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愚王の崩壊
86話 翻弄される者 宰相
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はぁ…国政に必要な手続きや、大小様々な厄介事は、この宰相たる私の元に集約される。それは職務上、当然の責務だ。
だが……深いため息が、胸の奥底から幾度となく溢れ出て止まらない。先日、聖女様よりもたらされた情報は、一筋縄ではいかぬ難題として、私の心に重くのしかかっているのだ…
「黒烏の暗殺者」の二つ名を持つ冒険者クロト。
コルドナの奇跡の少女の養父。聖女様に言われ、自らも調べてみたが、まるで勇者のような功績の数々……
高難度討伐: 賞金首を二百五十件処理。
独自技術: 彼のみが開発可能な新薬を創製。
大規模災害阻止: 複数回のスタンピードを単独で鎮圧。
希少種調教: 白狼の弟子として、多数のワイバーン調教に貢献。
聖女守護: 召喚されたばかりの聖女と仲間を魔族の攻撃から救出。
事件解決: エドモンド救出作戦において、単独で解決。
『あの愚王に、この男と対峙する勇気がおありかしら?』
ない。あるわけがない。王にそのような勇気は、爪の先ほどもないだろう。
二十年前に活発だった魔族は鳴りを潜めて久しく、今の王宮に彼と対峙できるだけの戦力などあるはずがない。彼に今の騎士団などをぶつけたら、国が亡ぶだろう。
騎士団の実権が、今の第一騎士団長に握られてから、ますます騎士団は見てくれだけの張り子の虎になった。それもこれも、エウゲニー公爵家の次男が騎士団長のせいだ。今、まともに動けるのは、魔物討伐に出たりする第三騎士団くらいか……
それに、彼の怒りは子を持つ親の私でもわかる。怒って当然なのだ。
今の王に未練はない。変わってもらっても、何の問題もない。ただ、跡目問題だ。王はまだ誰も支持を表明していない。王太子が不在の今、嫡男である第一王子が最も有力となる。
机の上に広げられた王子たちの報告書に目を落とす……第一王子の王城の使用人や民からの嫌われようは、目に余る。これは第二王子にも言えることだ。
最早、第三王子を支持する以外に道はないだろう……その点については、私も尽力し、精一杯お支えする所存だ。
最大の障壁は王妃だ……これまでにも第三王子に向けて幾度となく刺客が放たれていたようだが、彼の騎士が全て防ぎ抜いていたという。護衛騎士セルジオの退職は、痛恨の極みだ。
どうして、彼や、亡き父のように信念を持って守ろうとする人間が、かくも傷ついていくのか……不条理極まりない。
はぁ……またも大きなため息が出る……気分を変えるため、視線を窓に向ける……窓の外には、真っ暗な闇が広がっている。もう何時になっているのか……さすがに今日はもう終了して、自宅に帰ろうかと思っていると、
『コンコン・コン』一拍置いたノックの音が、静かな部屋に響いた。
宰相部屋前に詰める騎士には、必ずこのリズムでのノックをするように伝えている。
部屋の中にいた夜勤の交代文官ブルーノは、最近異動でこちらに来たマイペースな男だ。ブルーノが私が頷いたのを確認してから扉を開け、部屋を出てすぐに戻ってきた。そうして、私の元に書状を持ってきて渡す。
「緊急な事らしく、ストーティオン伯爵様の使いの者が廊下で返事を表で待っているそうです」
そう聞き、帰宅しようと思った矢先に、またトラブルか……はぁ、またため息が口から出る。
すぐに受け取った書状の封を、ペーパーナイフでさっと開封し、視線を走らせた。
私は勢いよく席を立ち上がった。そのせいで座っていた椅子が倒れ、大きな音が響いた。が、そんなこと気にならない。読んでいた紙から、視線が外せない……来ている。扉の前に、件の養父が私に会うために……
「閣下?大丈夫ですか?どうされましたか?」
いや……落ち着け。私が動揺してどうする。落ち着け!大きく息を吸って、吐き出す。もう一度繰り返し……ブルーノに「使者殿を部屋に呼んでくれ」と伝え、椅子を直し座り直した。
入ってきたのは、頭がもっさりとした眼鏡の男だった。ブルーノがこそこそと何か彼に言っている。男と目が合った瞬間、男は目を細め、口元に人差し指を立てた。なんだ? 私は動揺を悟られないように、男を見つめた。すると、男から黒い霧が湧き出し、瞬く間に部屋を覆った。異変に気付いたブルーノが騒ぎそうになったので止めようとした瞬間、ブルーノが消えた。
消えた……どういう事だ……悪意はない……騒ぎ出す心を、不安を飲み込む。この男は息子の恩人だ。大丈夫だ、大丈夫……男の行動から視線を外さず、心で呟く。
男は部屋を薄闇で包むと、辺りを見回し、光る何かと黒い塊を瓶に入れた……なんだ、これは。そして再度辺りを見回して、ブルーノを取り出した。どこから取り出したのだ! また騒ぎだす心を落ち着けるように、手に力を込めた。すると今度は、ブルーノの襟裏辺りから赤い光が出てきて、再度瓶に入れた。なんだ、この光たちは……男は頷き、こちらを見て
「ふむ、こんなところか。宰相、もう声を出しても構わない。」
私は動揺が声に乗らないように必死で彼に話しかけた。
「こ……これは一体?」
「ああ、今、簡単な隠蔽魔法を炙り出したのと、ついでに防音結界を張った。闇属性だからな、見た目は悪かろうが気にするな。」
「先ほどの光は…炙り出された魔法なのですか?」
「一つは闇魔法使いの爺のものだろう。青いのはどこかの輩の仕業か。そして赤は、魔族のものだ。」
「ま…魔族! 魔族がこの国を探り始めたと申すか…」
私の言葉に、男は首を傾げた……え? 私は変な事を言っただろうか? 呆れたような男から、言葉が紡ぎ出される。
「貴殿らは何も気づいていなかったのか? 呆れたものだな。城には優秀な魔法師が多いと聞いていたが、足元にいるものにすら気づかないとは…」
私は眉間に皺を寄せ、彼の言葉を逃さないように聞きながら彼を見る。すると彼は、城の東の方角を指差した。
「あの方向には、何がある?」
あの方向は…
「王妃の宮でございますが…まさか!」
王妃…王妃が関与しているのか?魔族と?そこまであの女はこの国を危険に晒していたのか…
「俺は、この城に入って五分も経たずに気づいたぞ。」
国の象徴である王城の敷地内で……魔族がいる……私は言葉を失い、血の気が下がってきた。視界がぐらぐらする。
「あの辺りで、何匹もの異質な存在が飼われているようだ。人間の魔力ではない。だが、人間のような気配もする。魔族でもない…魔物に近いのだろうか、かなり歪んでいる…俺が遠くから感知できたのはそれだけだ。ああ…決して騎士団総出で動くような真似はするなよ。もし討伐するならば、教会の神聖魔法や聖騎士によるものが望ましい。ああいう歪んだ存在は、きちんと祓わなければレイスのような厄介なものになるからな。」
彼から紡がれる言葉を理解するのを拒むように、頭を滑っていく。考えないといけない。今後の国の有様を、この件をどう始末するのかを。
「宰相殿、我々に指名依頼を出す気はあるか? 結構な額になるが。魔族相手に、普通の騎士ではどうにもならないことは理解しているのだろう?」
「お受けいただけるのですか?」
「今の国王を退位させることだ。それが条件だ。第三王子には、良い筋書きを用意してやろう。」
彼はニヤリと笑った。私は言葉を失い、彼を見ていた。考えないといけない。だけど、どうすればいい……どうすれば……動揺を隠そうと必死になっている私に、彼から魔道具と説明書が手渡された。
「これは、王が退位するまで貸し与えよう。使い方はこれを見ろ。返事は、連絡をくれれば良い。良い返事を期待しているぞ。この魔道具を国に売るつもりはないから、交渉などしてくるなよ。ではな。」
彼は扉を開けながら、闇の霧を払った。そしてこちらに振り返り
「では、これにて失礼いたします。」
綺麗な貴族の礼をして、扉が閉まった。私は身体の力が抜けたように、机に突っ伏してしまった……私は一国の宰相だ……なのに彼と対峙している間、ずっと焦っていた。私は大きく息を吐き、彼から渡されたものを見て、説明書を見た。
そこには『通信魔道具の使い方』と、可愛らしい文字で綴られていた……
とても分かりやすく図解で書かれたそれを見て思う。
ああ、これは……こんな相手に沿った優しい気遣いの出来る娘を、彼は手放さないだろう。
ずっとブルーノが話さないと思い、目をやると彼は気を失っているようだ……
足に力が入るか確認し、続きの部屋の扉を開け、仮眠室にブルーノを運び寝かせた。
執務室に戻った私は、イヤーカフを耳に付け、魔道具を持ち「0・0・3」と打ち込む。そうしたら、ピピピ、ピピピとキーの高い鳥の鳴き声のような音がする。少し待つと
『は~~~い。こんばんは~夜遅すぎません宰相閣下?』
先日会った聖女様の声が、耳の側から聞こえてくる。
「申し訳ありません、動揺が引かないので、ご相談したくてこのような時間に。」
『いいよ~、ちょっと待ってね。で、彼と対面した感想は?』
「会うまでは、彼を勇者のように思っておりましたが……違いますね。彼は強大な壁……でしょうか。太刀打ちできるとは、到底思えませんでした。」
『あ~~そうね。本来なら彼は、私たちの敵だったはずだと思うから、間違いではないわ』
「敵、ですか?」
『二十年前に私がシナリオ無視して逃げ出した結果。いまだに魔王は誕生していない。わかる? この意味』
「彼は本来、魔王になるはずだった存在だと……?」
『信じなくて良いわよ~。私がそう思っているというだけの事よ。フフフ』
聖女様に相談するつもりが、全身からさらに血の気が引けたのは、もうしょうがない事だと思う。今の情報は、知りたくなかったです。聖女様。
だが……深いため息が、胸の奥底から幾度となく溢れ出て止まらない。先日、聖女様よりもたらされた情報は、一筋縄ではいかぬ難題として、私の心に重くのしかかっているのだ…
「黒烏の暗殺者」の二つ名を持つ冒険者クロト。
コルドナの奇跡の少女の養父。聖女様に言われ、自らも調べてみたが、まるで勇者のような功績の数々……
高難度討伐: 賞金首を二百五十件処理。
独自技術: 彼のみが開発可能な新薬を創製。
大規模災害阻止: 複数回のスタンピードを単独で鎮圧。
希少種調教: 白狼の弟子として、多数のワイバーン調教に貢献。
聖女守護: 召喚されたばかりの聖女と仲間を魔族の攻撃から救出。
事件解決: エドモンド救出作戦において、単独で解決。
『あの愚王に、この男と対峙する勇気がおありかしら?』
ない。あるわけがない。王にそのような勇気は、爪の先ほどもないだろう。
二十年前に活発だった魔族は鳴りを潜めて久しく、今の王宮に彼と対峙できるだけの戦力などあるはずがない。彼に今の騎士団などをぶつけたら、国が亡ぶだろう。
騎士団の実権が、今の第一騎士団長に握られてから、ますます騎士団は見てくれだけの張り子の虎になった。それもこれも、エウゲニー公爵家の次男が騎士団長のせいだ。今、まともに動けるのは、魔物討伐に出たりする第三騎士団くらいか……
それに、彼の怒りは子を持つ親の私でもわかる。怒って当然なのだ。
今の王に未練はない。変わってもらっても、何の問題もない。ただ、跡目問題だ。王はまだ誰も支持を表明していない。王太子が不在の今、嫡男である第一王子が最も有力となる。
机の上に広げられた王子たちの報告書に目を落とす……第一王子の王城の使用人や民からの嫌われようは、目に余る。これは第二王子にも言えることだ。
最早、第三王子を支持する以外に道はないだろう……その点については、私も尽力し、精一杯お支えする所存だ。
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「緊急な事らしく、ストーティオン伯爵様の使いの者が廊下で返事を表で待っているそうです」
そう聞き、帰宅しようと思った矢先に、またトラブルか……はぁ、またため息が口から出る。
すぐに受け取った書状の封を、ペーパーナイフでさっと開封し、視線を走らせた。
私は勢いよく席を立ち上がった。そのせいで座っていた椅子が倒れ、大きな音が響いた。が、そんなこと気にならない。読んでいた紙から、視線が外せない……来ている。扉の前に、件の養父が私に会うために……
「閣下?大丈夫ですか?どうされましたか?」
いや……落ち着け。私が動揺してどうする。落ち着け!大きく息を吸って、吐き出す。もう一度繰り返し……ブルーノに「使者殿を部屋に呼んでくれ」と伝え、椅子を直し座り直した。
入ってきたのは、頭がもっさりとした眼鏡の男だった。ブルーノがこそこそと何か彼に言っている。男と目が合った瞬間、男は目を細め、口元に人差し指を立てた。なんだ? 私は動揺を悟られないように、男を見つめた。すると、男から黒い霧が湧き出し、瞬く間に部屋を覆った。異変に気付いたブルーノが騒ぎそうになったので止めようとした瞬間、ブルーノが消えた。
消えた……どういう事だ……悪意はない……騒ぎ出す心を、不安を飲み込む。この男は息子の恩人だ。大丈夫だ、大丈夫……男の行動から視線を外さず、心で呟く。
男は部屋を薄闇で包むと、辺りを見回し、光る何かと黒い塊を瓶に入れた……なんだ、これは。そして再度辺りを見回して、ブルーノを取り出した。どこから取り出したのだ! また騒ぎだす心を落ち着けるように、手に力を込めた。すると今度は、ブルーノの襟裏辺りから赤い光が出てきて、再度瓶に入れた。なんだ、この光たちは……男は頷き、こちらを見て
「ふむ、こんなところか。宰相、もう声を出しても構わない。」
私は動揺が声に乗らないように必死で彼に話しかけた。
「こ……これは一体?」
「ああ、今、簡単な隠蔽魔法を炙り出したのと、ついでに防音結界を張った。闇属性だからな、見た目は悪かろうが気にするな。」
「先ほどの光は…炙り出された魔法なのですか?」
「一つは闇魔法使いの爺のものだろう。青いのはどこかの輩の仕業か。そして赤は、魔族のものだ。」
「ま…魔族! 魔族がこの国を探り始めたと申すか…」
私の言葉に、男は首を傾げた……え? 私は変な事を言っただろうか? 呆れたような男から、言葉が紡ぎ出される。
「貴殿らは何も気づいていなかったのか? 呆れたものだな。城には優秀な魔法師が多いと聞いていたが、足元にいるものにすら気づかないとは…」
私は眉間に皺を寄せ、彼の言葉を逃さないように聞きながら彼を見る。すると彼は、城の東の方角を指差した。
「あの方向には、何がある?」
あの方向は…
「王妃の宮でございますが…まさか!」
王妃…王妃が関与しているのか?魔族と?そこまであの女はこの国を危険に晒していたのか…
「俺は、この城に入って五分も経たずに気づいたぞ。」
国の象徴である王城の敷地内で……魔族がいる……私は言葉を失い、血の気が下がってきた。視界がぐらぐらする。
「あの辺りで、何匹もの異質な存在が飼われているようだ。人間の魔力ではない。だが、人間のような気配もする。魔族でもない…魔物に近いのだろうか、かなり歪んでいる…俺が遠くから感知できたのはそれだけだ。ああ…決して騎士団総出で動くような真似はするなよ。もし討伐するならば、教会の神聖魔法や聖騎士によるものが望ましい。ああいう歪んだ存在は、きちんと祓わなければレイスのような厄介なものになるからな。」
彼から紡がれる言葉を理解するのを拒むように、頭を滑っていく。考えないといけない。今後の国の有様を、この件をどう始末するのかを。
「宰相殿、我々に指名依頼を出す気はあるか? 結構な額になるが。魔族相手に、普通の騎士ではどうにもならないことは理解しているのだろう?」
「お受けいただけるのですか?」
「今の国王を退位させることだ。それが条件だ。第三王子には、良い筋書きを用意してやろう。」
彼はニヤリと笑った。私は言葉を失い、彼を見ていた。考えないといけない。だけど、どうすればいい……どうすれば……動揺を隠そうと必死になっている私に、彼から魔道具と説明書が手渡された。
「これは、王が退位するまで貸し与えよう。使い方はこれを見ろ。返事は、連絡をくれれば良い。良い返事を期待しているぞ。この魔道具を国に売るつもりはないから、交渉などしてくるなよ。ではな。」
彼は扉を開けながら、闇の霧を払った。そしてこちらに振り返り
「では、これにて失礼いたします。」
綺麗な貴族の礼をして、扉が閉まった。私は身体の力が抜けたように、机に突っ伏してしまった……私は一国の宰相だ……なのに彼と対峙している間、ずっと焦っていた。私は大きく息を吐き、彼から渡されたものを見て、説明書を見た。
そこには『通信魔道具の使い方』と、可愛らしい文字で綴られていた……
とても分かりやすく図解で書かれたそれを見て思う。
ああ、これは……こんな相手に沿った優しい気遣いの出来る娘を、彼は手放さないだろう。
ずっとブルーノが話さないと思い、目をやると彼は気を失っているようだ……
足に力が入るか確認し、続きの部屋の扉を開け、仮眠室にブルーノを運び寝かせた。
執務室に戻った私は、イヤーカフを耳に付け、魔道具を持ち「0・0・3」と打ち込む。そうしたら、ピピピ、ピピピとキーの高い鳥の鳴き声のような音がする。少し待つと
『は~~~い。こんばんは~夜遅すぎません宰相閣下?』
先日会った聖女様の声が、耳の側から聞こえてくる。
「申し訳ありません、動揺が引かないので、ご相談したくてこのような時間に。」
『いいよ~、ちょっと待ってね。で、彼と対面した感想は?』
「会うまでは、彼を勇者のように思っておりましたが……違いますね。彼は強大な壁……でしょうか。太刀打ちできるとは、到底思えませんでした。」
『あ~~そうね。本来なら彼は、私たちの敵だったはずだと思うから、間違いではないわ』
「敵、ですか?」
『二十年前に私がシナリオ無視して逃げ出した結果。いまだに魔王は誕生していない。わかる? この意味』
「彼は本来、魔王になるはずだった存在だと……?」
『信じなくて良いわよ~。私がそう思っているというだけの事よ。フフフ』
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