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魔王の牽制(2)
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マキアは年長組から非難の視線をぶつけられて、可哀想に涙目になっていた。
「あの、ルパート先輩。マキアを放して下さい。彼は何も悪いことはしていません」
ルパートは更に不機嫌な表情となって私を睨みつけた。
「おまえの為だろうが、口説かれ耐性ゼロのくせに。どうせまたコイツの言葉にポ~っとなったんだろ?」
私に口説かれ耐性が無いのは、アンタとセスが周囲の男達を遠ざけたからじゃないか!
そう抗議したかったが、マキアの言葉にポ~っとなったのは事実だった。
当のマキアはルパートに首根っこを掴まれながら私に謝罪した。
「迂闊なこと言っちゃってごめんねロックウィーナ。俺さ、綺麗とか可愛いとか良い言葉だと思っているから、そう感じたらすぐに言っちゃう癖が有るんだ」
「おいぃ、無自覚!」
「謝らないでよ。私は褒めてもらってビックリしたけど嬉しかったよ?」
「ウィー、おまえもだ! 見つめ合うな、この天然どもが!!」
ルパートはマキアを力づくで引っ張って、私の反対側、水場の端まで連れていった。
「これがおまえとウィーのパーソナルスペースだ。接近し過ぎるなよ?」
「あの……俺、ホントに口説いたつもりは無いんですが」
「行動自体が問題なの。恋心はまだ無くても、褒めたってことはウィーに少なからず好意を持ってるだろ?」
「それは、まぁ……。ロックウィーナは綺麗な上に頑張り屋だから。女性で出動班に入るなんて、相当な努力をしてきた結果でしょう? 尊敬しますよ」
「うん、そうだ。その通りなんだがいちいち褒めるな。さっきも言ったが、アイツは口説かれ耐性がゼロなんだ。褒められたらポ~っとなって、好きだと言われたら鼻血を噴いて、プロポーズされた日には臨死体験するほどのおぼこちゃんなんだ」
「そんなレベルなんですか!?」
ムキィ。酷い言われようだ。否定できないのが悲しい。
「そんなレベルなんだよ。マキア、おまえは異性との交際経験が有るか?」
「え、まぁ。プラトニックなものも入れると三人ほど……」
マキア……、そんなことまで素直に言わなくていいのに。
でも交際経験有るのか。彼23歳だもんな。性格も容姿も良いからそりゃ普通に彼女できるよね、いいなー。
「ウィーは無いんだ。ゼロだ」
「え、ええ!? マジでゼロ!? レンフォード!!!!」
それは言うなあぁぁぁ!
「だからあまりアイツに刺激的な態度を取るな」
「りょ、了解です……!」
水場の端で私の取り扱い注意事項が伝授されていた。惨めだ。泣きそう。
くっそう、こうなったら絶対に口説かれ耐性ゼロを克服してやる。複数の男を手玉に取る魔性の女になってやるんだから!
そんな妄想に浸っていると、ずっと黙っていたアルクナイトが私の傍に寄ってきて小声で苦言を呈した。
「無防備が過ぎるぞ、馬鹿者が」
ううう。確かに今はそう。でも将来は魔性の女だから。
「……おまえには一度きっちり、俺の女だということを自覚させなければならないな」
「!?」
不穏な台詞を置き土産にして、アルクナイトは去っていった。
な、何する気……? 私は本気で脚が震えた。そして自分には魔性の女は絶対に無理だと自覚したのであった。
☆☆☆
何だかアルクナイトが怖い。
他の男性達が和やかな談笑を挟みつつ朝食を摂っている横で、彼は静かにナイフとフォークを動かしているだけだった。
こんなことが前にも有った。
アルクナイトがたった独りで、かつての部下達と戦おうと決めた時だ。
彼は何かを決意した時に無口になる。
ただ今回に関しては理由を聞けなかった。
(おまえには一度きっちり、俺の女だということを自覚させなければならないな)
自覚させなければならない……俺の女……自覚……。奴が水場で呟いた危険な匂いのするワードが、私の頭の中でエコーとなって鳴り響いていた。
「ロックウィーナ? 食欲が無いのですか?」
食べるスピードが遅かった私は、隣の席のキースに心配された。
「あ、いえ、少し緊張してしまったようで……」
「そうですね、アンダー・ドラゴン壊滅は大きな任務ですからね。でも大丈夫。僕の障壁であなたのことは必ず護ります」
向かいの席のエリアスも頷いた。
「私は剣でキミを護ろう。迫りくる全ての敵を斬り伏せ、キミに危険を近付けさせないと誓う」
「ま、前面に立つのは王国兵団だよ。俺達は後方支援だろうから、あまり気負うな」
ルパートも続いた。みんなで私の緊張をほぐそうとしてくれる。気持ちはとてもありがたい。
でもね、違うんだ。私が警戒している相手はアンダー・ドラゴンではなく、斜め前でデザートのリンゴを優雅に食べている魔王様なんだよ。(関係無いけど、コックが皮をウサギさん型に剥いてくれているよ)
いつもだったらキースの陰に隠れて護ってもらうところなんだが、妹分を卒業した上に、キースからも愛の告白を受けてしまっている。この状態でキースを頼るのは駄目だろう。
う~ん、う~ん。
しばらく考え込んだが、悩んでいても仕方が無い、結局私はそう結論づけた。
「みんな、今度の任務は何日も拘束されることになるだろうから、旅の支度をしておいてくれ。午前中の業務は免除されたから、時間をかけてしっかり準備だ。13時にギルド前に集合な」
そうだ。今はやらなきゃならないことに集中しよう。
朝食を済ませた私達は二階へ引き上げた。
「あの、ルパート先輩。マキアを放して下さい。彼は何も悪いことはしていません」
ルパートは更に不機嫌な表情となって私を睨みつけた。
「おまえの為だろうが、口説かれ耐性ゼロのくせに。どうせまたコイツの言葉にポ~っとなったんだろ?」
私に口説かれ耐性が無いのは、アンタとセスが周囲の男達を遠ざけたからじゃないか!
そう抗議したかったが、マキアの言葉にポ~っとなったのは事実だった。
当のマキアはルパートに首根っこを掴まれながら私に謝罪した。
「迂闊なこと言っちゃってごめんねロックウィーナ。俺さ、綺麗とか可愛いとか良い言葉だと思っているから、そう感じたらすぐに言っちゃう癖が有るんだ」
「おいぃ、無自覚!」
「謝らないでよ。私は褒めてもらってビックリしたけど嬉しかったよ?」
「ウィー、おまえもだ! 見つめ合うな、この天然どもが!!」
ルパートはマキアを力づくで引っ張って、私の反対側、水場の端まで連れていった。
「これがおまえとウィーのパーソナルスペースだ。接近し過ぎるなよ?」
「あの……俺、ホントに口説いたつもりは無いんですが」
「行動自体が問題なの。恋心はまだ無くても、褒めたってことはウィーに少なからず好意を持ってるだろ?」
「それは、まぁ……。ロックウィーナは綺麗な上に頑張り屋だから。女性で出動班に入るなんて、相当な努力をしてきた結果でしょう? 尊敬しますよ」
「うん、そうだ。その通りなんだがいちいち褒めるな。さっきも言ったが、アイツは口説かれ耐性がゼロなんだ。褒められたらポ~っとなって、好きだと言われたら鼻血を噴いて、プロポーズされた日には臨死体験するほどのおぼこちゃんなんだ」
「そんなレベルなんですか!?」
ムキィ。酷い言われようだ。否定できないのが悲しい。
「そんなレベルなんだよ。マキア、おまえは異性との交際経験が有るか?」
「え、まぁ。プラトニックなものも入れると三人ほど……」
マキア……、そんなことまで素直に言わなくていいのに。
でも交際経験有るのか。彼23歳だもんな。性格も容姿も良いからそりゃ普通に彼女できるよね、いいなー。
「ウィーは無いんだ。ゼロだ」
「え、ええ!? マジでゼロ!? レンフォード!!!!」
それは言うなあぁぁぁ!
「だからあまりアイツに刺激的な態度を取るな」
「りょ、了解です……!」
水場の端で私の取り扱い注意事項が伝授されていた。惨めだ。泣きそう。
くっそう、こうなったら絶対に口説かれ耐性ゼロを克服してやる。複数の男を手玉に取る魔性の女になってやるんだから!
そんな妄想に浸っていると、ずっと黙っていたアルクナイトが私の傍に寄ってきて小声で苦言を呈した。
「無防備が過ぎるぞ、馬鹿者が」
ううう。確かに今はそう。でも将来は魔性の女だから。
「……おまえには一度きっちり、俺の女だということを自覚させなければならないな」
「!?」
不穏な台詞を置き土産にして、アルクナイトは去っていった。
な、何する気……? 私は本気で脚が震えた。そして自分には魔性の女は絶対に無理だと自覚したのであった。
☆☆☆
何だかアルクナイトが怖い。
他の男性達が和やかな談笑を挟みつつ朝食を摂っている横で、彼は静かにナイフとフォークを動かしているだけだった。
こんなことが前にも有った。
アルクナイトがたった独りで、かつての部下達と戦おうと決めた時だ。
彼は何かを決意した時に無口になる。
ただ今回に関しては理由を聞けなかった。
(おまえには一度きっちり、俺の女だということを自覚させなければならないな)
自覚させなければならない……俺の女……自覚……。奴が水場で呟いた危険な匂いのするワードが、私の頭の中でエコーとなって鳴り響いていた。
「ロックウィーナ? 食欲が無いのですか?」
食べるスピードが遅かった私は、隣の席のキースに心配された。
「あ、いえ、少し緊張してしまったようで……」
「そうですね、アンダー・ドラゴン壊滅は大きな任務ですからね。でも大丈夫。僕の障壁であなたのことは必ず護ります」
向かいの席のエリアスも頷いた。
「私は剣でキミを護ろう。迫りくる全ての敵を斬り伏せ、キミに危険を近付けさせないと誓う」
「ま、前面に立つのは王国兵団だよ。俺達は後方支援だろうから、あまり気負うな」
ルパートも続いた。みんなで私の緊張をほぐそうとしてくれる。気持ちはとてもありがたい。
でもね、違うんだ。私が警戒している相手はアンダー・ドラゴンではなく、斜め前でデザートのリンゴを優雅に食べている魔王様なんだよ。(関係無いけど、コックが皮をウサギさん型に剥いてくれているよ)
いつもだったらキースの陰に隠れて護ってもらうところなんだが、妹分を卒業した上に、キースからも愛の告白を受けてしまっている。この状態でキースを頼るのは駄目だろう。
う~ん、う~ん。
しばらく考え込んだが、悩んでいても仕方が無い、結局私はそう結論づけた。
「みんな、今度の任務は何日も拘束されることになるだろうから、旅の支度をしておいてくれ。午前中の業務は免除されたから、時間をかけてしっかり準備だ。13時にギルド前に集合な」
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朝食を済ませた私達は二階へ引き上げた。
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