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第2章 辺境の地で快適に暮らす土の聖女
挿話21 夜行性のバステトさん
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「ねー、おかあさん。いいでしょー?」
「ま、待つのじゃ。そう、何度もセシリアの所へ行くのは迷惑を掛けてしまうのじゃ」
「やだー! おねーちゃんと、あそぶのー!」
うぅ……セシリアのおかげで、マヘスが空腹を訴える事はなくなったのじゃが、毎晩泊まりに行きたいと言う。
もう少し……もう少し、母の事を好きで居て欲しいのじゃ。
いや、マヘスはまだまだ子供。恋人よりも母親を大切にする時期で、親離れをするのはまだ先のはず。
先……であろう? というか、先であって欲しいのじゃ! 母は寂しいのじゃ!
「ねー、おかあさんってばー!」
「ダメなものはダメなのじゃ!」
「……」
あぁぁぁっ! つい感情的になってしまい、マヘスが拗ねてしまった!
し、しかし、母親として言うべき事はしっかり言わなければ。
そう、これはイヤイヤ期……イヤイヤ期なのじゃ。
拗ねてしまったマヘスは暫くそっとしておく事にして、セシリアが考えてくれた石焼の方法で、ガレットという料理を作る。
ふふふ……密かに、めちゃくちゃ練習したのじゃ。
失敗した分も全部食べたから、若干太って……げふんげふん。
だが、練習した分だけ確実に料理が上手くなったのじゃ!
「マヘスー。晩御飯が出来たのじゃー。美味しいガレットを作ったのじゃ」
む? やはり強く言い過ぎたか?
マヘスが返事をしないのじゃ。
「マーヘスー! 美味しいご飯を食べて機嫌を直すのじゃ……っ!? ま、マヘス!? マヘスっ!? ……マヘスが居ないっ!?」
ど、どういう事なのじゃ!?
……ま、まさか一人でセシリアの所へ行ったのか!?
ひ、昼間ならまだしも、夜は魔物が出るのじゃ!
我にとっては大した事ないが、マヘスでは……マヘスっ! マヘスーっ!
大急ぎで棲家を出ると、セシリアの家の方角へ向かって走る。
「マヘスっ! マヘスーっ!」
ま、待つのじゃ。よく考えたら、マヘスは一人でセシリアの家に行けるのか?
道を間違え、反対方向へ行ったりしていないだろうか。
仮にマヘスが正しい方向へ進んで無事に着いた場合、きっとセシリアが保護してくれるのじゃ。
だが一方で、明後日の方向へ進んでしまっていた場合、誰にも保護されないのじゃ。
「こ、これはマズいのじゃ! マヘスーっ!」
もしかしたら、拗ねて近くに隠れているだけかもしれないし、まずは棲家の周囲を探す事に。
だが、マヘスは見当たらない。
どうしよう。
「そうじゃ! セマルグルじゃ! 奴に空から探してもらえば……って、あやつは鳥目! 暗いところでは何も見えぬと言っておったのじゃっ!」
捜索範囲を少しずつ広げていると、巨大なアリの魔物が居たが、今は無視して……待つのじゃ。
もしもマヘスが魔物と遭遇したら……とりあえず、倒しておくのじゃ!
魔物に遭遇したら、とりあえず倒す事にして、少しずつ範囲を広げ……見つかるのは魔物ばかりで、肝心のマヘスは見当たらない。
「い、一旦セシリアの所へ行ってみるのじゃ。もしかしたら、マヘスが無事に着いているかもしれぬのじゃ」
一縷の望みを賭け、セシリアの家へ向かうと、遠くから弓矢や魔法でセシリアの家を攻撃している集団が居た。
弓矢を使うあたり、魔物ではないだろう。
だが、セシリアの家は結界のような物で護られているようで、一切攻撃は届いていないが。
「とはいえ、マヘスが居るかもしれんのじゃ。許さぬ!」
何者かは知らぬが、とりあえず全部纏めて蹴り倒しておいた。
まったく……マヘスの捜索で忙しくなければ、死の川へ全員投げ込んで居るところなのじゃ。
っと、こんな奴らよりも、マヘスを……マヘスーっ!
「ま、待つのじゃ。そう、何度もセシリアの所へ行くのは迷惑を掛けてしまうのじゃ」
「やだー! おねーちゃんと、あそぶのー!」
うぅ……セシリアのおかげで、マヘスが空腹を訴える事はなくなったのじゃが、毎晩泊まりに行きたいと言う。
もう少し……もう少し、母の事を好きで居て欲しいのじゃ。
いや、マヘスはまだまだ子供。恋人よりも母親を大切にする時期で、親離れをするのはまだ先のはず。
先……であろう? というか、先であって欲しいのじゃ! 母は寂しいのじゃ!
「ねー、おかあさんってばー!」
「ダメなものはダメなのじゃ!」
「……」
あぁぁぁっ! つい感情的になってしまい、マヘスが拗ねてしまった!
し、しかし、母親として言うべき事はしっかり言わなければ。
そう、これはイヤイヤ期……イヤイヤ期なのじゃ。
拗ねてしまったマヘスは暫くそっとしておく事にして、セシリアが考えてくれた石焼の方法で、ガレットという料理を作る。
ふふふ……密かに、めちゃくちゃ練習したのじゃ。
失敗した分も全部食べたから、若干太って……げふんげふん。
だが、練習した分だけ確実に料理が上手くなったのじゃ!
「マヘスー。晩御飯が出来たのじゃー。美味しいガレットを作ったのじゃ」
む? やはり強く言い過ぎたか?
マヘスが返事をしないのじゃ。
「マーヘスー! 美味しいご飯を食べて機嫌を直すのじゃ……っ!? ま、マヘス!? マヘスっ!? ……マヘスが居ないっ!?」
ど、どういう事なのじゃ!?
……ま、まさか一人でセシリアの所へ行ったのか!?
ひ、昼間ならまだしも、夜は魔物が出るのじゃ!
我にとっては大した事ないが、マヘスでは……マヘスっ! マヘスーっ!
大急ぎで棲家を出ると、セシリアの家の方角へ向かって走る。
「マヘスっ! マヘスーっ!」
ま、待つのじゃ。よく考えたら、マヘスは一人でセシリアの家に行けるのか?
道を間違え、反対方向へ行ったりしていないだろうか。
仮にマヘスが正しい方向へ進んで無事に着いた場合、きっとセシリアが保護してくれるのじゃ。
だが一方で、明後日の方向へ進んでしまっていた場合、誰にも保護されないのじゃ。
「こ、これはマズいのじゃ! マヘスーっ!」
もしかしたら、拗ねて近くに隠れているだけかもしれないし、まずは棲家の周囲を探す事に。
だが、マヘスは見当たらない。
どうしよう。
「そうじゃ! セマルグルじゃ! 奴に空から探してもらえば……って、あやつは鳥目! 暗いところでは何も見えぬと言っておったのじゃっ!」
捜索範囲を少しずつ広げていると、巨大なアリの魔物が居たが、今は無視して……待つのじゃ。
もしもマヘスが魔物と遭遇したら……とりあえず、倒しておくのじゃ!
魔物に遭遇したら、とりあえず倒す事にして、少しずつ範囲を広げ……見つかるのは魔物ばかりで、肝心のマヘスは見当たらない。
「い、一旦セシリアの所へ行ってみるのじゃ。もしかしたら、マヘスが無事に着いているかもしれぬのじゃ」
一縷の望みを賭け、セシリアの家へ向かうと、遠くから弓矢や魔法でセシリアの家を攻撃している集団が居た。
弓矢を使うあたり、魔物ではないだろう。
だが、セシリアの家は結界のような物で護られているようで、一切攻撃は届いていないが。
「とはいえ、マヘスが居るかもしれんのじゃ。許さぬ!」
何者かは知らぬが、とりあえず全部纏めて蹴り倒しておいた。
まったく……マヘスの捜索で忙しくなければ、死の川へ全員投げ込んで居るところなのじゃ。
っと、こんな奴らよりも、マヘスを……マヘスーっ!
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