安全第一異世界生活

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コルドナ辺境拍領

191話 カナメの唐揚げレシピ

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簡易拠点は、夕刻には食事調理場と宴をする会場を残しほぼ撤去された。そして調理隊が作る料理の数々を次々設置していったが、宴が始まってすぐ空腹な猛獣達によってすぐさま消えていった。短い準備時間中はあわただしく準備していた調理隊に対し、空腹猛獣達は足りないコールを起こした。

その時、腹減りの猛獣VS調理隊のゴングが鳴った気がした。

やれ激辛料理やら、異国料理、ステーキは分厚く焼いてとその戦いは日付が変わる直前まで続いた。
その間私はひたすら唐揚げを欲する猛獣達にせっつかれ揚げ続けた。疲れた。

テーブルに並んだ各大皿からは食べ物は消え、積みあがっていた酒樽も今はすべて空になっている。

宴会場になっている食堂の床には、死屍累々とばかりにお腹を膨らませた酔っ払いが転がっている。私達調理隊はそれを見つつ、ようやく一息ついた。各面々は自分の食べる賄いをもって、皆でテーブルを出して食事をとる。片付けはまだあるが、お酒は解禁らしい。もちろん私はノンナさんのポーション入りのドリンクをいそいそと準備。その横で、

「死ぬほど忙しかった。明日は店休みにしてくんないかな―――いやオヤジは休むとか無理だろうな…」

元気なつんつん頭のお兄さん、筋肉亭の息子のナジェルくんが項垂れる。その言葉に皆がうなずく。隊長が首を横に軽く振りつつ憐れんだ顔でナジェルくんを諭す。

「おやっさんは休みってなんだってくらい動いてないとダメな人だからな。諦めろ」

「マジおやじ体力無限の化け物かよ…俺は休みたい」

隊長の言葉に、項垂れるナジェルくん。その姿を見つつ、コトコト亭の看板娘サーシャさんが疲れ切った顔で同じように項垂れる。そんな二人に私はノンナさんのポーション入りドリンクを渡す。ほかの皆にも確認して渡すと、嬉しそうにドリンクを受け取り口をつけながら、先ほどの祝勝の宴を振り返り身震いする。

「なーにあの唐揚行列?なーにあのみんなの熱量。めっちゃ怖かった」

その言葉に赤べこの動きの様にうなずいた。

「めちゃくちゃ凄かった」
「めちゃくちゃ怖かった」

そうして同時にそんな言葉を言われ、私は肩を震わせて声を出して笑ってしまった。

「アハハ…フフフ…フフありがとうございます」

そんな私の笑い声が収まると、マリリンさんがおずおずと話しかけてきた。ハキハキしているマリリンさんにしては珍しい。そう思いながら小首をかしげていると、

「あのさ、カナメ…唐揚げ、うちの店で出しても良い?」

「え?」

思っていなかった言葉に私はキョトンとする。すると他の調理隊のメンバーも手を上げて私に言ってきた。

「うちも出したい」

「俺の所も良いだろうか?」

まさかの隊長さんまで…?
もしかして今回の事でこの辺境の街が唐揚げブームになっているって事?じゃあ、まあブームには乗らないとね。

「ふふ隊長さんまで、どうぞ。作り方は皆さん見てたからわかると思うのでどんどんアレンジして出してください。私も親しい奥さ…んん…聖女様に教えてもらったんです」

私は以前リオーナさんや辺境伯には聖女に聞いてとか言ったんだっけ… それを思い出し、とっさに笑いながら言い換えた。…うん、皆気にしてないな。
そんな風に皆の様子を気にしていると隊長さんが真剣な眼差しでこちらを見てきて言う。

「対価は?」

え?対価?……唐揚げなんて…みんな知ってる…
ああそうだよね…聖女様の情報を無料でとかダメか…でも…私はこちらを見てくる皆の顔を見て頷いた。お金とかは良いから…聖女っぽい事…そうだな

「要らないと言いたい所ですが、皆さんの善意で、子供がおやつに食べられる安い商品をよかったら作って欲しいです。何品とか言わないので1品で良いんです」

「安い商品?」

「この街の子供たちは働き者で、偉いなって思ってました。そんな子供がお小遣いを使って自分にご褒美として買えるものがあればって思ったんです…お願いします。それ以外は要望無いので、唐揚げはガンガン作ってください」

私はその時、思いつきで言っただけだった。イメージは駄菓子やカラメル焼き。かき氷。そんな安易な考えで言った言葉。

その後、唐揚げを扱う場合、使用料として子供たち用の安価な商品も取り扱うことが決定した。些細な少女の願いはこの後、国中に広まり、肉も買えずにいた貧民の救済の第一歩になることをカナメは知るよしもない。

追記:聖女様こと、あやねちゃんとは、齟齬がないようにきちんと話を合わせておきました。
あやねちゃんには笑われました。
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