悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人

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第18話 異世界のご飯

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「美味しーいっ! 久々のお米だぁーっ!」

 寮のキッチンへ行き、遅い夕食を食べた後、料理担当のオバサンに頼み込んでキッチンを使わせてもらった。
 炊飯器なんてないので鍋で炊いたんだけど、ふっくらと炊き上がり、久々のお米……と言っても数日ぶりだけど、美味しくいただく事が出来た。

「な、なんだい、その食べ物は? そんなの見た事ないよ!?」
「え? お米ですけど」
「お米? 知らないねぇ」
「食べてみます? 美味しいですよ?」

 食堂のオバサンにお米を差し出すと、

「……ふぅん。ほのかに甘味があるねぇ」
「あ、わかります? 私の故郷の味なんです」
「そうなのかい? 私はパンやパスタの方が食べ慣れているけど、こういうのも悪くはないねぇ」

 本当にお米を知らないらしく、恐る恐るフォークを口へ運ぶ。
 まぁ文化や風習が違うから仕方ないけどね。
 でも、とりあえずお米は出来た。
 何故か、お米の味も日本で食べていた有名ブランド米の味みたいだし、とりあえず辺境でも食事問題は……って、違う!
 食材は手に入ったけど、調理器具が無いんだ。
 お鍋とかは辺境に飛ばされる前に買っておけば良いとしても、やっぱり火魔法が使えるようにならないとね。
 マッチくらいはこの世界にあるかもしれないけど、ライターがあるかどうかは分からないし、それらを使い切った後は、火起こしがめちゃくちゃ大変になってしまう。

「あの、ありがとうございました」
「いえいえ。私も新しい食べ物を知れて良かったわ。ありがとうね」

 オバサンにキッチンを使わせてもらった礼を言い、私の部屋へ戻ると、

『ルーシーさん。見ましたか?』

 突然ユリアナが興奮した様子で話し掛けてきた。

「見たって、何を?」
『先程の料理人の方ですよ! ルーシーさんの出されたお米を一口食べただけで、生命力が向上しましたよ!』
「えっ!? 生命力が向上って、それは大丈夫なの?」
『大丈夫なのは大丈夫ですが、ふとした時にビックリするんじゃないですかね? いきなり体力が大幅に増えている訳ですし』

 生命力……ゲームの中では、いわゆるHPやスタミナって感じで扱われていたパラメーターだから、あのオバサンが長時間仕事しても疲れなくなったっていうところかしら。
 大丈夫ではあるけれど……パラメーター向上効果があるなら、私も欲しいんだけど。

「えっと、私の生命力も上がったの?」
『いえ、ルーシーさんの生命力は変わっていませんね』
「えぇー。どういう事なの?」
『おそらくですが、森で出されたリンゴも、先ほど食べられたお米も、ルーシーさんが居た世界の……異世界の食べ物だからではないでしょうか? ルーシーさんは今まで食べていた物なので、特別な事は起こらないようですが』

 え? あのリンゴもお米も、日本の……というか、地球の品種なの!?

「えっと、こっちの世界にはリンゴが存在しないとか?」
『いえ、ありますが、そのまま丸かじり出来るようなリンゴはないかと。こっちでは、リンゴは加熱してから食すものですし』

 そうなんだ。
 焼きリンゴとかアップルパイみたいにして食べるのが普通なのかな?
 アレはアレで美味しいよねー。
 …….って、そんな事を考えている場合じゃなかった。
 ユリアナの魔法を借りているけど、私が作った作物なのに、私は能力が上がらないのは何だか悲しいな。
 とりあえず、食べるだけでパラメータが上がる作物は、凄すぎるので、これからは秘密にしないとね。
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