婚約破棄で追放されて、幸せな日々を過ごす。……え? 私が世界に一人しか居ない水の聖女? あ、今更泣きつかれても、知りませんけど?

向原 行人

文字の大きさ
52 / 143
第6章 太陽の聖女と星の聖女

第225話 アニエスの気になる何か

しおりを挟む
「では、ソフィアさん。ユリアさん。行ってきますね」
「あぁ、頑張っておいで」
「アニエス様なら、きっと大丈夫ですよ!」

 ユリアさんの言葉にちょっとプレッシャーを感じつつ、朝から薬師試験を受ける為にフランセーズへ戻る事に。
 貸切馬車に乗り、一路南へ。

「えっと、この草は根っこに解熱効果があって、こっちの木は乾燥させると毒消しの効果が……」
「うわぁ。お姉ちゃん、大変そう。普通にA級を目指すなら、実績だけで良いんだよね? いきなりA級に飛び級しようとすると、試験が増えちゃうんだね」
「コリンよ。今はそっとしておくのだ」

 コリンとイナリの声が聞こえたような気がしたけど、ソフィアさんに貰ったメモを見ながら、馬車の中で筆記試験対策の勉強に励む。
 実技だけなら、間違いなく通るってソフィアさんに太鼓判を押してもらったけど、筆記試験は毎回問題が変わるらしくて、何とも言えないと言われてしまった。
 まぁいつも同じ問題だったら、誰か受験した人に聞けば、問題がわかっちゃうもんね。
 そのまま勉強を続けていると、馬車の御者さんが話し掛けてきた。

「お客さん。一旦、そこの街で馬を休憩させたいんですが、良いですか?」
「はい。大丈夫です。……私たちも昼食にしましょうか」
「やったー!」

 ご飯と聞いて喜ぶコリンを微笑ましく思いながら、私も勉強用のメモを一旦ポケットにしまう。
 何事も根を詰め過ぎは良くないわよね。
 大きくノビて、馬車から外の景色を見てみると……変な感じがする。
 あ……勉強に集中していて全く気付けなかったけど、ここはドードレックの街だ!
 この街を通る度に変な感じが……って、今回はこの街に立ち寄るのね。
 変な感じがどんどん強くなっていくけど……本当にこれは何なのだろうか。

「お客さん。では、私は馬を休ませてきますので、少しお待ち願います」
「わかりました」

 御者さんに言われ、馬車から降りたけど……うーん。やっぱり変!
 こんな変な事になるのは、この街だけだし、もしかして何かあるの!?

「ねぇイナリ……イナリ?」
「……む? すまぬ。どうしたのだ?」

 イナリがずっと西の方に目を向けて、ぼーっとしていた気がする。
 イナリのこんな様子は珍しい気がするんだけど……そういえば、馬車でもこの街を見ていたわね。

「あのね、この街に居るとちょっと変な感じがして……何かあるのかな?」
「……ううむ。まぁその……何と言えば良いだろうか」
「イナリ? 何だか歯切れが悪いわね」

 普段は言い難い事でもハッキリ言うイナリが、どういう訳か何かを言わずにいる。
 何だろう。逆に気になっちゃうんだけど。

「イナリ。何かあるなら言って良いわよ?」
「むぅ。アニエスがそうまで言うのであれば話すが……この街には何かが居るようだ。だが、それはおそらく……いや、調べてみないと分からぬな」

 うーん。また何か濁されたような気がしなくもない。
 だけど、やっぱりそんな事を言われたら気になってしまう。

「じゃあ、その何かを調べてみる?」
「ふむ。我は構わぬが、その……アニエスの苦手なオバケとやらの可能性もあるぞ?」
「あ、明るい内なら大丈夫よ。流石に夜はイヤだけど」
「では、少しだけ調べてみるか。アニエスの事を考えると、暗くなる前にこの街を出た方が良いだろうからな」

 お、お昼ならオバケも出ないハズよね?
 だ、だから、今なら大丈夫よ……たぶん。
しおりを挟む
感想 538

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。