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幕間 少女との再会(2)
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☆☆☆
瞼を開いた私は、見慣れた自室の天井を眺めていた。
草原のあれはただの夢だったのだろうか? いいえ、少女と交わした会話を、目覚めた今も鮮明に思い出せる。普段の私は夢の内容をすぐに忘れるタチなのに。
前に見た夢と同じ、神からの警告なのだろう。
ドンドンドン!
乱暴に扉が叩かれた。もう少しベッドの上でまどろんでいたい気分だったが、
「おいウィー、無事か!?」
ルパートだ。奴にはピッキングのスキルが有る。反応を返さないと勝手に扉を開けられてしまう。
「は、はい、大丈夫。たった今起きました! 開けるのはやめて~」
すっぴん、髪ボサ、下着姿の三拍子が揃っていた。もうルパートには過去に見られているが、恋愛対象として意識し合った今と前とでは違う。
「無事ならいいんだ。ちょっと気がかりだったんでな」
「何か遭ったんですか?」
「変な夢を見たんだよ。俺達全員が」
「全員?」
「ああ。昨日一緒にカウントダウンした全員だ。さっき起きて顔洗いに水場へ行ったら、他のみんなが神妙な顔しててな。聞いたら俺と全く同じ夢を見たらしくて。おまえは見なかったか?」
「少女……神様が出てくる草原の夢ですか?」
「やっぱり見てたか。そのことについて話したい。食堂の開始時間に合わせて降りてきてくれ」
「はい」
あの夢を他のみんなも見ていたのか。着替えや洗顔を済ますと7時半を告げるギルドの鐘が鳴った。食堂が開く時間だ。
私は階段を駆け下りて食堂へ急いだ。既に他のみんなが集まっており、隅のテーブルに固まって座っていた。
「すみません、お待たせしました」
「ああ。取り敢えずメシ取ってこいよ」
私はカウンターでモーニングセットを頼み、食事を乗せたトレーを持ってテーブルへ引き返した。
「おはよう、ロックウィーナ」
挨拶してくれたエリアスの笑顔が少し固い。夢のせいだろう。
「寝坊助だな小娘」
魔王は相変わらずだ。
「あなたが早寝早起き過ぎんのよ。……あれ、そう言えばいつもは22時までに寝落ちするのに、昨晩はよく起きていられたね? 昼間戦闘して疲れも有っただろうに」
「寝落ちするのは少年の姿の時だけだ。本来の姿ではないからな、魔力の循環がうまくいかなくて疲れやすいんだ。おまけに封魔のアクセサリーも装備していたからな」
なるほど。青年時の方がお肌がツヤツヤなのはそういう理由か。
「今の俺はフルパワーで完徹も可能だ。タフだぞ。試してみるか?」
「アル、セクハラをしている場合じゃない。皆が見た夢について話し合わないと」
エリアスが冷静に突っ込んでくれた。私は定位置となりつつあるキースの隣りの席に座った。
「あの、皆さんも夢の中で神様と会話したんですか?」
「いいえ、僕達はあなたと少女を遠巻きに眺めている、そんな夢でした」
「ああ。俺達は姿無き背景だったよな。……ん? 背景? 以前誰かに背景になれって言われたような……」
それは一周目だね。首を捻っているルパートを放っておいて、私は話を突き詰めていった。
「マキアとエンも見たの?」
「うん。居るって気づいて欲しくて、ヤッホーとかレンフォードとか叫んだんだけど、俺の声は届かなかったみたいだね」
「おまえそんなことしてたのか……。あの雰囲気の中で度胸有るな」
「神様はどうして全員に夢を見せたんだろう。時間のループを壊した恨みごとを言いたかったのかな?」
「いや、キミを護らせる為だろう」
エリアスが言い切った。
「彼女は言っていた。もう加護は届かない、死は簡単に訪れると。自分の代わりに、これからは私達にロックウィーナを護れと伝えたかったんだろう」
え、そんな。神様の機嫌を損ねちゃったけど、私は普通の人間だよ? 今まで加護を受けていたのが異常な状態だったんだよ?
「なるほどな。俺達にウィーを託したって訳か」
なのにルパートはエリアスに同調した。
「まぁ、ロックウィーナのことは元々護るつもりでしたから。神に言われるまでもなく」
キースが神に対して不敬な発言をした。元僧侶なのに。
「まったくだな。あのガキは俺の小娘を私物化したがって困る」
アルクナイトも乗ってきた。全員乗れるビックウェーブが来ちゃったか。
「あのっ、皆さんにそこまでして頂く理由は有りません!」
私は慌てて波を打ち消そうとした。
「加護が無いのが普通なんです。皆さんは自分の身体と人生を大切にして下さい! 私は私で、身の丈に合った幸せを掴む為に頑張りますから!」
しかし男達は不敵に笑った。
「私はキミを伴侶に望んでいる。自分の人生を大切にする為にキミを護るんだ」
「そういうこった。俺の人生の中心に居るのはウィー、おまえなんだよ」
「魔王の名に懸けて誓おう。おまえを全力で護り愛し抜くと」
殺し文句を三人もの殿方から立て続けに言われて、硬直しかけた私へそっとキースが囁いた。
「大丈夫、馬鹿が暴走しないように僕が護るから」
ホッとして少し余裕が戻った私の耳に、小さく「レンフォード、レンフォード」と興奮した声が届いた。確認しなくても誰が発したのかは判った。
瞼を開いた私は、見慣れた自室の天井を眺めていた。
草原のあれはただの夢だったのだろうか? いいえ、少女と交わした会話を、目覚めた今も鮮明に思い出せる。普段の私は夢の内容をすぐに忘れるタチなのに。
前に見た夢と同じ、神からの警告なのだろう。
ドンドンドン!
乱暴に扉が叩かれた。もう少しベッドの上でまどろんでいたい気分だったが、
「おいウィー、無事か!?」
ルパートだ。奴にはピッキングのスキルが有る。反応を返さないと勝手に扉を開けられてしまう。
「は、はい、大丈夫。たった今起きました! 開けるのはやめて~」
すっぴん、髪ボサ、下着姿の三拍子が揃っていた。もうルパートには過去に見られているが、恋愛対象として意識し合った今と前とでは違う。
「無事ならいいんだ。ちょっと気がかりだったんでな」
「何か遭ったんですか?」
「変な夢を見たんだよ。俺達全員が」
「全員?」
「ああ。昨日一緒にカウントダウンした全員だ。さっき起きて顔洗いに水場へ行ったら、他のみんなが神妙な顔しててな。聞いたら俺と全く同じ夢を見たらしくて。おまえは見なかったか?」
「少女……神様が出てくる草原の夢ですか?」
「やっぱり見てたか。そのことについて話したい。食堂の開始時間に合わせて降りてきてくれ」
「はい」
あの夢を他のみんなも見ていたのか。着替えや洗顔を済ますと7時半を告げるギルドの鐘が鳴った。食堂が開く時間だ。
私は階段を駆け下りて食堂へ急いだ。既に他のみんなが集まっており、隅のテーブルに固まって座っていた。
「すみません、お待たせしました」
「ああ。取り敢えずメシ取ってこいよ」
私はカウンターでモーニングセットを頼み、食事を乗せたトレーを持ってテーブルへ引き返した。
「おはよう、ロックウィーナ」
挨拶してくれたエリアスの笑顔が少し固い。夢のせいだろう。
「寝坊助だな小娘」
魔王は相変わらずだ。
「あなたが早寝早起き過ぎんのよ。……あれ、そう言えばいつもは22時までに寝落ちするのに、昨晩はよく起きていられたね? 昼間戦闘して疲れも有っただろうに」
「寝落ちするのは少年の姿の時だけだ。本来の姿ではないからな、魔力の循環がうまくいかなくて疲れやすいんだ。おまけに封魔のアクセサリーも装備していたからな」
なるほど。青年時の方がお肌がツヤツヤなのはそういう理由か。
「今の俺はフルパワーで完徹も可能だ。タフだぞ。試してみるか?」
「アル、セクハラをしている場合じゃない。皆が見た夢について話し合わないと」
エリアスが冷静に突っ込んでくれた。私は定位置となりつつあるキースの隣りの席に座った。
「あの、皆さんも夢の中で神様と会話したんですか?」
「いいえ、僕達はあなたと少女を遠巻きに眺めている、そんな夢でした」
「ああ。俺達は姿無き背景だったよな。……ん? 背景? 以前誰かに背景になれって言われたような……」
それは一周目だね。首を捻っているルパートを放っておいて、私は話を突き詰めていった。
「マキアとエンも見たの?」
「うん。居るって気づいて欲しくて、ヤッホーとかレンフォードとか叫んだんだけど、俺の声は届かなかったみたいだね」
「おまえそんなことしてたのか……。あの雰囲気の中で度胸有るな」
「神様はどうして全員に夢を見せたんだろう。時間のループを壊した恨みごとを言いたかったのかな?」
「いや、キミを護らせる為だろう」
エリアスが言い切った。
「彼女は言っていた。もう加護は届かない、死は簡単に訪れると。自分の代わりに、これからは私達にロックウィーナを護れと伝えたかったんだろう」
え、そんな。神様の機嫌を損ねちゃったけど、私は普通の人間だよ? 今まで加護を受けていたのが異常な状態だったんだよ?
「なるほどな。俺達にウィーを託したって訳か」
なのにルパートはエリアスに同調した。
「まぁ、ロックウィーナのことは元々護るつもりでしたから。神に言われるまでもなく」
キースが神に対して不敬な発言をした。元僧侶なのに。
「まったくだな。あのガキは俺の小娘を私物化したがって困る」
アルクナイトも乗ってきた。全員乗れるビックウェーブが来ちゃったか。
「あのっ、皆さんにそこまでして頂く理由は有りません!」
私は慌てて波を打ち消そうとした。
「加護が無いのが普通なんです。皆さんは自分の身体と人生を大切にして下さい! 私は私で、身の丈に合った幸せを掴む為に頑張りますから!」
しかし男達は不敵に笑った。
「私はキミを伴侶に望んでいる。自分の人生を大切にする為にキミを護るんだ」
「そういうこった。俺の人生の中心に居るのはウィー、おまえなんだよ」
「魔王の名に懸けて誓おう。おまえを全力で護り愛し抜くと」
殺し文句を三人もの殿方から立て続けに言われて、硬直しかけた私へそっとキースが囁いた。
「大丈夫、馬鹿が暴走しないように僕が護るから」
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