安全第一異世界生活

文字の大きさ
173 / 244
番外編・召喚された者達

172話 番外編 曽根さんと山田君の異世界生活 ②

しおりを挟む
宿の食堂は宿泊客は決まったメニューが出される。が、希望して追加料金払えば、聖女様の考案メニューに変更ができる。日本ではよくあるシステムだけど、この世界ではなかなか珍しいそうで、聖女様考案メニューを申し込んだ時、良く知っていたなっと感心されてしまった。カレーが食べたい一心で受付所の美人ねーさんに確認したからね。

キッチンから凄く懐かしいスパイシーな食欲をそそる香りがしてきた。少しして運ばれてきたトレーを見るとご飯にグレイビーボートに入ったカレー。野菜サラダに、スープとセット。日本ではよく見るセットに山田の目じりに感動の涙がたまっている。
そっか…山田はこちらに来てから21年たってるんだよね…
二人で手を合わせて「「いただきます」」と言うと、辺りから暖かい視線を向けられた。アタシ達二人は首を傾げ、ご飯にカレーを少し欠けパクっと一口、久々の懐かしいカレーに頬が緩む。目の前の山田は、もぐもぐと咀嚼しながら、涙を流していた。

「またカレーが食べれるなんて…嬉しい…美味しい」

そう言いながら、ご飯に残りのカレーを一気に注ぎ、もぐもぐと泣きながら食べ続け感動して泣いている山田を前に、アタシも静かに山田を見ながらご飯を食べた。小食の山田にしては珍しくカレーを恥ずかしそうにお代わりする姿についつい頬が緩んだ。

「ごちそうさまでした」山田が手を合わせて挨拶をするとクスクスと隣のテーブルに座っている女性に笑われた。私たちは首を傾げて女性を見ると、

「ごめんなさいね。懐かしくてつい」

女性のテーブルには、金髪のイケメン顔のお兄さんも居て、ニコニコこちらを見ていた。

「君たちが案内所に現れた聖女様と会いたい人たちなのだろ?容姿的には日本人ぽくはなさそうだけど?カナメちゃん位分かりやすければ良いんだけど」

「エド、女の子の方は日本人よ。髪は毛染めして金髪にしているの。ほら根元が黒くなってるでしょ。私もこちらに召喚された頃は、栗色に毛を染めていたのよ。懐かしいわ、ふふふ。男の子の方は地毛よね?元から茶色いのかしら?」

ニコニコと話し始める二人の会話を聞いて、ビックリした。

「え?聖女様?」

女性はニッコリ笑って

「フフフ、三神彩音と言います。ここに召喚されて20年経つの。よろしくね」

「あ!えっと僕は、21年前にこちらに転生した、山田力輝(ヤマダリキ)と言います。こちらの世界での名前はバートン・ナイジェルでしたが、曽根さんと一緒に旅に出る為勘当されて、バートンになりました」

エドと呼ばれた男性と聖女様は、山田の言葉に二人してびっくりしながらも、嬉しそうにしている。山田の自己紹介にアタシが嬉しくてニコニコ山田を見ていると、二人の視線を気にして山田が、

「曽根さん僕を見てないで自己紹介は?ねぇ曽根さん恥ずかしいから」

あぁ照れた山田もかわいい。デレデレしながら、聖女様をみて頭を掻きながら

「えっと、曽根ミホです。こっちに召喚されて2カ月くらいかな?一緒に召喚された友達に彼ぴが出来たので、安心して国を出奔してきました。あ!!大丈夫。ひとまず騎士団長とか偉い人には言ってきたから」

「あら?複数人召喚されたの?」

「3人。勇者って呼ばれたサイコヤローに、大和なでしこ美人の魔法使いに、聖女って呼ばれたアタシ。の3人。聖女とか絶対アタシの柄じゃないのよ!!絶対紬木の方が似合ったのにねぇ」

三神さんはクスクスと笑う。エドさんがぶつぶつと呟く

「複数人ってあれかな魔力媒体使っての召喚かな…それとも魔法使いを潰したか…ろくでもない…」

その言葉を聞いていた山田がおずおずと手を上げた

「あの…分かればで良いのですが、お聞きしたいです。僕曽根さんが召喚される3ヵ月前に事故にあいあちらの世界で死んだんです。気がついたらこちらの世界に産まれ落ちてて21年。そして2カ月前に召喚された曽根さんに会いました。時間が全然違うんです」

エドさんが顎に手を当て首をかしげる

「時間軸が違うと」

「そうです」

その二人の会話を聞き、アー確かにそうだなと納得した。山田同い年だったのに、こっちだと5歳も年上だもんね。二人の会話を聞きながらずっと山田が気にしていたんだと初めて知った。アタシが山田たちを見たら三神さんがニコニコとアタシを見てて首を傾げた。

「ミホさんは気にならないのね」

「時間?確かに山田が5歳とかだったら気にするけど、今の年齢差だったら結婚できるし、一緒に入れるなら大丈夫。山田が側に居てくれるなら気にならない」

アタシの言葉に山田が真っ赤になるし、エドさんも三神さんもクスクス笑う。エドさんが

「ベタ惚れだね」

山田の肩を叩きながら私に言うので、素直に気持ちを伝えた

「山田以外アタシの中でありえないから」

顔を真っ赤ににした山田が視線を泳がせながら

「僕も曽根さんが奥さんになって欲しいです」

それを聞いたアタシはテーブルが間にあるのも構わず山田の頭を引き寄せてお互いの頭をくっつけグリグリとして喜んだ。エドさんが口笛で「ヒュー」と音を鳴らし
、食堂に居た他のお客さんからも「お熱いね」とか「兄ちゃん茹でだこじゃないか」
「ねーちゃん大胆だな」とかいろいろ言われた。でもそんなこと良いんだ。山田が居てアタシが居る。それが幸せ。山田を離してニコニコ顔のアタシ。嬉しそうにはにかむ山田。私たちを見ていたエドさんと、三神さんは顔を見合わせて頷いた。

「ミホさん達は、良ければしばらく私の近くでこの世界を学びませんか?カレーの様に過去の異世界人が残した食が残る国も教えてあげられますよ。あと山田さんが喜びそうなお料理も一緒に」

アタシ達は顔を見合わせ、頷いた。

「「ぜひお願いします」」

二人の声が重なって大きく食堂に響いた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~

杵築しゅん
ファンタジー
 戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。  3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。  家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。  そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。  こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。  身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
 農家の四男に転生したルイ。   そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。  農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。  十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。   家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。   ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる! 見切り発車。不定期更新。 カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...