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第6章 太陽の聖女と星の聖女
第240話 実技試験
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「では、続いて実技試験に移ります」
筆記試験に無事合格したので、いよいよ実技試験を受ける事になった。
ギルドマスターさんに案内されてやってきた部屋には、机の上に薬を作る器具と、数多くの植物に、大きな水瓶が置かれている。
「アニエスさん。ここにある器具や植物は全て使っていただいて構いませんので、次の六つの薬の内、得意な四つを作ってください」
そう言って、ギルドマスターさんから十種類の薬が提示されたけど、その内の一つは聞いた事がないものだった。
とりあえずその一つは除外して、残りの五つの内から四つ作れば良いのよね。
「わかりました」
「制限時間は六十分です。それでは、始めっ!」
「え……六十分ですかっ!?」
「はい。時間の変更は出来ません。A級薬師たるもの、迅速かつ正確に薬を作れないといけません。そして、この質問をしている今も、試験時間は減っていきますよ」
「いえ、そういう話ではないんですが……」
ギルドマスターさんに何か勘違いされている気がするけれど、まぁいっか。
けど、もう一つ確認しておかないと。
「あと、作る薬の品質なんですけど……」
「Bランク以上の薬しかダメです。それより劣るものを提出された場合、不合格とします」
なるほど。ランクが高い分には問題ないのね。
じゃあ、早速取り掛かりますか。
まずは一番作り慣れている、上級ポーションから。
ただ、いつもとは違って、神水は使わないようにしないとね。
パパッと作っていると、ギルドマスターとギュスターヴさんの二人がヒソヒソと話し始めた。
「は、速い……けど、それでいて、きちんと分量を量っていますね」
「くっ……さ、流石はソフィアの弟子といった所ですな」
「ですが……ふむ。基本が出来ていませんね」
二人が私を見て何を話しているかは分からないけど、まずは一つ目の上級ポーションが完成した。
……したんだけど、何かおかしい。
「何か色が……変? 普段はこんな色にならないのに」
本来、上級ポーションは白っぽい色の薬になる。
でも、いつも通りに作ったはずのポーションは、何故か灰色っぽくくすんでいた。
選んだ薬草は、いつも使っている薬草と同じ……だと思う。
似ている植物という可能性もあるけれど、流石に一番多く作ってきた上級ポーションの材料は間違えないと思う。
いつも使っている器具とは違うから? けど、多少の違いはあっても、基本的には同じだ。
「残る差異は……お水!?」
上級ポーションを作った時に使った水瓶の水を汲み、透明なガラス瓶に注いでみると……若干濁っている!?
「あの、このお水って変じゃないですか?」
「……そちらは、街の中を流れる川から汲んできたものです。そのまま飲むのはオススメしませんね」
「あ……そういう事。でも……すみません。私は水魔法が使えるので、普段は魔法で出した水を使っているんです。なので、水を綺麗にする方法とかは知らないのですが」
「そういう事なら、アニエスさんが魔法で出した水を使っても問題ないですよ? この試験は、あくまで普段の薬の作り方を見ているので。ですから、器具や材料だって持ち込みでも構わないのです」
なるほど。水を綺麗にして使うっていう試験をしている訳ではなくて、あくまでA級薬師になってから、どんな薬を作るのか……って事なんだ。
それなら何とかなるわね。
という訳で、水魔法を使っていつも通りに作る事にしたので、躊躇なく四つのポーションを作り終え……ふと気付く。
神水を使って上級ポーションを作ったら、超級ポーションになっちゃうじゃないっ!
超級ポーションを私が作っている事がバレたら、面倒な事になるっ!
残り時間は……ギルドマスターさんと話したり、上級ポーションを作り直したりしていたから、残り五分!?
時間はないけど……別の五種類目の薬を作るしかないわっ!
筆記試験に無事合格したので、いよいよ実技試験を受ける事になった。
ギルドマスターさんに案内されてやってきた部屋には、机の上に薬を作る器具と、数多くの植物に、大きな水瓶が置かれている。
「アニエスさん。ここにある器具や植物は全て使っていただいて構いませんので、次の六つの薬の内、得意な四つを作ってください」
そう言って、ギルドマスターさんから十種類の薬が提示されたけど、その内の一つは聞いた事がないものだった。
とりあえずその一つは除外して、残りの五つの内から四つ作れば良いのよね。
「わかりました」
「制限時間は六十分です。それでは、始めっ!」
「え……六十分ですかっ!?」
「はい。時間の変更は出来ません。A級薬師たるもの、迅速かつ正確に薬を作れないといけません。そして、この質問をしている今も、試験時間は減っていきますよ」
「いえ、そういう話ではないんですが……」
ギルドマスターさんに何か勘違いされている気がするけれど、まぁいっか。
けど、もう一つ確認しておかないと。
「あと、作る薬の品質なんですけど……」
「Bランク以上の薬しかダメです。それより劣るものを提出された場合、不合格とします」
なるほど。ランクが高い分には問題ないのね。
じゃあ、早速取り掛かりますか。
まずは一番作り慣れている、上級ポーションから。
ただ、いつもとは違って、神水は使わないようにしないとね。
パパッと作っていると、ギルドマスターとギュスターヴさんの二人がヒソヒソと話し始めた。
「は、速い……けど、それでいて、きちんと分量を量っていますね」
「くっ……さ、流石はソフィアの弟子といった所ですな」
「ですが……ふむ。基本が出来ていませんね」
二人が私を見て何を話しているかは分からないけど、まずは一つ目の上級ポーションが完成した。
……したんだけど、何かおかしい。
「何か色が……変? 普段はこんな色にならないのに」
本来、上級ポーションは白っぽい色の薬になる。
でも、いつも通りに作ったはずのポーションは、何故か灰色っぽくくすんでいた。
選んだ薬草は、いつも使っている薬草と同じ……だと思う。
似ている植物という可能性もあるけれど、流石に一番多く作ってきた上級ポーションの材料は間違えないと思う。
いつも使っている器具とは違うから? けど、多少の違いはあっても、基本的には同じだ。
「残る差異は……お水!?」
上級ポーションを作った時に使った水瓶の水を汲み、透明なガラス瓶に注いでみると……若干濁っている!?
「あの、このお水って変じゃないですか?」
「……そちらは、街の中を流れる川から汲んできたものです。そのまま飲むのはオススメしませんね」
「あ……そういう事。でも……すみません。私は水魔法が使えるので、普段は魔法で出した水を使っているんです。なので、水を綺麗にする方法とかは知らないのですが」
「そういう事なら、アニエスさんが魔法で出した水を使っても問題ないですよ? この試験は、あくまで普段の薬の作り方を見ているので。ですから、器具や材料だって持ち込みでも構わないのです」
なるほど。水を綺麗にして使うっていう試験をしている訳ではなくて、あくまでA級薬師になってから、どんな薬を作るのか……って事なんだ。
それなら何とかなるわね。
という訳で、水魔法を使っていつも通りに作る事にしたので、躊躇なく四つのポーションを作り終え……ふと気付く。
神水を使って上級ポーションを作ったら、超級ポーションになっちゃうじゃないっ!
超級ポーションを私が作っている事がバレたら、面倒な事になるっ!
残り時間は……ギルドマスターさんと話したり、上級ポーションを作り直したりしていたから、残り五分!?
時間はないけど……別の五種類目の薬を作るしかないわっ!
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