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愚王の崩壊
106話 ルクレチア殿下と愚王と呼ばれた王
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今、王城には、現国王と次代国王しか王族は居ない。
なぜか……先日の夜会で犯罪が発覚した第二王子は、王族席から除籍して平民となった。その後被害者のガルーダ殿の采配で貴族の妾として隔離された。もう表舞台には戻ることは無いだろう。
王妃は離縁。そして子供たちを魔族の食料として確保していた公爵家もろともお取りつぶしの上、元当主と元王妃は処刑となった。もちろん騎士団長をやっていた次男も、貴族席が無くなったので移動になり平民が務める都門騎士団勤めとなった。
第一王子は、犯罪まがいの事をしていたが、上に立つものと教えられた来た教育もあり、除籍は免れたが、王位継承権は剝奪の上、下々の苦労を生で勉強してこいっと、南の辺境伯の騎士団の一兵卒として務めることを言い渡された。そこで、役職持ち迄に、登り詰めたら、王都に帰還することを許す。そう言い渡された時の第一王子はこの世の終わりの様な顔をしていた。
今まで王妃からの妨害もあり、ルクレチアと食事を共にすることも殆どなかった。王妃と二人の王子とは食事を一緒にとっても美味しいとは思えず、週に1回の家族の食事が1ヶ月に1回・から半年に変わり…ここ何年も殆ど食事を共にすることはなかった。そんな、ルクレチアとの食事、私は緊張の思いで席に着いた。
長いテーブルのすぐ近くにルクレチアは座っていた。食事が運ばれてくる。少し体をずらしテーブルのカトラリーも取りやすいように置き、食器の入れ替えも配膳の者が動きやすい心配りをしていた。そんな息子に私は声をかけた。
「譲位への勉強はどうだ?」
「はい、執務と合わせ先生方が睡眠時間が取れるように計算して、進んでおります。」
「婚約者のアーシャ嬢とは…そのどうだ?」
「そうですね。今は忙しくて公の場でしかお会いできない状態ですが、彼女の素直な性格にすごく救われております」
彼女を思い出したのか、微笑ましそうに顔を綻ばせるルクレチアの顔は、母親のローズによく似ていた。私は胸がギュウっと引き絞られるように切なくなりながら言葉をこぼした
「お前は、母親に似て頑張り屋なのだな……お前やローズを守り切れずにすまなかった…」
私の言葉に、ルクレチアはこちらを見て、横に首を振った。
「陛下が王妃側に監視されているなど考えも及ばず、僕はあの時一人だけ辛いなどと思っていたのですね…アーシャ嬢が陛下の気持ちを教えてくれました。」
そう言ってふわっと優しく微笑んでくれたルクレチア。私は笑い返す事だけが精いっぱいだった…話をそらそうと気になった事をルクレチアに聞いた。
「お前は、そのあの場に居た真っ黒い格好の男を覚えているか…」
「あぁ、クロトさんですね。」
「クロトと言うのか?」
「陛下はご存じなかったのですか?今代の魔王候補であったかたですよ。彼の精神の強さには感服いたしました。心が強いそれだけでは語れない、何かを彼は持っている、そう感じました。」
カチャン
持っていたフォークが落ちた、急いで使用人がテーブルに新しいフォークを設置してくれたが、手が震えて止まらない……
「今代の……魔王……」
「あれ?聖女様から聞いておりませんか?」
私は聞いていない…聞いて…ハッとした…聖女は何かそう魔族に関する事を…
『良いことを教えてさしあげるわ。私が召喚された理由は魔族の活性化で国に危機が迫ったでしたっけ?それを解決してほしかったのよね。それを解決したのが彼よ。』
「あぁ……なにかそれらしいことを言っていたような…」
『彼は闇に落ちそうな精神を耐え、試練を超え、闇に飲まれず、この国の人々を人知れず助け、スタンピードを何度も単独で押さえた。人間ではありえない強さを持った彼に、貴方は頭を上げる事は出来ないのよ。ご理解できたかしら?』
あぁ今…たった今理解した…そうかそうだったんだな。私は魔王に喧嘩を売っていたのか…命があっただけよかったのか…
「陛下?彼らは今もうこの国にはおりませんよ。」
「なに?」
「譲位には見守りに行くと言い残して、隣国の祭りに行かれました。娘のカナメ嬢が魔道具が大変好きらしいのです。おねだりをされたととても嬉しそうに話していたそうです。」
「聖女に聞いたのか?」
「いえ、学園でアーシャ嬢がカナメ嬢の兄上から聞いたそうですよ。」
「は?兄も居るのか?え?学園…あのクロトと言うものは貴族なのか?」
「いえ、クロトさんは冒険者ですし、平民と聞き及んでます。」
「家族とは…?」
「血のつながりだけが家族とは言えないのでは無いですか?一緒に暮らし家族として過ごす。それも家族ですよ。父上」
ルクレチアが父上…と呼んでくれた……
「あぁ…そうだな」
私は凝り固まった何かを息子が少しづつ砕いて、砕いて、砂にしてくれて浸透しやすい様に言ってくれているような気分になった。譲位の式までにあの恐ろしい男と向き直れるように私もしっかりしなければいけないな。
しかし隣国の祭りか、あれか魔道具の祭典か…あの娘は魔道具好きなのかそうか。
フフフ、そうかそうか。
隣国で羽を伸ばしてくればいい。兄がいるならこの国には戻ってくるのだろう。次あえるのを楽しみにしておこう。
なぜか……先日の夜会で犯罪が発覚した第二王子は、王族席から除籍して平民となった。その後被害者のガルーダ殿の采配で貴族の妾として隔離された。もう表舞台には戻ることは無いだろう。
王妃は離縁。そして子供たちを魔族の食料として確保していた公爵家もろともお取りつぶしの上、元当主と元王妃は処刑となった。もちろん騎士団長をやっていた次男も、貴族席が無くなったので移動になり平民が務める都門騎士団勤めとなった。
第一王子は、犯罪まがいの事をしていたが、上に立つものと教えられた来た教育もあり、除籍は免れたが、王位継承権は剝奪の上、下々の苦労を生で勉強してこいっと、南の辺境伯の騎士団の一兵卒として務めることを言い渡された。そこで、役職持ち迄に、登り詰めたら、王都に帰還することを許す。そう言い渡された時の第一王子はこの世の終わりの様な顔をしていた。
今まで王妃からの妨害もあり、ルクレチアと食事を共にすることも殆どなかった。王妃と二人の王子とは食事を一緒にとっても美味しいとは思えず、週に1回の家族の食事が1ヶ月に1回・から半年に変わり…ここ何年も殆ど食事を共にすることはなかった。そんな、ルクレチアとの食事、私は緊張の思いで席に着いた。
長いテーブルのすぐ近くにルクレチアは座っていた。食事が運ばれてくる。少し体をずらしテーブルのカトラリーも取りやすいように置き、食器の入れ替えも配膳の者が動きやすい心配りをしていた。そんな息子に私は声をかけた。
「譲位への勉強はどうだ?」
「はい、執務と合わせ先生方が睡眠時間が取れるように計算して、進んでおります。」
「婚約者のアーシャ嬢とは…そのどうだ?」
「そうですね。今は忙しくて公の場でしかお会いできない状態ですが、彼女の素直な性格にすごく救われております」
彼女を思い出したのか、微笑ましそうに顔を綻ばせるルクレチアの顔は、母親のローズによく似ていた。私は胸がギュウっと引き絞られるように切なくなりながら言葉をこぼした
「お前は、母親に似て頑張り屋なのだな……お前やローズを守り切れずにすまなかった…」
私の言葉に、ルクレチアはこちらを見て、横に首を振った。
「陛下が王妃側に監視されているなど考えも及ばず、僕はあの時一人だけ辛いなどと思っていたのですね…アーシャ嬢が陛下の気持ちを教えてくれました。」
そう言ってふわっと優しく微笑んでくれたルクレチア。私は笑い返す事だけが精いっぱいだった…話をそらそうと気になった事をルクレチアに聞いた。
「お前は、そのあの場に居た真っ黒い格好の男を覚えているか…」
「あぁ、クロトさんですね。」
「クロトと言うのか?」
「陛下はご存じなかったのですか?今代の魔王候補であったかたですよ。彼の精神の強さには感服いたしました。心が強いそれだけでは語れない、何かを彼は持っている、そう感じました。」
カチャン
持っていたフォークが落ちた、急いで使用人がテーブルに新しいフォークを設置してくれたが、手が震えて止まらない……
「今代の……魔王……」
「あれ?聖女様から聞いておりませんか?」
私は聞いていない…聞いて…ハッとした…聖女は何かそう魔族に関する事を…
『良いことを教えてさしあげるわ。私が召喚された理由は魔族の活性化で国に危機が迫ったでしたっけ?それを解決してほしかったのよね。それを解決したのが彼よ。』
「あぁ……なにかそれらしいことを言っていたような…」
『彼は闇に落ちそうな精神を耐え、試練を超え、闇に飲まれず、この国の人々を人知れず助け、スタンピードを何度も単独で押さえた。人間ではありえない強さを持った彼に、貴方は頭を上げる事は出来ないのよ。ご理解できたかしら?』
あぁ今…たった今理解した…そうかそうだったんだな。私は魔王に喧嘩を売っていたのか…命があっただけよかったのか…
「陛下?彼らは今もうこの国にはおりませんよ。」
「なに?」
「譲位には見守りに行くと言い残して、隣国の祭りに行かれました。娘のカナメ嬢が魔道具が大変好きらしいのです。おねだりをされたととても嬉しそうに話していたそうです。」
「聖女に聞いたのか?」
「いえ、学園でアーシャ嬢がカナメ嬢の兄上から聞いたそうですよ。」
「は?兄も居るのか?え?学園…あのクロトと言うものは貴族なのか?」
「いえ、クロトさんは冒険者ですし、平民と聞き及んでます。」
「家族とは…?」
「血のつながりだけが家族とは言えないのでは無いですか?一緒に暮らし家族として過ごす。それも家族ですよ。父上」
ルクレチアが父上…と呼んでくれた……
「あぁ…そうだな」
私は凝り固まった何かを息子が少しづつ砕いて、砕いて、砂にしてくれて浸透しやすい様に言ってくれているような気分になった。譲位の式までにあの恐ろしい男と向き直れるように私もしっかりしなければいけないな。
しかし隣国の祭りか、あれか魔道具の祭典か…あの娘は魔道具好きなのかそうか。
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