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第2話 世界樹に登る悪役令嬢
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目覚めた時に居た、テレーズさんと言うメイドさんが付き添いで、魔法学園へ。
ルーシーは伯爵令嬢なのに、メイドさんが一人しか居ないし、そもそも誰も送り出してくれなかった。
どうしてだろうかと思い、行きの馬車の中で聞いてみたら……ルーシーはこの家の子供ではないらしい。
幼い頃に病気で両親を亡くし、親族をたらい回しにされ、ようやく全寮制の魔法学園に入学する年齢になったのだとか。
さっき私が倒れていたのも、あの家の本当の子供たちに、魔法の練習と称して、攻撃魔法の実験台に……って、流石に酷すぎない!?
……だからルーシーは、幸せそうな主人公に突っ掛かっていたのかな?
「ルーシー様。私がお供できるのは、この学園の門までです。突然私の名前を教えて欲しいと言ったり、ご両親の事を聞いてきたり……正直不安しかありませんが、また週末に参りますので、ひとまず一週間頑張ってください」
そう言って、テレーズさんが帰っていく。
テレーズさんは、ルーシーが主人公にちょっかいを掛けた後、謝りに来るキャラだ。
その際に、時々謝罪の品として、アイテムをくれたりするんだけど、私にもくれないかしら?
パラメータアップ系のアイテムだから、結構有益なんだけどな。
「……って、よく考えたら、今は自由に何処でも行ける、めちゃくちゃ貴重な時間じゃない? もしかして、ゲーム後半にならないと行けない場所にも行けたりして」
物は試しと、初めて来るのに、隅々まで知っている学園内を歩き、まずはルーシーの部屋へ行って荷物を置く。
それから学園の裏門へ行って、その先にある森へ……行けた!
普通は門で警備兵に止められて外に出られないのに、そもそも兵士さんたちが居ない。まだゲームが始まっていないからかな?
森の奥にある世界樹は、エンディングで主人公が攻略対象に呼び出され、告白される場所なんだよね……と、それはさて置き、風魔法で空を飛び、その樹の上に行くと、主人公の最強の武器、世界樹の杖が手に入るのよね。
世界樹の根元へやって来たので、早速……って思ったんだけど、
「魔法って、どうやって使うのっ!?」
ゲームなら、コントローラーで選択してボタンを押すだけなんだけど、ここでの魔法の使い方が分からない。
「し、仕方ないわね。こうなったら……木登りよっ!」
正直、魔法の使い方を学んでから来た方が楽ではあるけど、次にここへ来られるのは最短で二年後になってしまう。
強い杖があれば、強力な魔法も使えるし、これは何としても、今手に入れておかなきゃ!
「えぃっ! ん……とぉっ!」
ふふっ。懐かしいな。小学生の頃は、こうしてクラスの男子と一緒に木登りしたりして遊んでいたもんね。
……最終的に、引きこもりになって、ゲームばかりしていたけど。
でも、今は魔法学園入学直前の十五歳の身体だから、ちょっと大きな樹だけど、これくらい……やった! 登り切った!
何メートルあるか分からないけど、かなり高い場所まで登り、目的の……あった! 世界樹の杖だっ!
最後の最後で落ちないよう、慎重に手を伸ばし……やった! 手に入れたわっ!
本来、ゲーム終盤で手に入れる武器を手にして、これでかなりスキル習得イベントや、称号習得が楽になると思っていると、
『ふふっ。まさか魔法を使わずに、ここまで登って来る者が居るなんてね』
突然、聞いた事の無い声が響き渡る。
「だ、誰ですかっ!?」
『私よ。貴女が今乗っている、世界樹よ』
「……え? えぇぇぇっ!? せ、世界樹……いえ、世界樹さんって喋るんですね!?」
『えぇ。喋るというより、魔法の力で話し掛けているんだけどね』
知らなかった。
これはゲームとの差異? それとも、ゲームにもあった設定なの?
……ううん。そもそも、ゲームの中では木登りなんて出来なかったから、やっぱりこの世界独自の現象なんだ!
そんな事を考えていると、再び世界樹さんが話し掛けてきた。
『貴女は面白い女性ですね。もう何年もここで学園の生徒や教師を見てきましたが、私に登ろうとしたのは、貴女が初めてです』
「あ、あはは……すみません」
『それに、貴女は一度魂が入れ替わっている……のですか? 普通の人間とは何か違う気がします』
「あー、実は……」
何となく隠し事が出来ない気がしたので、私が日本という世界に居た事や、何らかの理由でルーシーという女性に、おそらく転生してしまっている事を話す。
『なるほど。では、勝手が違って困る事も多いでしょう。これも何かの縁です。これから、私が貴女に力を貸してあげましょう』
「えっ!? 宜しいのですか?」
『はい。先程話した通り、貴女は面白そうですしね。私はユリアナ。これから、宜しくお願い致しますね』
「こ、こちらこそ、宜しくお願い致します」
アイテム目当てで世界樹に登ったら、その世界樹にサポートして貰える事になってしまった。
ルーシーは伯爵令嬢なのに、メイドさんが一人しか居ないし、そもそも誰も送り出してくれなかった。
どうしてだろうかと思い、行きの馬車の中で聞いてみたら……ルーシーはこの家の子供ではないらしい。
幼い頃に病気で両親を亡くし、親族をたらい回しにされ、ようやく全寮制の魔法学園に入学する年齢になったのだとか。
さっき私が倒れていたのも、あの家の本当の子供たちに、魔法の練習と称して、攻撃魔法の実験台に……って、流石に酷すぎない!?
……だからルーシーは、幸せそうな主人公に突っ掛かっていたのかな?
「ルーシー様。私がお供できるのは、この学園の門までです。突然私の名前を教えて欲しいと言ったり、ご両親の事を聞いてきたり……正直不安しかありませんが、また週末に参りますので、ひとまず一週間頑張ってください」
そう言って、テレーズさんが帰っていく。
テレーズさんは、ルーシーが主人公にちょっかいを掛けた後、謝りに来るキャラだ。
その際に、時々謝罪の品として、アイテムをくれたりするんだけど、私にもくれないかしら?
パラメータアップ系のアイテムだから、結構有益なんだけどな。
「……って、よく考えたら、今は自由に何処でも行ける、めちゃくちゃ貴重な時間じゃない? もしかして、ゲーム後半にならないと行けない場所にも行けたりして」
物は試しと、初めて来るのに、隅々まで知っている学園内を歩き、まずはルーシーの部屋へ行って荷物を置く。
それから学園の裏門へ行って、その先にある森へ……行けた!
普通は門で警備兵に止められて外に出られないのに、そもそも兵士さんたちが居ない。まだゲームが始まっていないからかな?
森の奥にある世界樹は、エンディングで主人公が攻略対象に呼び出され、告白される場所なんだよね……と、それはさて置き、風魔法で空を飛び、その樹の上に行くと、主人公の最強の武器、世界樹の杖が手に入るのよね。
世界樹の根元へやって来たので、早速……って思ったんだけど、
「魔法って、どうやって使うのっ!?」
ゲームなら、コントローラーで選択してボタンを押すだけなんだけど、ここでの魔法の使い方が分からない。
「し、仕方ないわね。こうなったら……木登りよっ!」
正直、魔法の使い方を学んでから来た方が楽ではあるけど、次にここへ来られるのは最短で二年後になってしまう。
強い杖があれば、強力な魔法も使えるし、これは何としても、今手に入れておかなきゃ!
「えぃっ! ん……とぉっ!」
ふふっ。懐かしいな。小学生の頃は、こうしてクラスの男子と一緒に木登りしたりして遊んでいたもんね。
……最終的に、引きこもりになって、ゲームばかりしていたけど。
でも、今は魔法学園入学直前の十五歳の身体だから、ちょっと大きな樹だけど、これくらい……やった! 登り切った!
何メートルあるか分からないけど、かなり高い場所まで登り、目的の……あった! 世界樹の杖だっ!
最後の最後で落ちないよう、慎重に手を伸ばし……やった! 手に入れたわっ!
本来、ゲーム終盤で手に入れる武器を手にして、これでかなりスキル習得イベントや、称号習得が楽になると思っていると、
『ふふっ。まさか魔法を使わずに、ここまで登って来る者が居るなんてね』
突然、聞いた事の無い声が響き渡る。
「だ、誰ですかっ!?」
『私よ。貴女が今乗っている、世界樹よ』
「……え? えぇぇぇっ!? せ、世界樹……いえ、世界樹さんって喋るんですね!?」
『えぇ。喋るというより、魔法の力で話し掛けているんだけどね』
知らなかった。
これはゲームとの差異? それとも、ゲームにもあった設定なの?
……ううん。そもそも、ゲームの中では木登りなんて出来なかったから、やっぱりこの世界独自の現象なんだ!
そんな事を考えていると、再び世界樹さんが話し掛けてきた。
『貴女は面白い女性ですね。もう何年もここで学園の生徒や教師を見てきましたが、私に登ろうとしたのは、貴女が初めてです』
「あ、あはは……すみません」
『それに、貴女は一度魂が入れ替わっている……のですか? 普通の人間とは何か違う気がします』
「あー、実は……」
何となく隠し事が出来ない気がしたので、私が日本という世界に居た事や、何らかの理由でルーシーという女性に、おそらく転生してしまっている事を話す。
『なるほど。では、勝手が違って困る事も多いでしょう。これも何かの縁です。これから、私が貴女に力を貸してあげましょう』
「えっ!? 宜しいのですか?」
『はい。先程話した通り、貴女は面白そうですしね。私はユリアナ。これから、宜しくお願い致しますね』
「こ、こちらこそ、宜しくお願い致します」
アイテム目当てで世界樹に登ったら、その世界樹にサポートして貰える事になってしまった。
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