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女神の宮殿(2)
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「全部で十二体。一ダース分か」
人形達は愛玩用とは程遠い骨格が剝き出しの造りで、双眼鏡をはめ込んだような瞳が印象的だった。鈴音の世界に存在するロボットを元にデザインされたのだろうか。
背丈は二メートル前後。人間とさほど変わらない体格だ。サンダードラゴンに対峙した時のような威圧感は抱かなかった。これなら私でも戦えるか……?
『警告、警告。タダチニコノ城カラ退去シテ下サイ』
抑揚の無い声で魔法人形の一体が喋った。
「うおっ、話せるのか!?」
大げさに驚いたマキアへ鈴音が説明する。
「一方的に警告してくるだけ。さっきも言ったけど彼らには心が無い。話が通じる相手じゃないよ」
『一分以内ニ退去シナイ場合ハ攻撃シマス。60、59、58……』
「ホントだ。問答無用でカウントダウンを始めたよ……」
「あちらが十二体でこちらは十三人。一人が一体を相手すればいいか。ロックウィーナはキースさんと一緒に行動しろ。余裕の有る者が無い者を援護するとして……」
エンが戦力の計算をした。
「ところで猫達はどんな攻撃ができるんだ?」
エンの質問は何気ないものだったが、黒猫三兄弟が一斉に顔を顰めた。
「? 何か悪いことを聞いたか?」
ソルがフォローした。
「猫達は攻撃手段を持たない」
「S級魔族だろう?」
「……抜群の知能の高さと、他者の能力を増幅する術を持っているからな。だが魔物間では物理的強さを持つ者が上位に立つ。猫達はそれで苦労してきたのだ。我が王に保護されるまで」
「………………」
他者の能力を底上げする便利過ぎる能力を持つ猫達。それが仇となり他の魔物に長らく利用されてきたのだと、二人の会話を聞いて私は推測した。
彼らのこともアルクナイトが助けてくれたんだね。優秀でありながら、騎士団からいいように扱われたソルと猫達は似通っている。
『9、8、7……』
「カウントダウンが終わるぞ!」
「目からのビームに気をつけて!!」
鈴音が叫んだが、男達はキョトンとした。
「びいむ?」
『2、1。敵対意思有リト見ナシテ、攻撃モードニ移行シマス』
人形の凸凹した両眼の色が、青から赤へと変化した。そして次の瞬間────。
バシュッ。
赤い光線が人形達の目から放出された。
「チィ!」
「くっ」
アルクナイトとキースが障壁を展開して光線を遮断した。危なかった。
ビームを発射した人形達の目の色がまた青に戻った。
「次の照射まで二分! その間に攻撃して! 私は逃げるしかできなかったけどみんななら倒せる!!」
「おおよ!!」
「やってやる!」
鈴音の指示に勇ましく応えて、戦士達がそれぞれの武器を手に大ホールを駆けた。
真っ先にエリアスが人形達の元へ到達して、大剣で横一閃、三体の人形を薙ぎ払った。
ガシャンと音を立てて人形は倒れたものの、すぐに起き上がって腕を伸ばした。その腕先は鋭利なブレードとなっており、避けたエリアスの青いマントを切り裂いた。
「確かに頑丈だな!」
これまで魔物を一刀両断してきたエリアスの両手剣でも破壊できなかった。
鈴音が檄を飛ばす。
「諦めないで! ダメージを与え続けて人形の耐久力を上回れば勝てる!」
「おお!」
エリアス、ルパート、ソル、ユーリにエン、そして私。近接武器でブレードをかわしつつ人形へ攻撃を加えた。
硬いな。炎を付加された鞭が何度も当たっているのに人形の動きに変化無し。他の戦士達も苦戦していた。
「マキア、灼熱魔法を撃て! その後に私の氷魔法で急激に冷やす!!」
業を煮やしたソルが後方のマキアへ声を飛ばした。
「……そうか、了解です!」
ガラスや金属は急激な温度変化を与えると割れる場合が有る。ソルはそれを試そうとしているのだ。
「我が盟友、猛き炎よ。高温の弾となって彼の者達を撃て!!」
十二連ものファイヤーボールが魔法人形達に降り注いだ。四体が遠く逃れたが八体に見事命中。
元々マキアの潜在能力は高かったそうだが、ルパートに師事することによって短期間で優れた魔術師に成長した。
「凍てつくベールよ、我らが敵を包み込め!!」
すかさずソルが追撃した。マキアが逃した四体も含め、十二体全ての魔法人形達が白く凍結した。
凍ったのは一瞬。しかしマキアの熱とソルの冷気を続けて受けた八体の動きが明らかに遅くなった。
「今だ!」
エリアスがジャンプし、幅広の刃が人形の上から振り下ろされた。
バギャッ!!!!
肩口から入った刃が人形の下半身まで届いた。電気系統がショートしたようにバチバチッと火花が上がった。やっぱりコイツらロボットだ。
エリアスほどの破壊力を持たないルパートや忍者達は、首や腕の付け根部分を狙って少しずつ人形の身体を削《けず》っている。感電しないようにね。
私も炎付加の鞭を振り回して、魔法人形達へ更なる熱を加えた。
「ロックウィーナ、退がれ!!」
後方からキースが怒鳴った。……あ! 私ってば調子に乗って前へ行き過ぎたんだ。キースの防御障壁の範囲からだいぶ出てしまっている。
戻らなきゃ、そう思ったタイミングで相手をしていた人形が蒸気を出してガタガタ揺れ出した。
(げ、まさか爆発する!?)
身を翻した私であったが、人形から閃光が走り────
ドゴアァァァァァ!!!!
炎と爆風が発生した。近くに居たエンが私を抱きかかえて横っ飛びした。
「ロックウィーナ!! エン!!」
マキアとキースが私達の元へ駆けてきた。
「エン! エン!」
防護障壁の外で盾となってくれたエン。彼の身を私は案じたのだが、幸いエンに怪我らしきものは見当たらなかった。
あれ? 私達を起点として床が円状に輝いている?
「ロックウィーナ、胸が光ってるぞ……?」
エンに言われて私は思い出した。防護ベストの胸ポケットに結界石を入れていたのだった。受付嬢リリアナから貰ったものだ。
(リーベルト……!)
結界石の効果は一度きり。発生した光が消えたが私は勇気を貰った。
リーベルト、ここに居ない彼が護ってくれた。マスターやセス達、兵士のみんなも戦ってくれている。私達を前進させる為に。遠く離れてしまったが私達の心は一つなんだ。
人形達は愛玩用とは程遠い骨格が剝き出しの造りで、双眼鏡をはめ込んだような瞳が印象的だった。鈴音の世界に存在するロボットを元にデザインされたのだろうか。
背丈は二メートル前後。人間とさほど変わらない体格だ。サンダードラゴンに対峙した時のような威圧感は抱かなかった。これなら私でも戦えるか……?
『警告、警告。タダチニコノ城カラ退去シテ下サイ』
抑揚の無い声で魔法人形の一体が喋った。
「うおっ、話せるのか!?」
大げさに驚いたマキアへ鈴音が説明する。
「一方的に警告してくるだけ。さっきも言ったけど彼らには心が無い。話が通じる相手じゃないよ」
『一分以内ニ退去シナイ場合ハ攻撃シマス。60、59、58……』
「ホントだ。問答無用でカウントダウンを始めたよ……」
「あちらが十二体でこちらは十三人。一人が一体を相手すればいいか。ロックウィーナはキースさんと一緒に行動しろ。余裕の有る者が無い者を援護するとして……」
エンが戦力の計算をした。
「ところで猫達はどんな攻撃ができるんだ?」
エンの質問は何気ないものだったが、黒猫三兄弟が一斉に顔を顰めた。
「? 何か悪いことを聞いたか?」
ソルがフォローした。
「猫達は攻撃手段を持たない」
「S級魔族だろう?」
「……抜群の知能の高さと、他者の能力を増幅する術を持っているからな。だが魔物間では物理的強さを持つ者が上位に立つ。猫達はそれで苦労してきたのだ。我が王に保護されるまで」
「………………」
他者の能力を底上げする便利過ぎる能力を持つ猫達。それが仇となり他の魔物に長らく利用されてきたのだと、二人の会話を聞いて私は推測した。
彼らのこともアルクナイトが助けてくれたんだね。優秀でありながら、騎士団からいいように扱われたソルと猫達は似通っている。
『9、8、7……』
「カウントダウンが終わるぞ!」
「目からのビームに気をつけて!!」
鈴音が叫んだが、男達はキョトンとした。
「びいむ?」
『2、1。敵対意思有リト見ナシテ、攻撃モードニ移行シマス』
人形の凸凹した両眼の色が、青から赤へと変化した。そして次の瞬間────。
バシュッ。
赤い光線が人形達の目から放出された。
「チィ!」
「くっ」
アルクナイトとキースが障壁を展開して光線を遮断した。危なかった。
ビームを発射した人形達の目の色がまた青に戻った。
「次の照射まで二分! その間に攻撃して! 私は逃げるしかできなかったけどみんななら倒せる!!」
「おおよ!!」
「やってやる!」
鈴音の指示に勇ましく応えて、戦士達がそれぞれの武器を手に大ホールを駆けた。
真っ先にエリアスが人形達の元へ到達して、大剣で横一閃、三体の人形を薙ぎ払った。
ガシャンと音を立てて人形は倒れたものの、すぐに起き上がって腕を伸ばした。その腕先は鋭利なブレードとなっており、避けたエリアスの青いマントを切り裂いた。
「確かに頑丈だな!」
これまで魔物を一刀両断してきたエリアスの両手剣でも破壊できなかった。
鈴音が檄を飛ばす。
「諦めないで! ダメージを与え続けて人形の耐久力を上回れば勝てる!」
「おお!」
エリアス、ルパート、ソル、ユーリにエン、そして私。近接武器でブレードをかわしつつ人形へ攻撃を加えた。
硬いな。炎を付加された鞭が何度も当たっているのに人形の動きに変化無し。他の戦士達も苦戦していた。
「マキア、灼熱魔法を撃て! その後に私の氷魔法で急激に冷やす!!」
業を煮やしたソルが後方のマキアへ声を飛ばした。
「……そうか、了解です!」
ガラスや金属は急激な温度変化を与えると割れる場合が有る。ソルはそれを試そうとしているのだ。
「我が盟友、猛き炎よ。高温の弾となって彼の者達を撃て!!」
十二連ものファイヤーボールが魔法人形達に降り注いだ。四体が遠く逃れたが八体に見事命中。
元々マキアの潜在能力は高かったそうだが、ルパートに師事することによって短期間で優れた魔術師に成長した。
「凍てつくベールよ、我らが敵を包み込め!!」
すかさずソルが追撃した。マキアが逃した四体も含め、十二体全ての魔法人形達が白く凍結した。
凍ったのは一瞬。しかしマキアの熱とソルの冷気を続けて受けた八体の動きが明らかに遅くなった。
「今だ!」
エリアスがジャンプし、幅広の刃が人形の上から振り下ろされた。
バギャッ!!!!
肩口から入った刃が人形の下半身まで届いた。電気系統がショートしたようにバチバチッと火花が上がった。やっぱりコイツらロボットだ。
エリアスほどの破壊力を持たないルパートや忍者達は、首や腕の付け根部分を狙って少しずつ人形の身体を削《けず》っている。感電しないようにね。
私も炎付加の鞭を振り回して、魔法人形達へ更なる熱を加えた。
「ロックウィーナ、退がれ!!」
後方からキースが怒鳴った。……あ! 私ってば調子に乗って前へ行き過ぎたんだ。キースの防御障壁の範囲からだいぶ出てしまっている。
戻らなきゃ、そう思ったタイミングで相手をしていた人形が蒸気を出してガタガタ揺れ出した。
(げ、まさか爆発する!?)
身を翻した私であったが、人形から閃光が走り────
ドゴアァァァァァ!!!!
炎と爆風が発生した。近くに居たエンが私を抱きかかえて横っ飛びした。
「ロックウィーナ!! エン!!」
マキアとキースが私達の元へ駆けてきた。
「エン! エン!」
防護障壁の外で盾となってくれたエン。彼の身を私は案じたのだが、幸いエンに怪我らしきものは見当たらなかった。
あれ? 私達を起点として床が円状に輝いている?
「ロックウィーナ、胸が光ってるぞ……?」
エンに言われて私は思い出した。防護ベストの胸ポケットに結界石を入れていたのだった。受付嬢リリアナから貰ったものだ。
(リーベルト……!)
結界石の効果は一度きり。発生した光が消えたが私は勇気を貰った。
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