17 / 70
第17話 異世界で目指す和食
しおりを挟む
「え? セシル。今のは一体何なの?」
「んーと、何だろー? 出ろーって思いながら手を振ると出るよー」
「そ、そうなんだ」
おそらく何かしらの風の魔法だと思うんだけど、それを魔法だと認識せずに使えちゃうのね。
聞けば、リンゴを食べて魔力が上がる前から使えたそうなので、私が生やしたリンゴで変な事になってしまった訳ではなさそうだ。
私もセシルみたいに、早く火魔法を使えるようにならなきゃ。
それはさておき、セシルが斬ってくれた稲穂を集め、幾つかの束に分ける。
私のゲーム知識によると、これを木の棒とかに引っ掛けて乾かすんだけど……
「ねぇ、ユリアナ。何かを乾かす魔法ってあったりするのかな?」
『ありますよー』
あるんだ! 流石、異世界。何でもありね。
ときメイのゲームでは、乾かす魔法なんて無かったけど、移動や戦闘に全く関係無さそうだもんね。
早速教えてもらった魔法を使い、稲を乾かす。
それから、次が脱穀作業と籾摺りっていう、乾かした稲から、籾を外して、籾殻を外す作業なんだけど、大変そうだなと思ってどうしようかと思っていたら、
『何か壺のような物があれば、すぐに終わりますよー』
と、サラッとユリアナが凄い事を言ってくれた。
この二つの作業は、かなり手間が掛かりそうなのに、すぐ終わるって。
とりあえず、転送魔法で急いで寮へ戻ると、薄暗い寮の中をコソコソと歩く。
ふっふっ……ときメイでアイテムが入手出来る場所がないかなって、寮の中は歩き尽くしているからね。
家の中のタンスを漁り、壺を調べるのはゲームの基本よねっ!
「よし、壺げっと!」
寮の隅にある、空の壺が沢山並んでいる部屋から手頃な大きさの壺を一つ拝借すると、急いで寮の裏へ。
そこから再びセシルの所へ戻り、ユリアナの指示に従って、壺の中へ稲を入れていく。
『では、弱めに……かなり弱めに、その壺の中へ竜巻を起こしましょう』
「竜巻!?」
『はい。壺の中で稲をかき回し、身と殻を分けちゃうんです』
なるほど。
とりあえずやってみる価値はありそうなので、教えて貰った竜巻の魔法を、かなり弱い気持ちで使ってみる。
「≪トルネード≫」
蓋の代わりにした木の板の下で、ゴウンゴウンと壺の中が物凄い勢いで回っているように思えるんだけど、これ……割れないかな?
内心不安に思いつつ、暫くして回転が止まったので、蓋を開けてみる。
とりあえず、上手くお米と籾が分かれていそうなんだけど、完全に取れている訳ではなさそうだから、不要な物を取り除いて、もう一回やってみる事に。
二回目の竜巻を終えて、再び蓋を開けると、不要な籾とかを取り除き……
「で、出来たんじゃないかなっ!? 白米……と言えない物もあるけど、玄米って感じだよねっ!」
白米と玄米、その中間の状態のお米が私の手にっ!
やった! ついにお米を手に入れたわっ!
次はカマド……って、調理器具とかが無かった。
「……寮の食堂でキッチンを借りられないかな? とりあえず、早くお米が食べたくなっちゃったよ」
『どうですかね。流石に私もそこまではわからないので、とりあえず聞いてみては良いのではないでしょうか』
ふふっ……ご飯よ、ご飯。
あっ、お味噌……は、ないだろうから、生卵とか?
でも、醤油も無いんだろうな。
まだまだ欲しい物は沢山あるけど、とりあえず最初の第一歩がようやく形になったので、先ずはその味を確認してみる事にした。
「んーと、何だろー? 出ろーって思いながら手を振ると出るよー」
「そ、そうなんだ」
おそらく何かしらの風の魔法だと思うんだけど、それを魔法だと認識せずに使えちゃうのね。
聞けば、リンゴを食べて魔力が上がる前から使えたそうなので、私が生やしたリンゴで変な事になってしまった訳ではなさそうだ。
私もセシルみたいに、早く火魔法を使えるようにならなきゃ。
それはさておき、セシルが斬ってくれた稲穂を集め、幾つかの束に分ける。
私のゲーム知識によると、これを木の棒とかに引っ掛けて乾かすんだけど……
「ねぇ、ユリアナ。何かを乾かす魔法ってあったりするのかな?」
『ありますよー』
あるんだ! 流石、異世界。何でもありね。
ときメイのゲームでは、乾かす魔法なんて無かったけど、移動や戦闘に全く関係無さそうだもんね。
早速教えてもらった魔法を使い、稲を乾かす。
それから、次が脱穀作業と籾摺りっていう、乾かした稲から、籾を外して、籾殻を外す作業なんだけど、大変そうだなと思ってどうしようかと思っていたら、
『何か壺のような物があれば、すぐに終わりますよー』
と、サラッとユリアナが凄い事を言ってくれた。
この二つの作業は、かなり手間が掛かりそうなのに、すぐ終わるって。
とりあえず、転送魔法で急いで寮へ戻ると、薄暗い寮の中をコソコソと歩く。
ふっふっ……ときメイでアイテムが入手出来る場所がないかなって、寮の中は歩き尽くしているからね。
家の中のタンスを漁り、壺を調べるのはゲームの基本よねっ!
「よし、壺げっと!」
寮の隅にある、空の壺が沢山並んでいる部屋から手頃な大きさの壺を一つ拝借すると、急いで寮の裏へ。
そこから再びセシルの所へ戻り、ユリアナの指示に従って、壺の中へ稲を入れていく。
『では、弱めに……かなり弱めに、その壺の中へ竜巻を起こしましょう』
「竜巻!?」
『はい。壺の中で稲をかき回し、身と殻を分けちゃうんです』
なるほど。
とりあえずやってみる価値はありそうなので、教えて貰った竜巻の魔法を、かなり弱い気持ちで使ってみる。
「≪トルネード≫」
蓋の代わりにした木の板の下で、ゴウンゴウンと壺の中が物凄い勢いで回っているように思えるんだけど、これ……割れないかな?
内心不安に思いつつ、暫くして回転が止まったので、蓋を開けてみる。
とりあえず、上手くお米と籾が分かれていそうなんだけど、完全に取れている訳ではなさそうだから、不要な物を取り除いて、もう一回やってみる事に。
二回目の竜巻を終えて、再び蓋を開けると、不要な籾とかを取り除き……
「で、出来たんじゃないかなっ!? 白米……と言えない物もあるけど、玄米って感じだよねっ!」
白米と玄米、その中間の状態のお米が私の手にっ!
やった! ついにお米を手に入れたわっ!
次はカマド……って、調理器具とかが無かった。
「……寮の食堂でキッチンを借りられないかな? とりあえず、早くお米が食べたくなっちゃったよ」
『どうですかね。流石に私もそこまではわからないので、とりあえず聞いてみては良いのではないでしょうか』
ふふっ……ご飯よ、ご飯。
あっ、お味噌……は、ないだろうから、生卵とか?
でも、醤油も無いんだろうな。
まだまだ欲しい物は沢山あるけど、とりあえず最初の第一歩がようやく形になったので、先ずはその味を確認してみる事にした。
306
あなたにおすすめの小説
婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。
婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
【完結】そうは聖女が許さない〜魔女だと追放された伝説の聖女、神獣フェンリルとスローライフを送りたい……けど【聖水チート】で世界を浄化する〜
阿納あざみ
ファンタジー
光輝くの玉座に座るのは、嘘で塗り固められた偽りの救世主。
辺境の地に追いやられたのは、『国崩しの魔女』の烙印を押された、本物の奇跡。
滅びゆく王国に召喚されたのは、二人の女子高生。
一人は、そのカリスマ性で人々を魅了するクラスの女王。
もう一人は、その影で虐げられてきた私。
偽りの救世主は、巧みな嘘で王国の実権を掌握すると、私に宿る“本当の力”を恐れるがゆえに大罪を着せ、瘴気の魔獣が跋扈する禁忌の地――辺境へと追放した。
だが、全てを失った絶望の地でこそ、物語は真の幕を開けるのだった。
△▼△▼△▼△▼△
女性HOTランキング5位ありがとうございます!
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
魔物が棲む森に捨てられた私を拾ったのは、私を捨てた王子がいる国の騎士様だった件について。
imu
ファンタジー
病院の帰り道、歩くのもやっとな状態の私、花宮 凛羽 21歳。
今にも倒れそうな体に鞭を打ち、家まで15分の道を歩いていた。
あぁ、タクシーにすればよかったと、後悔し始めた時。
「—っ⁉︎」
私の体は、眩い光に包まれた。
次に目覚めた時、そこは、
「どこ…、ここ……。」
何故かずぶ濡れな私と、きらびやかな人達がいる世界でした。
ギルドの小さな看板娘さん~実はモンスターを完全回避できちゃいます。夢はたくさんのもふもふ幻獣と暮らすことです~
うみ
ファンタジー
「魔法のリンゴあります! いかがですか!」
探索者ギルドで満面の笑みを浮かべ、元気よく魔法のリンゴを売る幼い少女チハル。
探索者たちから可愛がられ、魔法のリンゴは毎日完売御礼!
単に彼女が愛らしいから売り切れているわけではなく、魔法のリンゴはなかなかのものなのだ。
そんな彼女には「夜」の仕事もあった。それは、迷宮で迷子になった探索者をこっそり助け出すこと。
小さな彼女には秘密があった。
彼女の奏でる「魔曲」を聞いたモンスターは借りてきた猫のように大人しくなる。
魔曲の力で彼女は安全に探索者を救い出すことができるのだ。
そんな彼女の夢は「魔晶石」を集め、幻獣を喚び一緒に暮らすこと。
たくさんのもふもふ幻獣と暮らすことを夢見て今日もチハルは「魔法のリンゴ」を売りに行く。
実は彼女は人間ではなく――その正体は。
チハルを中心としたほのぼの、柔らかなおはなしをどうぞお楽しみください。
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる