悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人

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第1話 気付いたら悪役令嬢でした

「えっ!? えぇぇっ!? ここは……?」

 目が覚めると、見た事の無い薄汚れた部屋にいた。
 部屋の中には、ボロボロのベッドが一つと、大きな鞄が一つだけ。
 ここは一体どこなのだろうかと思っていると、

「あ、ルーシー様。お気付きになられましたか。ダメですよ。いくら坊ちゃまたちの御命令とはいえ、杖も持たずに魔法の訓練へ参加するなんて。今回は気絶で良かったですが、そんな事をしていたら、死んでしまいますからね?」

 見た事の無い金髪のメイドさんが居た。
 メイド服なんて、ゲームやアニメの中でしか見た事ないけど……って、待って。
 今の人、見た事あるんだけど!
 私がハマりまくっていた、『ときめきメイト』っていう恋愛シミュレーションゲームに出てくる、悪役令嬢付きのメイドさんだ。
 凄くそっくり……って、待って!
 さっきの人、私の事をルーシーって呼んだ!?
 それ、ときめきメイト……略して、ときメイに出てくる悪役令嬢なんだけどっ!

「あ、あの。どこかに鏡はないでしょうか?」
「え? ルーシー様、本当に大丈夫ですか? 話し方が変で……えっと、鏡ですよね? こちらにございますが……」

 メイドさんから渡された手鏡を見てみると、そこに映っていたのは、銀色の髪をアップにしたルーシーその人で……つまり私は、ときメイのゲームの中に入ってしまっていて、何故か悪役令嬢になっていると。
 ……だ、ダメよっ! ルーシーはバッドエンド確定で、三年間の魔法学園での生活で誰とも結ばれず、さらに卒業後は未開の地へ飛ばされて、孤独で悲惨な人生を過ごすんだから。

 ……あれ? でも、未開の地は困り物だけど、孤独って良いかも。
 どうして今日、前世の記憶が戻ったのかは分からないけど、私は家で延々とゲームをしているだけの引きこもりだったからね。
 ブラック企業に就職し、毎日厳し過ぎるノルマと残業で心を病んで、実家に帰って自分の部屋から出ず……そうだ! ここがときメイの世界なら、私はありとあらゆる情報を持っている。
 攻略対象の行動パターンから、スキルや称号の取得方法に、効率の良いステータスの上げ方まで。
 一人一人のエンディングはもちろん、一度に全員と付き合う逆ハーレムエンドっていう激ムズルートだって攻略した!
 だったら、私が持つ知識をフル稼働させて、攻略対象を避けて余計な時間を使わないようにしつつ、未開の地で生きていく為に必要なスキルを取りまくれば良いんじゃないかしら?

「えっと、これから私は魔法学園に入学したりするんじゃないかなーって思っているんだけど、それっていつ頃か知ってたりします?」
「あの、ルーシー様。何を仰っているのですか?」
「あ……もしかして、そんな話は全く出て居ないとか? それなら……」
「そうではなくて、明日ですよ。あんなに心待ちにされていたじゃありませんか。ようやく、自分の居場所が出来ると」

 あ、明日っ!? えっ!? じゃあ、今はゲームのオープニングの前日なの!?
 というか、自分の居場所が出来るって何!? ルーシーは伯爵令嬢じゃないの?
 まぁ、細かい事はいいか。
 ひとまず、私の目標はただ一つ。
 卒業後に待ち受ける未開の地へ追いやられた後に、一人で生きていく為のスキルを身に付ける事!
 どうやったって、ルーシーに恋人は出来ないんだから、そういう事には一切時間を割かず、ひたすら自分磨きをするのよっ!
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