安全第一異世界生活

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愚王の崩壊

87話 暗躍する者達の作戦会議の空気感

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翌日の夕暮れ時、ストーティオン伯爵家の門を、堂々とした黒馬が牽く馬車が静かに潜り抜けた。門の内側には、緑豊かな庭園が広がり、中央には涼やかな音を立てる噴水が佇んでいる。その奥に邸の扉が見える。やがて馬車が静止し、扉が開かれると、まるで燃えるような鮮やかな赤髪の少年が現れ、その後ろから漆黒の髪を持つ少年が続いた。息をのむほどに美しい少年たちが並び立つ光景は、まさに圧巻の一言だった。

赤髪の少年ミハイルに、カナメが勢いよく走り寄り、ぴたりと抱き着いた。

「お兄ちゃん、おかえりなさい♡」

ぷくぷくと膨らんだ頬のカナメが、満面の笑みで言う。ミハイルは抱きつくカナメを優しく抱き上げ、ぎゅっと抱きしめ返して、嬉しそうに微笑んだ。

「ただいま」

二人が楽しそうに笑い合っていると、背後の黒髪の少年が、呆れたように声を上げた。

「いつまでデレデレしているんだ、イル。さっさと紹介しろ」

「もぉ!せっかくカナメを補給してたのにぃ~、カナメ、彼はグレード・ミヤノマエ。僕の友達だよ」

お兄ちゃんは、にこやかに私を紹介してくれる。私はお兄ちゃんに抱っこされたまま、

「初めまして、グレード様。妹のカナメと申します。お姉様のハインツ様には、大変お世話になっております。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします」

「あーそうだな、ハインツ姉さんと交流あるんだよな、ねーさんが君には感謝しているって言ってたよ」

あのハインツさんが私に感謝、出会いから考えると信じられないけれど、フフっと少し微笑んで

「こちらこそ、家門を上げて孤児たちの支援いただきありがたいことです」

私が言うと、グレード様は固まった。不思議に思っていると

「この子何歳だよ?」っとお兄ちゃんに聞いている

「5歳だよ。僕の自慢の妹なんだ」

お兄ちゃんの言葉に「5歳…マジかよ」っと言葉を詰まらせたまま誘導され皆で屋敷に入った。私はずっと抱っこされたままだ。

屋敷に入ると応接室の方から大きな声が聞こえてくる。グレード様とお兄ちゃんはそのまま応接室に向かっていく。

「だからなんでそんなに落ち着いているんだよ!ありゃ何人も喰ってんだろ!」

「師匠こそ頭に血が上がりすぎだ。」

大声の正体は狼さんとトーさんだ。お兄ちゃんは声を気にする事も無くそのままノックをする。

コンコンコン

ノックをするとガチャリと扉が開き、執事が顔を出す。

「坊ちゃまおかえりなさいませ。そちらはご友人でしょうか?」

お兄ちゃんは執事の言葉に

「ただいま、友人のグレードだ。トーさんとお爺様に紹介したくて来たんだが、今は取り込み中かな?元気な声が玄関まで響いてきたよ」

「防音結界が効いていないみたいですね。後ほど整備いたします。少々お待ちください」

と礼をして執事は部屋に入る。するとすぐに扉が開いた
「帰って来たのかいミハイル。お帰り」
「お帰りイル」

お爺ちゃんと、トーさんが声をかけ、お兄ちゃんは嬉しそうに

「ただいま帰りました」

と返事をした。父さんとお爺ちゃんはとっても嬉しそう。そして背後の漆黒の髪の少年に目を止める。すると二人は同時に

「「そちらは?」」

お爺ちゃんと、トーさんはさすがに二人して目線を合わせ笑い出した。

「僕の初めての友人のグレード・ミヤノマエ。学校ではすごくお世話になってるんだ」

黒髪の少年グレード君は一歩前に出てボウ・アンド・スクレープ

「お初にお目にかかります、ミヤノマエ家5男グレードともうします。以後お見知りおきください」

グレード君のお辞儀ってあれだ!社交ダンスの男性のお辞儀みたい。背筋がピンと伸びているから様になっている

私がボーっとグレード君を見ていたら、お兄ちゃんに

「ダメだよ!グレードはこんなだからモテるんだ!!カナにはまだ早いから!惚れちゃダメ!ダメだから!」

私はジト目になった…いや見てるところ違うから
ふと見るとグレード君もジト目だ
私と、グレード君は目が合うと吹き出してしまった。

「学校でのお兄ちゃんが不安になりました」

「今みたいな感じで妹と馬とトーさんの事を語ってる。ちなみにイルの方がモテる。口悪くないし、人当たり良いからな。」

お兄ちゃんモテるんだ~~なんか分かるわぁ~うんうん頷いてしまう。
そんなお兄ちゃんは私をむぎゅむぎゅ抱っこしたまま離さない。そろそろ下りたいな。グレード君は半眼でお兄ちゃんを見ながら

「こんなベタベタする兄貴いやだよな。嫌だったらはっきり言えよ。イルは妹が結婚するまで止まりそうにない感じがする。」

「まだ5歳だから!!早いから!!うーーーーー一生僕の可愛い妹で居て!」

「そうだぞ!まだ早い!まだまだカナメにはそんな話は早いぞ!!」

いや…あのトーさんまで参戦してこないで。お爺ちゃんもおばあちゃんも微笑ましそうに笑ってないで止めて!

さっきまで言い争っていたピリッとした空気感は消滅し作戦会議をしていた室内は和やかなほわほわした空気で満たされた。
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