安全第一異世界生活

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コルドナ辺境拍領

192話 久々の冒険は波乱の幕開け

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つい先日この地を襲ったスタンピードを最後に、60歳を超えて元気に魔物討伐を行っていた騎士団長が、ぎっくり腰、他の国では魔女の一撃ともいうその一撃に、ノックアウト。騎士団長を拝命しているにも拘わらず動けなくなった自分の不甲斐なさを老いのせいだ!と決めつけて騎士団を退団する事になった。

部下たちは『団長は死ぬとき まで、魔物に剣を突き立てていると思っていました!!』『鮮血の騎士団長が人間に戻るのか!!』『団長が…人間に戻る!? それって、伝説の死者が生き返るような話じゃないか!!』と騒ぎ立てたそうだ。
後任には副騎士団長が騎士団長に就任することになった。

「新たにコルドナ辺境伯騎士団の団長を拝命した、ミケーレ・ペンツィネンだ。
まだ若輩ではあるが、責任の重さは十分に承知している。
この地を守るため、そして諸君が胸を張って剣を振るえるよう、私も全力を尽くすつもりだ。
共に務めを果たしていこう。これからよろしく頼む。」

凛としたミケーレの声がまだ残暑の厳しい練習場に響いたのだった。
騎士団長退団時に騒ぎ立てた部下たちは後日、新騎士団長がしっかりとお仕置きしておいた。

***

パン屋の店から香ばしい焼き立てパンの香りが漂い、仕事に向かう人々が意気揚々と動き始める朝。
スタンピードが解決して早や2カ月、とても平和な街の中を、コーくんとウハハそして、ハワワと一緒に連れ立って私は冒険者ギルドに向かっていた。本当はトーさんとノンナさんのお手伝いをするつもりでいたんだけど、二人とも領主様からの呼び出しが届き、嫌がるトーさんのせいで、連れ去られるように連れていかれた。大事な用事らしい。多分、濃縮ポーションの作り方が解明されて申請したからじゃないかと思う。まあそんな理由もあり私は笑顔で二人を送り出した。

と、いうわけで今日は丸々と予定が空いたので久々に冒険活動しようと出てきたのだ。最近冒険者活動を、商会経営と錬金のお手伝いをしていたせいか、最低限しかできていなかったのだ。なのに、トーさんが嬉々として私の冒険者装備などを贈るのでクローゼットは、今やいろいろな装備で溢れている。
今じゃただのワンピースが、下手な鎧よりも強固な装備品に変わっている恐ろしさ…何の素材で作ったのか私にはわからないけど、ナギ師匠曰く、王様が着るような素材なのでは…っと恐れおののいていた。トーさん自重しよう。自重。忘れてはダメな奴だ!!そう叫びながらも、装備品をプレゼントしてくれる時は、コーくんやウハハにも同じ素材を使ったアクセサリーや装備をプレゼントしてくれる気遣いを見せてくれるのは、トーさんの人柄だと思う。尊敬する。

まぁ、そんな大変強固な装備、見た目ただの白いセーラーカラーのシャツと、紺色のキュロットに子供用の白い皮のブーツ。水色の斜め掛けカバンに変化しているウハハ。私と同じようにセーラーカラーのシャツ、紺色の色違いを着た、白い短パン、紺色のブーツをはいたコーくんと手を繋ぎ、コーくんの頭の上にハワワが乗って4人でやってきました、冒険者ギルド。
いつもは少し遅めに来て常設依頼の薬草採取をしているんだけど…今日は少し早いから、通常の依頼を覗いてみようかな…そう思っていたんだけど、扉を開けるなり私の視界に飛び込んできたのは、アルマ君の腕をつかみ、今にも連れて行こうとしている、少し年上の少女達の光景だった。

その光景を見て、あ!!これ連れていかれたらダメな奴だと瞬時に悟り、走り出し声を掛けた

「アルマ兄ちゃん、待たせてごめんね!今日は薬草どこに取りに行くの?コーくんも私も楽しみだったの」

大きな声で幼子の様な口調を意識して、アルマ君にしがみ付きニコニコと話はじめた。突然しがみ付かれたアルマ君は、びっくりしていたけれど、救いの手だと言わんばかりに話を合わせてきた。

「おぉ!ちゃんと来れて、えっ、偉いなカナメ。コー…くん、今日はウルラ草原まで行くけど昼は持ったか、持ってなかったら屋台で買おうな」

私たちの方を見ながら元気よく言ったアルマ君。アルマ君を連れて行こうとしていた人たちはチッと舌打ちをした。私たちを忌々し気に見つめる12、13歳前後の男の子2人に、釣り目で金髪の縦ロール少女1人…なんか貴族っぽい…このままアルマ君と外に出てもいちゃもん付けられそうだな…

「はーい。私師匠のお昼預かってるの。ちょっと待って」

そう言ってアルマ君の手をグイグイ引きながら、ギルドの受付に行き、受付のお姉さんにナギ君を呼んでもらう事にした。

「おはよーございます。ナギ師匠はいますか?トーさんからお昼渡すように頼まれました!」

いつもと違う私の話し方も、後ろの3人をみて察したのか、受付のお姉さんは調子を合わせて返事をしてくれました。

「あら、偉いわね。烏さんのお使いなのね。良かったら奥の部屋で待っていて。少ししたらナギさんも空くと思うから」

受付のお姉さんと目を合わせ、視線で会話が完了した。私は振り返り、声を張って

「アルマ兄ちゃん、師匠が来るまでお部屋で待とう。その間一緒に数の勉強しよう」

「おぉおお。そうしようか」

アルマ君は背後を気にしながら、私に手を引かれるまま奥の部屋に入った。
バタン!
扉が閉まり、外の騒めき、人の声が聞こえなくなったしんとした空間に安心したのか、アルマ君はへにゃへにゃと膝から崩れた。
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