瓦解する甘い盾

流音あい

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番外編1 最初の接触、予期せぬ快感

番外編1-3、引きずり出された感度

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「あっ……ん、はあっ……ぁん!」
 彼に貫かれたのは、それからまもなくのことだった。私が呼吸を整えている間に、彼は避妊具を装着していた。

 彼が覆い被さってきたとき、私は呆然と眺めていた。優しく身体にキスをされ、硬い彼が脚に擦れた時に、本番がまだだったことを思い出した。そう、本番はこれからだ。それなのに身体は馴染みのない満足感でいっぱいだった。

 正直、今まで私は前戯でイったことがなかった。イキそうになると、相手はいつも挿入してきた。男はできる限り早く入れたいもので、そのために仕方なく前戯をする。そういうものだと思っていた。
 今まで相手にした男たちも、みな似たようなものだった。前戯はできるだけ早く切り上げるべきもので、だからこそこちらもちゃんと感じられるように、積極的に誘惑したり、自分の気持ちいいところに誘導したりする。そうしなければ、さっさと終わらせようとしてくるから。けれど彼は。
「ぁあっ……!」
「……くっ」
 ひときわ強烈な快感が駆け抜けて、私はまた昇りつめていた。彼も苦悶の表情になったあと、解放感に浸っていた。


 少し休んでから、今度はベッドに行って肌を重ねた。
 そこでも彼は、私を気持ちよくさせてくれた。前戯もまた悪くなく、むしろ良いとしか言えなくて。
 互いに快楽を貪っているはずなのに、自分だけが相手を求めている気がした。理由はわかっている。あまりに今夜の彼との体験が、鮮烈で初めてのことばかりで、良かったからだ。

 彼の触れ方に、彼の選択に、その行動の在り方に。私は今までとは違う自分が生まれたのを感じていた。
 いつも男とは対等なはずなのに、彼と向き合うと自分が浅はかなように思えた。新しい世界を教えられた気もするが、それ以上に彼を求めてしまう身体の疼きを自覚させられた。

 だって、あんなふうに愛撫されたことなんてない。あんなふうに気持ち良くなったこともない。それだけで達してしまうほどなんて。
 満足している自分の身体に、心がざわついた。彼とこれ以上いるのは危険な気がした。少なくとも心の整理ができるまでは。

 隣で眠る彼の体温に包まれながら、目が覚めたらもう会わないようにしようと思った。彼だってきっと、その辺の手頃な女だと思っているに違いないのだから、大丈夫。こんな手が早くて女慣れしているのだから、きっとそう。
 ひと眠りしたら、きっといい思い出になっている。そう願って、私は彼の腕の中で目を閉じた。
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