3 / 70
第3話 近距離転移魔法
しおりを挟む
「あの、ユリアナさん」
『ユリアナで良いですよ。どうかしましたか?』
「あの、この世界で魔法って、どうやって使うんですか?」
『なるほど。普通は六歳までには魔法の使い方を身に付けているものですが……わかりました。では、これでどうでしょう』
ユリアナさんがそう言うと、突然目の前に綺麗な緑髪の女性が現れた。
物凄く驚いたけど、ユリアナさんの分身みたいなものらしい。
そのユリアナさんが、手取り足取り丁寧に教えてくれて……うん、ダメだった。
この世界では、上手い下手はあるものの、ほぼ全ての人が魔法を使う事が出来るらしいので、全く使えないのはマズいらしい。
というか、明日から魔法学園の授業を受けるのに、魔法が使えないってダメだよね。
『うーん……では、こうしましょう。見た所、魔力の使い方が体得出来ていないだけで魔力自体はあるので、ルーシーさんが魔法の名前を言ってくだされば、私が代わりにその魔法を発動させましょう』
「あ、ありがとうございますっ! 凄く……凄く助かります」
『いえいえ、お気になさらず。ただ、あくまで私は発動させるだけです。その魔法の効果が、どれ程の効力になるかは、ルーシーさん次第です』
なるほど。魔法は使えるけど、ゲームと同じようにステータスを上げたり、スキルを獲得しないと、望んだ効果が得られないって事ね。
『ちなみに、私は木属性の魔法を全て使う事が出来るのですが、火属性の魔法は一切使えません。水属性、風属性、土属性も、それなりにしか使えないので、気を付けてくださいね』
「そうなんですね……って、木属性って、何ですか!? ゲーム……こほん。この世界は、火水風土の四つではないのですか?」
『いえ。それに木属性を加えた五つです。とはいえ、木魔法の事を知っている人が少ないと思いますが』
うん、知らない。というか、ゲームに木魔法なんて出てこなかったし。
とりあえず、ゲームと同じ世界ではあるけど、全く同じではないみたいだから、気を付けないとね。
あとユリアナさんとは、この世界樹の杖を介して話をしているらしいので、近くにこの杖が無いと話したり、魔法が使えなかったりするので、気を付けないと。
「ありがとうございました。暗くなって来たので、そろそろ寮に戻りますね」
『わかりました。では、寮の近くまでお送りしますね』
「えっ!? そんな事が出来るんですか!?」
『えぇ。ただ、行けるのは木がある場所だけですが。あと、今回は私がお送りするので、寮へ一瞬で戻れますが、今のルーシーさんの魔力だと、同じ魔法でここへ戻ってくるのは無理ですね。せいぜい……学園の裏の森あたりかしら』
「いえ、それでも全然凄いですよ! 木魔法、凄いです!」
魔法学園の裏にある森は、この世界樹があるだけではなく、ダンジョンもあるのよね。
ゲームでは三年生になってからしか入れないけど、ダンジョンはステータスの成長が凄いし、そこでしか得られないスキルもあるから早く行けるようになるのは非常に助かる。
だけど問題もあって、ダンジョンの中は魔物が出るので、誰かに守って貰わないといけない。
ゲームでは、攻略対象のイケメンに守ってもらいながら、イケメンを応援……もとい支援するだけで良いんだけど、果たして悪役令嬢のルーシーと一緒にダンジョンへ入ってくれる人が居るかな?
『では、そろそろいきますよ?』
「はい、お願いします」
『≪ゲート≫』
ユリアナさんの言葉と共に、黒い洞穴みたいな物が目の前に現れる。
その中へ入ると、一瞬で景色が変わり……周囲を見る限り、寮のすぐ裏らしい。
目の前の部屋がルーシーの部屋なので、窓を開けておけば、そのまま部屋に戻れそうだ。
「この木から出て来た感じなのかな?」
『そうですよ』
「ユリアナさん!? あれ? こんな所まで来られるんですか?」
『えぇ。その世界樹の杖の近くか、木がある場所までは行けますから』
「じゃあ、試しにさっきのゲートっていう魔法を使ってみても良いですか?」
『はい、構いませんよ。行きたい場所を思い描いて、ゲートと言ってください。ただ、遠くにはいけませんが』
一瞬、日本の家の近所にある公園を思い描いたけど、釘を刺されたので、裏の森の中で、ダンジョンからも世界樹からも離れ、人が来なさそうな場所を思い描き、
「≪ゲート≫」
ユリアナに教えてもらった言葉を口にすると、目の前の木に黒い洞穴が現れた。
中へ入ってみると、思い描いた通りの場所に出る。
うん。入学式前に、凄い魔法が使えるようになってしまった。
『ユリアナで良いですよ。どうかしましたか?』
「あの、この世界で魔法って、どうやって使うんですか?」
『なるほど。普通は六歳までには魔法の使い方を身に付けているものですが……わかりました。では、これでどうでしょう』
ユリアナさんがそう言うと、突然目の前に綺麗な緑髪の女性が現れた。
物凄く驚いたけど、ユリアナさんの分身みたいなものらしい。
そのユリアナさんが、手取り足取り丁寧に教えてくれて……うん、ダメだった。
この世界では、上手い下手はあるものの、ほぼ全ての人が魔法を使う事が出来るらしいので、全く使えないのはマズいらしい。
というか、明日から魔法学園の授業を受けるのに、魔法が使えないってダメだよね。
『うーん……では、こうしましょう。見た所、魔力の使い方が体得出来ていないだけで魔力自体はあるので、ルーシーさんが魔法の名前を言ってくだされば、私が代わりにその魔法を発動させましょう』
「あ、ありがとうございますっ! 凄く……凄く助かります」
『いえいえ、お気になさらず。ただ、あくまで私は発動させるだけです。その魔法の効果が、どれ程の効力になるかは、ルーシーさん次第です』
なるほど。魔法は使えるけど、ゲームと同じようにステータスを上げたり、スキルを獲得しないと、望んだ効果が得られないって事ね。
『ちなみに、私は木属性の魔法を全て使う事が出来るのですが、火属性の魔法は一切使えません。水属性、風属性、土属性も、それなりにしか使えないので、気を付けてくださいね』
「そうなんですね……って、木属性って、何ですか!? ゲーム……こほん。この世界は、火水風土の四つではないのですか?」
『いえ。それに木属性を加えた五つです。とはいえ、木魔法の事を知っている人が少ないと思いますが』
うん、知らない。というか、ゲームに木魔法なんて出てこなかったし。
とりあえず、ゲームと同じ世界ではあるけど、全く同じではないみたいだから、気を付けないとね。
あとユリアナさんとは、この世界樹の杖を介して話をしているらしいので、近くにこの杖が無いと話したり、魔法が使えなかったりするので、気を付けないと。
「ありがとうございました。暗くなって来たので、そろそろ寮に戻りますね」
『わかりました。では、寮の近くまでお送りしますね』
「えっ!? そんな事が出来るんですか!?」
『えぇ。ただ、行けるのは木がある場所だけですが。あと、今回は私がお送りするので、寮へ一瞬で戻れますが、今のルーシーさんの魔力だと、同じ魔法でここへ戻ってくるのは無理ですね。せいぜい……学園の裏の森あたりかしら』
「いえ、それでも全然凄いですよ! 木魔法、凄いです!」
魔法学園の裏にある森は、この世界樹があるだけではなく、ダンジョンもあるのよね。
ゲームでは三年生になってからしか入れないけど、ダンジョンはステータスの成長が凄いし、そこでしか得られないスキルもあるから早く行けるようになるのは非常に助かる。
だけど問題もあって、ダンジョンの中は魔物が出るので、誰かに守って貰わないといけない。
ゲームでは、攻略対象のイケメンに守ってもらいながら、イケメンを応援……もとい支援するだけで良いんだけど、果たして悪役令嬢のルーシーと一緒にダンジョンへ入ってくれる人が居るかな?
『では、そろそろいきますよ?』
「はい、お願いします」
『≪ゲート≫』
ユリアナさんの言葉と共に、黒い洞穴みたいな物が目の前に現れる。
その中へ入ると、一瞬で景色が変わり……周囲を見る限り、寮のすぐ裏らしい。
目の前の部屋がルーシーの部屋なので、窓を開けておけば、そのまま部屋に戻れそうだ。
「この木から出て来た感じなのかな?」
『そうですよ』
「ユリアナさん!? あれ? こんな所まで来られるんですか?」
『えぇ。その世界樹の杖の近くか、木がある場所までは行けますから』
「じゃあ、試しにさっきのゲートっていう魔法を使ってみても良いですか?」
『はい、構いませんよ。行きたい場所を思い描いて、ゲートと言ってください。ただ、遠くにはいけませんが』
一瞬、日本の家の近所にある公園を思い描いたけど、釘を刺されたので、裏の森の中で、ダンジョンからも世界樹からも離れ、人が来なさそうな場所を思い描き、
「≪ゲート≫」
ユリアナに教えてもらった言葉を口にすると、目の前の木に黒い洞穴が現れた。
中へ入ってみると、思い描いた通りの場所に出る。
うん。入学式前に、凄い魔法が使えるようになってしまった。
414
あなたにおすすめの小説
婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。
魔物が棲む森に捨てられた私を拾ったのは、私を捨てた王子がいる国の騎士様だった件について。
imu
ファンタジー
病院の帰り道、歩くのもやっとな状態の私、花宮 凛羽 21歳。
今にも倒れそうな体に鞭を打ち、家まで15分の道を歩いていた。
あぁ、タクシーにすればよかったと、後悔し始めた時。
「—っ⁉︎」
私の体は、眩い光に包まれた。
次に目覚めた時、そこは、
「どこ…、ここ……。」
何故かずぶ濡れな私と、きらびやかな人達がいる世界でした。
【完結】そうは聖女が許さない〜魔女だと追放された伝説の聖女、神獣フェンリルとスローライフを送りたい……けど【聖水チート】で世界を浄化する〜
阿納あざみ
ファンタジー
光輝くの玉座に座るのは、嘘で塗り固められた偽りの救世主。
辺境の地に追いやられたのは、『国崩しの魔女』の烙印を押された、本物の奇跡。
滅びゆく王国に召喚されたのは、二人の女子高生。
一人は、そのカリスマ性で人々を魅了するクラスの女王。
もう一人は、その影で虐げられてきた私。
偽りの救世主は、巧みな嘘で王国の実権を掌握すると、私に宿る“本当の力”を恐れるがゆえに大罪を着せ、瘴気の魔獣が跋扈する禁忌の地――辺境へと追放した。
だが、全てを失った絶望の地でこそ、物語は真の幕を開けるのだった。
△▼△▼△▼△▼△
女性HOTランキング5位ありがとうございます!
婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
【完結】追放された元聖女は、冒険者として自由に生活します!
夏芽みかん
ファンタジー
生まれながらに強大な魔力を持ち、聖女として大神殿に閉じ込められてきたレイラ。
けれど王太子に「身元不明だから」と婚約を破棄され、あっさり国外追放されてしまう。
「……え、もうお肉食べていいの? 白じゃない服着てもいいの?」
追放の道中出会った剣士ステファンと狼男ライガに拾われ、冒険者デビュー。おいしいものを食べたり、可愛い服を着たり、冒険者として仕事をしたりと、外での自由な生活を楽しむ。
一方、魔物が出るようになった王国では大司教がレイラの回収を画策。レイラの出自をめぐる真実がだんだんと明らかになる。
※表紙イラストはレイラを月塚彩様に描いてもらいました。
【2025.09.02 全体的にリライトしたものを、再度公開いたします。】
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる