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新一幕 勇者と聖騎士と魔王(7)
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勇者と元聖騎士が私を挟んで怒鳴り合った。うるさいな。我関せずのアルクナイトは話を続けた。
「何もしなければ小娘、おまえはエリーと毎回結ばれる。だから俺は世界の秩序を乱すことにしたんだ。流れを変えれば未来も変わり、ループの輪も壊れるんじゃないかと考えた」
「ああ、だから結婚相手を代えたのね」
合点がいった。
「そうだ。二人を出会わせないようにしたかったが、それはできなかった。新しい世界が開始した直後に、森で倒れているエリーを小娘が発見する。俺のスタート地点は別の場所だからな、文字通り森へ飛んで駆け付けても、既に瀕死のエリーは小娘に背負われている状態だった」
「ロックウィーナとの運命的な出会い、あれがスタートイベントだったのか……」
それは作られた運命だった。神によって用意されたシナリオ。彼女は私とエリアスを出会わせる為に、あの森に私達を配置したのだ。
どうしてそうまでして私達をくっ付けようとするんだろう?
「だから俺はその後で邪魔をすることにした。治療院に運び込まれたエリーを拉致して、近場の宿屋に監禁した」
「何だと!?」
「普段は馬鹿力のおまえだが、治療途中だったので簡単にベッドに縛り付けられた。これでエリーは小娘に会いに行けなくなった」
「アル、貴様……!」
「エリアスさん堪えて下さい。アルクナイト、会えないなら二人の仲が進展することは無いよね。結婚することも。エンディングは変わったのね?」
「ああ。エリーの代わりに小娘、おまえはあのキースとかいう白魔術師と結婚した」
「……はいっ?」
「はあぁぁぁ!?」
激昂したのはルパートだった。
「何だそりゃ!! ウィー、こら! おまえはエリアスさんが駄目ならキースさんって、簡単に相手を乗り換えられる尻軽ビッチちゃんなのか!?」
「言いがかりはよして下さい! そもそもその時間軸ではエリアスさんと親しくなってないんだから、乗り換えたってのは当てはまらないでしょう!?」
それにしても私がキースと? 素敵な人だと思うけれど、私にとってはルパート以上にお兄ちゃん的存在だよ? どうやって恋愛感情が芽生えちゃったの!?
「エンディングは変わったが、キースと結ばれても結婚式終了後に過去に戻されるのは同じだった。だから次はエリーと一緒にキースも監禁した」
連続誘拐事件発生。アンダー・ドラゴン並みの犯罪者がここに居ますよ。
「キース先輩とも結婚できなくなったとなると……、私は生涯独身でエンディング?」
「いや。そこのチャラ男と結婚した」
そこのチャラ男? 対象者は一人だけだ。
「でえぇぇぇぇ!!!! 噓でしょう!?」
私はルパートの顔を見て絶叫した。無い、それは無い! 親密度ゼロだよ? ここからどうやって結婚に持っていくの!?
ルパートも茫然としていた。
「俺が……男としてコイツと一緒になるの……?」
「何だルパート、ロックウィーナとの結婚が不服だとでも言うのか?」
「いや、そうじゃなくてさ……」
私は自分が解らなくなった。めぼしい相手が居ないからといって、よりによってルパートと。結婚さえできれば誰でもいいの? ルパートの言う通り尻軽ビッチちゃんなの?
「どうして私は何が何でも結婚しようとするんだろう? そりゃ結婚に夢を持ってはいるけどさ」
「あの創造主を名乗るガキのせいだろう。アイツは女の最大の幸せは、結婚だと思い込んでいるのかもしれない」
「でも私……、エリアスさん以外とは恋愛系のやり取りをしてないよ? ルパート先輩ともキース先輩とも。十日間で恋に発展するとは思えないんだけど」
アルクナイトの表情が陰った。
「……レクセン支部から来た若造二人の存在が、おまえの未来に影響を与えている」
マキアとエン?
「あの二人の死を嘆くおまえを、一番身近に居た男が慰める。そして数年をかけて距離を縮めて結婚する。ここはナレーション部分だがな。毎回この流れだ」
「待って、それって……」
私の声が震えた。
「何度も繰り返される十日間……。マキアとエンは毎回……その度に死んでしまうってこと?」
発言を聞いたエリアスとルパートが息を呑んだ。
神が描いたシナリオだとしたら残酷な設定だ。マキアとエンの死は、私が伴侶を選ぶ為の踏み台にされている。
彼らの肉体にもたらされる苦痛と恐怖。世界がループする限り終わりが来ないのだ。
エリアスが力強い声で言った。
「二人が助かればいいんじゃないか!? そうすればロックウィーナは落ち込まず、誰かに慰められることもない。結婚式エンドを回避できて、十日間の先へ進めるかもしれない!」
光明が見えた気がした。私の第一の目標、マキアとエンを救出すれば世界のループも阻止できるかもしれないんだ。それって一挙両得じゃない!?
「世界の時間が正常に戻った後で、私とロックウィーナはゆっくり愛を育めばいい」
「どさくさに紛れて自分を売り込むなよ。だが二人を助けるのは賛成だ。魔王様、あなたの力を持ってすれば容易いことではないですか?」
ルパートの問いかけに魔王は伏し目となった。
「できない。俺は21日の午後、若造二人が死ぬ現場に向かえないんだ」
「え? どうして?」
「俺がどう動こうと、何処に居ようと、世界の最終日にかつての配下だった者に足止めされてしまう」
私達はどういうことかとアルクナイトの話に集中した。
「律儀な俺は三百年間、人間と交わした休戦協定を守っている。しかしそれを快く思っていない血の気の多い魔族も多いんだ」
「そいつらがおまえに反旗を翻すのか?」
「そういうことだ。奴らとの戦いで俺には他のことをする余力が無い」
21日の午後とは、私がアルクナイトに首を絞められた後だ。私達が徒歩でアジトに着いて襲撃の準備をしている頃、アルクナイトも別の場所で部下との戦いを開始していたのか。
それじゃあ彼の力は借りられないな。下を向きそうになったが、
「大丈夫だ。だったら私達が二人を救えばいいんだ」
「そうだな。未来を知っているおまえが居るんだ。協力者の俺達も。前と同じ結果にはさせないさ」
左右からエリアスとルパートに励まされた。
そうだ、私は独りじゃない。
時間逆行を認識する仲間ができた。それだけでも大きな一歩前進だ!
「何もしなければ小娘、おまえはエリーと毎回結ばれる。だから俺は世界の秩序を乱すことにしたんだ。流れを変えれば未来も変わり、ループの輪も壊れるんじゃないかと考えた」
「ああ、だから結婚相手を代えたのね」
合点がいった。
「そうだ。二人を出会わせないようにしたかったが、それはできなかった。新しい世界が開始した直後に、森で倒れているエリーを小娘が発見する。俺のスタート地点は別の場所だからな、文字通り森へ飛んで駆け付けても、既に瀕死のエリーは小娘に背負われている状態だった」
「ロックウィーナとの運命的な出会い、あれがスタートイベントだったのか……」
それは作られた運命だった。神によって用意されたシナリオ。彼女は私とエリアスを出会わせる為に、あの森に私達を配置したのだ。
どうしてそうまでして私達をくっ付けようとするんだろう?
「だから俺はその後で邪魔をすることにした。治療院に運び込まれたエリーを拉致して、近場の宿屋に監禁した」
「何だと!?」
「普段は馬鹿力のおまえだが、治療途中だったので簡単にベッドに縛り付けられた。これでエリーは小娘に会いに行けなくなった」
「アル、貴様……!」
「エリアスさん堪えて下さい。アルクナイト、会えないなら二人の仲が進展することは無いよね。結婚することも。エンディングは変わったのね?」
「ああ。エリーの代わりに小娘、おまえはあのキースとかいう白魔術師と結婚した」
「……はいっ?」
「はあぁぁぁ!?」
激昂したのはルパートだった。
「何だそりゃ!! ウィー、こら! おまえはエリアスさんが駄目ならキースさんって、簡単に相手を乗り換えられる尻軽ビッチちゃんなのか!?」
「言いがかりはよして下さい! そもそもその時間軸ではエリアスさんと親しくなってないんだから、乗り換えたってのは当てはまらないでしょう!?」
それにしても私がキースと? 素敵な人だと思うけれど、私にとってはルパート以上にお兄ちゃん的存在だよ? どうやって恋愛感情が芽生えちゃったの!?
「エンディングは変わったが、キースと結ばれても結婚式終了後に過去に戻されるのは同じだった。だから次はエリーと一緒にキースも監禁した」
連続誘拐事件発生。アンダー・ドラゴン並みの犯罪者がここに居ますよ。
「キース先輩とも結婚できなくなったとなると……、私は生涯独身でエンディング?」
「いや。そこのチャラ男と結婚した」
そこのチャラ男? 対象者は一人だけだ。
「でえぇぇぇぇ!!!! 噓でしょう!?」
私はルパートの顔を見て絶叫した。無い、それは無い! 親密度ゼロだよ? ここからどうやって結婚に持っていくの!?
ルパートも茫然としていた。
「俺が……男としてコイツと一緒になるの……?」
「何だルパート、ロックウィーナとの結婚が不服だとでも言うのか?」
「いや、そうじゃなくてさ……」
私は自分が解らなくなった。めぼしい相手が居ないからといって、よりによってルパートと。結婚さえできれば誰でもいいの? ルパートの言う通り尻軽ビッチちゃんなの?
「どうして私は何が何でも結婚しようとするんだろう? そりゃ結婚に夢を持ってはいるけどさ」
「あの創造主を名乗るガキのせいだろう。アイツは女の最大の幸せは、結婚だと思い込んでいるのかもしれない」
「でも私……、エリアスさん以外とは恋愛系のやり取りをしてないよ? ルパート先輩ともキース先輩とも。十日間で恋に発展するとは思えないんだけど」
アルクナイトの表情が陰った。
「……レクセン支部から来た若造二人の存在が、おまえの未来に影響を与えている」
マキアとエン?
「あの二人の死を嘆くおまえを、一番身近に居た男が慰める。そして数年をかけて距離を縮めて結婚する。ここはナレーション部分だがな。毎回この流れだ」
「待って、それって……」
私の声が震えた。
「何度も繰り返される十日間……。マキアとエンは毎回……その度に死んでしまうってこと?」
発言を聞いたエリアスとルパートが息を呑んだ。
神が描いたシナリオだとしたら残酷な設定だ。マキアとエンの死は、私が伴侶を選ぶ為の踏み台にされている。
彼らの肉体にもたらされる苦痛と恐怖。世界がループする限り終わりが来ないのだ。
エリアスが力強い声で言った。
「二人が助かればいいんじゃないか!? そうすればロックウィーナは落ち込まず、誰かに慰められることもない。結婚式エンドを回避できて、十日間の先へ進めるかもしれない!」
光明が見えた気がした。私の第一の目標、マキアとエンを救出すれば世界のループも阻止できるかもしれないんだ。それって一挙両得じゃない!?
「世界の時間が正常に戻った後で、私とロックウィーナはゆっくり愛を育めばいい」
「どさくさに紛れて自分を売り込むなよ。だが二人を助けるのは賛成だ。魔王様、あなたの力を持ってすれば容易いことではないですか?」
ルパートの問いかけに魔王は伏し目となった。
「できない。俺は21日の午後、若造二人が死ぬ現場に向かえないんだ」
「え? どうして?」
「俺がどう動こうと、何処に居ようと、世界の最終日にかつての配下だった者に足止めされてしまう」
私達はどういうことかとアルクナイトの話に集中した。
「律儀な俺は三百年間、人間と交わした休戦協定を守っている。しかしそれを快く思っていない血の気の多い魔族も多いんだ」
「そいつらがおまえに反旗を翻すのか?」
「そういうことだ。奴らとの戦いで俺には他のことをする余力が無い」
21日の午後とは、私がアルクナイトに首を絞められた後だ。私達が徒歩でアジトに着いて襲撃の準備をしている頃、アルクナイトも別の場所で部下との戦いを開始していたのか。
それじゃあ彼の力は借りられないな。下を向きそうになったが、
「大丈夫だ。だったら私達が二人を救えばいいんだ」
「そうだな。未来を知っているおまえが居るんだ。協力者の俺達も。前と同じ結果にはさせないさ」
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