから今こうして一緒に居る。
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